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動乱編
合理的判断
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人々の活気に満ちた声が飛び交い、露店の呼び込みが賑やかに響く。
焼き立てのパンの香ばしい匂い、果物の甘酸っぱい香りが入り混じる市場の空気。
だが、私とシス様にとって、この場は決して"安息の地"ではなかった。
私は、肩にかかる粗末なマントをわずかに整える。
この姿ならば、貴族と気づかれることはない。――そう思いたい。
だが、違和感は消えない。
"私たちは、この場所に馴染めていない。"
理由は明白だ。
この国の王が死に、新王が擁立される今、"王族の血を引く者"であるシス様は、存在そのものが"処刑対象"なのだから。
「……すぐに追っ手が来るな」
シス様が低く呟いた。
私も静かに周囲へと視線を巡らせる。
兵士、傭兵、そして――見慣れぬ男たち。
彼らの表情に緊張はない。
だが、それが"演技"である可能性を考えなければならない。
まだ新王は正式に戴冠していない。
けれど、この混乱の中でシス様の首を取れば、間違いなく"大きな功績"となる。
私は、無意識に剣の柄へと手を伸ばしかけた。
(どんな手を使ってでも、シス様を殺しに来る)
それは"確定事項"だ。
新王派にとって、シス様の生存は"不都合"。
つまり、逃亡は困難を極める。
「ここで捕まるわけにはいかない」
王都に戻ることは不可能だった。貴族の領地も信用できない。
新王派の影響がどこまで及んでいるのか分からない以上、"裏切り"の可能性は常に存在する。
――逃亡は、絶望的に不利。
けれど、"まだ可能性はある"。
シス様は、ゆっくりと私を見つめ、静かに言った。
「国境駐留の騎士団に向かう」
私は、わずかに目を見開く。
国境には、かつてシス様が親しくしていた騎士団がいる。王国の外敵を防ぐために編成された独立軍団。
彼らは王都の貴族派閥とは異なり、王家に忠誠を誓った"剣"であり、"盾"である。
もし、彼らがまだ健在なら――"助けを得られる可能性がある"。
だが、それは"賭け"だった。
「……彼らが、寝返っていたら?」
私は問いかける。
新王派は、シス様の影響力を最も恐れている。ならば、当然"王子の逃亡先となる場所"には、すでに手を回している可能性が高い。
もし、国境の騎士団がすでに新王派に屈していたなら――
シス様は、一瞬だけ目を伏せた後、静かに答えた。
「それなら、それでいい」
「……?」
私は眉を寄せる。
「もし彼らが寝返っていたなら、それを確かめることも重要だ」
その言葉に、私はようやく理解した。
この戦いは、単なる"逃亡"ではない。
シス様にとって、この状況は"祖国を取り戻す戦いの始まり"なのだ。そのためには、"誰が敵で、誰が味方か"を見極める必要がある。
私は静かに頷いた。
「……なるほど」
しかし、悠長にしてはいられない。
私は市場の端に目を向ける。その先には、王都から派遣された騎士たちの姿があった。
彼らはまだ、こちらには気づいていない。
だが、時間の問題だ。
"ここにいる限り、いずれ見つかる"。
「……時間の猶予は、ほとんどないようですね」
シス様は深く頷き、鋭い眼差しで前を見据えた。
「ならば、行くぞ。すべては――"この国を取り戻すために"」
私はひっそりと市場の裏道へと身を滑り込ませた。王子が僅かに遅れてついてくる。
すべての人間が"敵"かもしれないこの土地。密告されれば、即座に追っ手がかかる。どの路地の影にも、潜んでいるかもしれない"裏切り者"。
この領地を突っ切る以外に、国境へ向かう道はない。
(本当に……シス様を守り切れるのか?)
自分の実力を疑っているわけではない。だが、戦場には"運"も"状況"も絡む。
敵の数、地の利、武器の差。いかに技が優れていても、状況次第であっけなく命は奪われる。
私は、そういう場を幾度となく見てきた。
(……間に合わないのではないか)
不安が、胸の奥からじわりと広がる。
シス様を守ることに意味はあるのか?
戦い続けた先に、どんな未来がある?
本当に、すべてを覆せるのか?
もし、このまま追われる日々が続けば。
(私たちは、どこかで"力尽きる")
無情な現実が、脳裏をかすめる。
だが、そんな考えが浮かんだ瞬間、私は強く拳を握りしめた。
"もう、二度と大切な人を失うものか"
あの時のように。
すべてを失い、ただ焼け落ちる屋敷の中で絶望に沈むような未来は、二度と。
次の瞬間、私は頭を振る。
違う。違う、違う、違う。
私は"感情で動いている"のか?
