[完結]加護持ち令嬢は聞いてはおりません

夏見颯一

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22,前職優秀な屑と真なる屑

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 唐突ですが皆様は『成り代わり』と『入れ替わり』の差を御存知でしょうか?
 前者は『なりきり』で後者は『不本意』、お分かりでしょうか。
 少なくとも私は分かりません。
 分からない現在の私は、心が現実逃避を始めております。

「私に王女様の代わりなど務まりません」
「ああ、案山子の方がましだから案山子を立てておけ」
 案山子の方がましと言うのは誰ですか!
 私が怒って振り返った先には、久し振りの顔がありました。気配を消していたのか私は今の今までいたことに気が付きませんでしたよ。
 オラージュ公爵家から連れて来た護衛が警戒、いいえ、ちょっと引いてます?
 カントリーハウスの応接間には、王女様と聖騎士であるハルト様以外に、気が向いたときに警備員代わりをしてくれるイグニスさんもいたようです。
 長年の付き合いですし勝手知ったると言わんばかりに堂々とソファに座って事情を聞くなんて、貴方は私の保護者のつもりですか。

「私も王女様も案山子ほど細くはないので、流石に無理かと」
「そこかよ。王都に行ったら多少は擦れてくるかと思ったが、そっちの方が無理だったか」
 相変わらずイグニスさんは失礼ですね。
「なるほど、分かりました。貴方はそんなにも気配を消していたことを咎められたいのですね。王都で真の貴族の思考を多少学んで帰ってきましたから、私には分かるのです」
「何が分かるだ。やっぱり分かってねぇし、発想は斜め上のままじゃねぇか。無理すんな。この場合、普通は聞いていたことの方を咎めるものだ」
「いつもいつの間にかいるじゃないですか。それが普通の前提ですから、やはり気配を消していたことでしょう」
「自分の意見を曲げる気がねぇのか。悪かった、気配を消していて」
 分かって頂けたようです。
「ですから、私には王女様の代わりは無理です」
 困惑した表情の王女様とハルト様は、固まったように動きません。

 しばし私達の間で沈黙が続きます。
 どうしたのでしょうか。

「ですから、私には……」
「この方を御存知なのですか?」
 緊張した面持ちでハルト様は私に尋ねられました。
 この方? レグルスさんですか。

「こちらはフルレット侯爵領の領民のお一人です。それがどうされました? イグニスさんが気配を消して話を聞いているのは、ここでは日常茶飯事ですよ」
「それは他の領では非日常だからな。説明しても相手は余計に困惑するからな」
 レグルスさんは茶々だけではなく、私の話術の技能的に難しいことを仰いますね。
 では、どういう説明をしたら良いのでしょう。
「いえ、お待ちください。私の聞き方が宜しくなかったのでしょう」
 ハルト様は話しながら、チラチラとイグニスさんを伺うように見ておられます。
 イグニスさんは、いつも通り不貞不貞しく私の隣にいるだけです。

「こちらの方が何者なのか御存知なのでしょうか?」
 何者って……。
「え?」

「この方は、我々の世代ではほとんど知られておりませんが、上の世代では、特に王都ではよく知られた方なのです」
 よく知られたって……。
 振り返ったレグルスさんはニヤニヤ笑っておりました。
 王都では……上の世代では……。
「どんな重罪を犯したのですか?」
「そっちかよ」
 ドキドキして訊いたのですが、レグルスさんは「俺は指名手配犯じゃねぇ」と否定されました。
「じゃあ何が……」
 ふと、私は気付いてしまいました。
「以前の奥様から訴えられておられるのね……。慰謝料は払った方がいいと助言させていただきますね」
「この娘ははっきり言わないと愉快な発想を続けるからな」
 何故かレグルスさんは私を無視してハルト様に仰いました。
 私の扱い雑ですよ!
 王都では加護持ち様でしたよ!
 公爵令嬢は肩書きだけですが。

「……オラージュ公爵令嬢、こちらの方は前王立騎士団騎士団長ですが、御存知ではなかったのですね」
 ………………。
 ええ、全く御存知ありませんでした。
 だって、バツ2・借金あり・逮捕歴ありの方が印象強くないでしょうか。

「フルレット侯爵領に行くよう言われたのは、この方がおられるからでしたか。ここまで少数の騎士だけでオラージュ公爵令嬢が今まで無事だったのは、かねてから不思議に思っていたのですが、そういうことでしたか」
 思わず私はじっとイグニスさんを見てしまいました。
「信じられないか?」
「ええ。騎士団長でもバツ2になるんですね……」
 要職ですよ!
 高給取りですよ!
 危険手当は時代的に安定しているので貰う機会はないでしょうね。

「そっちかよ」
 つくづく呆れたと言わんばかりのイグニスさんの様子に、私はこの人は女心の機微が分からない方だからと納得しました。
 だから、バツ2になるのですよ。
 残念なイグニスさんのことはさっさと諦めて、もう一度きちんと王女様とハルト様に向き直ります。

