[完結]加護持ち令嬢は聞いてはおりません

夏見颯一

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64,再会

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「お引き取り下さい。ここは通すわけには参りません」
「貴方に私を止める権限があるとでも言うのかしら。死にかけの女性しかいない部屋で何を守るつもりなの?」
 王妃殿下の威光はやはり大きいものでした。
 少なくなってはおりますが、警備の騎士を脅して脅して脅しまくって、側妃様の部屋の前までたどり着くことが出来ました。
 同じ王城でも王妃殿下達のおられた区画は調度品だけでなく、設えからして豪奢で王族の住まいらしい区画でしたが、側妃様のおられるこの区画は綺麗にされているとは言え、全体的に簡素としか言いようのない区画でした。
 侍女やメイドの姿も僅かにしか見えず、王妃殿下との生活の差が凄まじいかもしれません。
 実家の差が、これほどまでに現れるのですね……。
 耳で聞いた情報より、目で見た情報の方が圧倒的に説得力があります。
「穢れた者を王妃殿下……王女殿下に近づけるわけには参りません」
 部屋の前に陣取る騎士は頑固に主張し、王妃殿下を前にしても一切立ち退こうとする様子はありません。
 義務感、使命感、騎士の中では強い気持ちがあるのでしょうね。
 それは自体は理解できますし、王城を守ることには感謝いたしますが、
「加護持ちの王女を産んだ方に穢れたとは何事ですか! お前こそ加護持ちを愚弄する穢れた者であろう!」
 王妃殿下の怒りの声に騎士はたじろぎ、強引に入る私達を止めることは出来ませんでした。 
                                   

「久しぶりね、もう私の事なんて忘れたのかと思っていたわ」
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