そんなことは、あってはならない。
シス様を守るのは、そういう理由じゃない。これは"復讐"のためだ。私の目的は、彼の生存の先にある。
彼が生きていれば、私の"本懐"を果たす機会が生まれる。それだけだ。
(……感情ではない。これは、合理的な判断だ)
だからこそ、私はシス様を守る。
だからこそ、私はシス様を"生き延びさせる"。
それが、私に課された使命。私は、もう一度深く息を吐き、目を閉じた。
("シス様を守る"……その先に、私の目的がある)
決して、惑わされるな。これは、私が選んだ"戦い"だ。
感情ではない。ただ、復讐のための道。それ以外は、何もいらない。
そう、心に言い聞かせる。そして、私は静かに目を開いた。
「……行きましょう、王子」
冷静な声で言う。シス様は短く頷く。
「"国境の騎士団"に辿り着くまで、全力で逃げる」
「……承知しました」
決断は、もう揺るがない。
全てを捨て、生き抜き、そして"王を取り戻す"ために。
「ちょっと待て。一つ言いたいことがある」
唐突に発せられた声に、私は足を止めた。私は、軽く振り返る。
「……なんでしょうか、王子」
「それだ」
「?」
一瞬、何を指しているのかわからず、私は彼を見つめる。だが、シス様は眉をひそめたまま、続けた。
「君が私を"王子"と呼ぶと、私がここにいることを喧伝しているに等しい」
その言葉を聞いて、ようやく私は彼の意図を理解した。確かに、彼は今や"王都を追われた亡命者"だ。
"王子"という呼び名は、彼がここにいることを周囲に知らしめるのと同じ。王都側に通じた者がこの町に潜んでいないとは限らない。
「……では、王子とは言わないようにいたします」
「助かる」
彼は短く答え、ふっと息をついた。確かに、今の状況を考えれば、これは当然の警戒だった。
王弟が新王を僭称している。彼の存在を嗅ぎつけられれば、それだけで命取りになりかねない。
「では……アレクシス様は――」
口にした瞬間、違和感が走った。
"アレクシス様"――それでは王子と呼ぶのと大して変わらない。
それに気づいたのは私だけではなかったらしく、彼は苦笑する。
「そうだな、それでは意味がない」
「でしたら――」
一拍、間を置く。
考える。どう呼べばいい?
"王子"と呼ぶのは問題外。"アレクシス様"もまた、目立ちすぎる。では、どうすればいい?
思い浮かんだのは、一つの名前。
「……シス様」
そう口にした瞬間、私の心臓が不自然なほどに跳ねた。
王子の表情が、一瞬だけ驚きに揺れる。
ほんの一瞬だったが、私の目はそれを確かに捉えていた。
(……しまった?)
今のはまずかっただろうか。"シス様"と呼ぶのは、昔の名残だった。幼い頃、まだ身分も関係なく剣を交えていた頃、私はそう彼を呼んでいた。
その呼び方を、無意識に選んでしまった。
「……その呼び方は」
王子の声が、僅かに詰まる。私はすぐに取り繕う。
「"アレク様"では不自然ですし、"シス様"なら問題ないかと」
まるで計算したかのように、理由を並べる。あくまでこれは実用性を考えた結果にすぎない。それ以上の意味はない。
そう言い聞かせながら、私はシス様の表情を伺った。
彼は一瞬、何かを考えるように目を伏せたが、やがて微かに笑った。
「そうだな……確かに、それなら問題ない」
納得したように頷くと、軽く肩をすくめる。
「では、これからはそう呼んでくれ」
「……改めまして、よろしくお願いします、シス様」
自分でも驚くほど、自然にその言葉が出た。けれど、同時に胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。
――嬉しい。
そう思った自分に、すぐさま嫌悪が湧いた。
(違う、これは"復讐のため")
私は彼の信頼を得る必要がある。そのためには、距離を詰めることが必要であり、自然な関係を築くことが重要。
これは、ただの計算された行動にすぎない。
(……だから、嬉しいなんて思うのは、おかしい)
私は自分に言い聞かせる。
だが、それでも。心の奥に残る微かな余韻を、完全に振り払うことはできなかった。
焼き立てのパンの香ばしい匂い、果物の甘酸っぱい香りが入り混じる市場の空気。
だが、私とシス様にとって、この場は決して"安息の地"ではなかった。
私は、肩にかかる粗末なマントをわずかに整える。
この姿ならば、貴族と気づかれることはない。――そう思いたい。
だが、違和感は消えない。
"私たちは、この場所に馴染めていない。"
理由は明白だ。
この国の王が死に、新王が擁立される今、"王族の血を引く者"であるシス様は、存在そのものが"処刑対象"なのだから。
「……すぐに追っ手が来るな」
シス様が低く呟いた。
私も静かに周囲へと視線を巡らせる。
兵士、傭兵、そして――見慣れぬ男たち。
彼らの表情に緊張はない。
だが、それが"演技"である可能性を考えなければならない。
まだ新王は正式に戴冠していない。
けれど、この混乱の中でシス様の首を取れば、間違いなく"大きな功績"となる。
私は、無意識に剣の柄へと手を伸ばしかけた。
(どんな手を使ってでも、シス様を殺しに来る)
それは"確定事項"だ。
新王派にとって、シス様の生存は"不都合"。