「ですから、私には王女様の代わりは無理だと思います」
「そうだな。これが王女の代わりをやったら、事態は混乱するだけだぞ」
「案山子より失礼になりましたよ!」
 直ぐに茶々を入れてくるレグルスさんは、いつまで応接間に居座るつもりなんですか。
「大切な話し合いをしているのですよ。話に関係のないレグルスさんは退席してください」
「お前さんだけだと話が進まねぇだろ。ここには領主も奥さんもいないじゃねぇか。進行役だ、進行役」
「……なら、仕方ありませんね」
 私の参加する話し合いにはこちら側の味方で話の修正役も必要だと、実父からも実母からもことあるごとに言われておりました。
「それで宜しいんですね……」
 王女様が小声で仰いましたが、背に腹は代えられないのですよ。
 私は実利を取ります。

「ですから、王女様の代わりは私には無理です」
「事態を爆発させたくなければ止めておけ。これは劇薬だ」
 だーかーらー、どうして私の言葉をそんな風に解釈して仰るんですか!
 私はか弱くもありがたい加護持ち令嬢ですよ。
 私とイグニスさんは互いの口から出る言葉は違えど、無理だという同じ事を説明したのですが、王女様とハルト様にも引けない事情があったのです。

「この国の王家は、元々加護持ちの王女を女王としてきた歴史があるのです。先々代の王の王女こそ早くに亡くなられて女王になられませんでしたが、他国からも『祝福された王家』と讃えられるのは加護持ちの女王あってのことだと、今も多くの貴族が考えているんですよ」
「私も歴史で習った気がしますね……」
「一般的に加護持ちの女性から加護持ちが生まれやすい訳ではありません。ただ王家には確かに加護持ちの女性が多く生まれます。この不思議な現象を祝福と呼んでも、我々には否定するだけの材料はないのですよ」

 唯一の王女。
 前の加護持ちの王女は早逝したということは、んんん?

「少しお待ちください。関係性をちょっと整理させてください」
「お前さんと王女様は又従姉妹。お前さんの実母や伯母は、国王の従姉妹。王女様の前の加護持ちの王女は先々代王の娘で、お前さんの祖父の姉に当たり、先王の妹だな」
 さらりとレグルスさんが説明してくださいました。
 嫌になるほど頼りになる方ですね!
 つまり夭逝された加護持ちの王女は私の祖父の姉に当たる方なんですね。そこだけで十分ですよ。王家の系図は私の頭に入りません。
「先代騎士団長だからな、それくらいの関係性は当然だろ」
 取り敢えず、新しく領地に連れて来た護衛が戦いていたのは、イグニスさんの前職の所為だったのは分かりましたよ。
「では、イグニスさんは王女を持ち上げたい層がいることは御存知でした?」
「知ってたぞ。お前さんに近付こうとしてた奴もいたしな」
「……私はそれは知りませんでした」
「そこは大人の話だからな」
 危険なこともある話だったのでしょうか。
 流石に子供の頃のように思ったことをそのまま尋ねることはできませんでした。

「入れ替わってもどうせここでも狙われる。王女のことは王都で対応策を練った方がいい」
 イグニスさんは王女様達を追い返したいようでしたが、
「王都にいるのは危険なんですよ。入れ替わりをお願いしたのも、王女の命の危険があるからなんです」
「命の危険? 加護持ちは……」

「王女様は加護持ちではないからでしょう」
 私の言葉に、レグルスさんはぎょっとして王女様を見た。
「……嘘だろ」

 王女様は悲しそうな顔をしておられました。
 いつか、私が話さなくても誰かが気付いて大事になっていたでしょう。

「真実、私は加護持ちではありません。王の庶子であった私を守るための言い訳なのです」
「おいおい……それは分かったが、物凄く悪手だろ。嘘だろ……」

 加護持ちだったら加護を持っているかどうか判断がつきます。これは加護持ち同士が会うと微妙に打ち消しが起こるので、どうしても分かるのですよ。
 あら?
 そう言えば、なりきり2号は王女様の友人だと仰っていましたが、加護持ちなのに王女様が加護を持っていなかったことには言及しておりませんでしたね。
 無論、不敬だから口にしなかったとも考えられますが、あの短気な性格ではもし知っていたのなら口論の最中にでも言葉として飛び出していたでしょうね。
 うーん……もしやなりきり2号の加護もなりきりだったのでしょうか。
 これはもう会うこともないとは言え、なりきり2号は王女様と友人どころか、会っていたのかどうかすら、かなり怪しいですね……。

「加護持ちを騙ることはかなりの重罪です。もしこれが他に知られてしまったら、王女を持ち上げようとした貴族は勿論王家に激怒します。そして、王家は真っ先に王女を切り捨てるでしょう」
「加護持ちと偽ってまで王家に入れたのに……」
 私には考えが理解できません。
 王家から切り捨てられた王女はただ平民になるだけでなく、死が待ち受けていることなどはあまり賢くない私でも分かります。

「ここまでの状況の説明が終わって、オラージュ公爵令嬢は王女様と入れ替わることをそれでも断ると仰いますか?」
 個別だと思っていた話同士がつながり、現状が理解できました。
「私達にフルレット侯爵領に行くよう指示されたのは、オラージュ公爵です」
 養母が?
 私は首を傾げました。
「出るときには母は何も仰ってませんでしたよ」
「私達が出たのは貴女の出発の後です。互いの安全のために我々は令嬢の一行を追い抜きました」
 面倒な婚約関係の問題がなくなった私はのんびりとした行程で領地まで帰ってきたので、ちょっと申し訳なく思いました。
「既に結構差し迫った問題となっているのですか?」
「王女様とフレイ様が婚約なされたでしょう? フレイ様は公爵家の跡取り。女王を求める貴族にしたら王女様を嫁がせるわけにはいかないので、慌てて動き出したんですよ」
 そこが切っ掛けでしたか。

 でも多分、養母はこうなることを御存知だったのでしょうね。
 先日わざわざ曖昧にすることなくはっきりと、フレイ兄様と王女様の婚約を『破談前提の婚約』って仰っていましたもの。
 政治の絡んだ王侯貴族の思考なんて、本当に私には分かりません。

「あー……理由は分かった。だが、入れ替わりはどうかと思うぞ。フルレット……いや、オラージュ公爵令嬢の顔を知っている者は、少ないとは言えそれなりにいる。血縁者同士だから王女とこいつは似ているが、やはり無理があるのではないか」
「確かに普通なら無理でしょう。ですが、貴族の間では以前から、王女様とフルレット侯爵令嬢は同一人物ではないかと噂されております」

 ……………………。
 …………………………えええええええ。
 どういう噂ですか……。

「もしかして『豊穣の女神の愛し子』か。女王になる王女に相応しい呼び名を持っている者は逆に王女自身のことではないかという噂は、前々から平民の間でも根強くあったな。面倒な話だ」
「しかもフルレット侯爵令嬢と言えば……以前に話題となった偽者の良い部分の印象が残っておりまして」
「偽者の良い部分ねぇ……」
 流石にイグニスさんも知り得ませんよね。
 ふふふ……私とはかけ離れた偽者は幻覚系……とっくにお伽噺の国にお帰り遊ばせてよ。
 顎に手をやったイグニスさんは、
「確か『物静かで控えめ、話しかけるときは誰にでも優しく、美しいその姿は神秘的な女神の化身のよう』だったか」
「何でイグニスさんが知っているのですか!」
 こっちが嘘でしょ!
「笑えるネタは金を払ってでも集めるものだと決まっているだろ。お前のメイドによろしくな。良い手紙だった」
 だからいつまでも借金を抱えているんですよ。
 私のフルレット侯爵令嬢時代から付いてくれているメイド達は私と一緒に帰って来たのですから、金をかけずとも帰ってから訊けば良かったんですよ。
 何て無駄金使い。

「その印象ならなぁ……しかも王女と同一視か」
 参ったなという様子でレグルスさんはため息をつきますが、ため息付くのは私の方ですよ。
 全然幻覚系なりきりの影響が未だ続いている現状を私は知ってしまったのですよ。
「どの道オラージュ公爵令嬢はこれからも狙われます。ならばこの状況を利用して……」
「王女の安全が確保できるなら、元々加護持ちのこいつだけの問題になる。こいつは逃げられないからな」
 チラリと不服そうにイグニスさんは私を見ますが、だから、私の方が絶対に不服なんですよ。
 再びの沈黙が流れました。
「……この話がオラージュ公爵からなら、もう決定事項か」
「王都では既にそのように動いております」
「レーニアさん、ごめんなさい。だけど、私には何も出来ないの」
 またまた当事者なのに外野ですか。
 何かやっていられないという気分とはこういうものでしょうか。
 事情を聞けただけましということですか。
 というか、個人的には帰る前に聞きたかった話ですね。



 結局、王都にいることになっている王女の身代わりになる為に、早急に王都に戻ることになりました。
「せめてハッシュさんにお会いしたかったです」
 王都まではイグニスさんが馬で送って下さるそうです。
 オラージュ騎士団の騎士達が残念がっていましたが、イグニスさんの操る馬が一等早くて安全なので仕方ありません。
「ん? 何でハッシュに会いたいんだ?」
「女心が分かるからですよ」
「女心の分かる男に会いたかったってことか。しかし、あいつが女心なんてものが分かるんだったら刺されてねぇだろ」
 そう言えば、何回か刺されておられましたね。
「そう言われると違いますね。単に領地に帰ってきたなと思う顔の一つだったかもしれませんね」
「領地の代表する顔っておかしいだろ。あいつは真の屑だ」
 屑が屑だというならば、確かに真の屑?
「ハッシュさんもイグニスさんを以前屑だと仰ってましたね」
「店の売り上げ盗んで女を取って逃げてしらばっくれている奴が、一体誰を屑と呼べるんだ」
 ハッシュさんは顔とスタイルは一流の貴公子なんですよね。
「顔がいいとある程度許されてしまいますね」
「あれを許しては駄目だろ、領主の娘」
 最後は私の方が怒られました。
 ハッシュさんの所為です。

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