つまり、逃亡は困難を極める。
「ここで捕まるわけにはいかない」
王都に戻ることは不可能だった。貴族の領地も信用できない。
新王派の影響がどこまで及んでいるのか分からない以上、"裏切り"の可能性は常に存在する。
――逃亡は、絶望的に不利。
けれど、"まだ可能性はある"。
シス様は、ゆっくりと私を見つめ、静かに言った。
「国境駐留の騎士団に向かう」
私は、わずかに目を見開く。
国境には、かつてシス様が親しくしていた騎士団がいる。王国の外敵を防ぐために編成された独立軍団。
彼らは王都の貴族派閥とは異なり、王家に忠誠を誓った"剣"であり、"盾"である。
もし、彼らがまだ健在なら――"助けを得られる可能性がある"。
だが、それは"賭け"だった。
「……彼らが、寝返っていたら?」
私は問いかける。
新王派は、シス様の影響力を最も恐れている。ならば、当然"王子の逃亡先となる場所"には、すでに手を回している可能性が高い。
もし、国境の騎士団がすでに新王派に屈していたなら――
シス様は、一瞬だけ目を伏せた後、静かに答えた。
「それなら、それでいい」
「……?」
私は眉を寄せる。
「もし彼らが寝返っていたなら、それを確かめることも重要だ」
その言葉に、私はようやく理解した。
この戦いは、単なる"逃亡"ではない。
シス様にとって、この状況は"祖国を取り戻す戦いの始まり"なのだ。そのためには、"誰が敵で、誰が味方か"を見極める必要がある。
私は静かに頷いた。
「……なるほど」
しかし、悠長にしてはいられない。
私は市場の端に目を向ける。その先には、王都から派遣された騎士たちの姿があった。
彼らはまだ、こちらには気づいていない。
だが、時間の問題だ。
"ここにいる限り、いずれ見つかる"。
「……時間の猶予は、ほとんどないようですね」
シス様は深く頷き、鋭い眼差しで前を見据えた。
「ならば、行くぞ。すべては――"この国を取り戻すために"」
私はひっそりと市場の裏道へと身を滑り込ませた。王子が僅かに遅れてついてくる。
すべての人間が"敵"かもしれないこの土地。密告されれば、即座に追っ手がかかる。どの路地の影にも、潜んでいるかもしれない"裏切り者"。
この領地を突っ切る以外に、国境へ向かう道はない。
(本当に……シス様を守り切れるのか?)
自分の実力を疑っているわけではない。だが、戦場には"運"も"状況"も絡む。
敵の数、地の利、武器の差。いかに技が優れていても、状況次第であっけなく命は奪われる。
私は、そういう場を幾度となく見てきた。
(……間に合わないのではないか)
不安が、胸の奥からじわりと広がる。
シス様を守ることに意味はあるのか?
戦い続けた先に、どんな未来がある?
本当に、すべてを覆せるのか?
もし、このまま追われる日々が続けば。
(私たちは、どこかで"力尽きる")
無情な現実が、脳裏をかすめる。
だが、そんな考えが浮かんだ瞬間、私は強く拳を握りしめた。
"もう、二度と大切な人を失うものか"
あの時のように。
すべてを失い、ただ焼け落ちる屋敷の中で絶望に沈むような未来は、二度と。
次の瞬間、私は頭を振る。
違う。違う、違う、違う。
私は"感情で動いている"のか?
そんなことは、あってはならない。
シス様を守るのは、そういう理由じゃない。これは"復讐"のためだ。私の目的は、彼の生存の先にある。
彼が生きていれば、私の"本懐"を果たす機会が生まれる。それだけだ。
(……感情ではない。これは、合理的な判断だ)
だからこそ、私はシス様を守る。
だからこそ、私はシス様を"生き延びさせる"。
それが、私に課された使命。私は、もう一度深く息を吐き、目を閉じた。
("シス様を守る"……その先に、私の目的がある)
決して、惑わされるな。これは、私が選んだ"戦い"だ。
感情ではない。ただ、復讐のための道。それ以外は、何もいらない。
そう、心に言い聞かせる。そして、私は静かに目を開いた。
「……行きましょう、王子」
冷静な声で言う。シス様は短く頷く。
「"国境の騎士団"に辿り着くまで、全力で逃げる」
「……承知しました」
決断は、もう揺るがない。
全てを捨て、生き抜き、そして"王を取り戻す"ために。
「ちょっと待て。一つ言いたいことがある」
唐突に発せられた声に、私は足を止めた。私は、軽く振り返る。
「……なんでしょうか、王子」
「それだ」
「?」
一瞬、何を指しているのかわからず、私は彼を見つめる。だが、シス様は眉をひそめたまま、続けた。
「君が私を"王子"と呼ぶと、私がここにいることを喧伝しているに等しい」
その言葉を聞いて、ようやく私は彼の意図を理解した。確かに、彼は今や"王都を追われた亡命者"だ。
"王子"という呼び名は、彼がここにいることを周囲に知らしめるのと同じ。王都側に通じた者がこの町に潜んでいないとは限らない。
「……では、王子とは言わないようにいたします」
「助かる」
彼は短く答え、ふっと息をついた。確かに、今の状況を考えれば、これは当然の警戒だった。
王弟が新王を僭称している。彼の存在を嗅ぎつけられれば、それだけで命取りになりかねない。
「では……アレクシス様は――」
口にした瞬間、違和感が走った。
"アレクシス様"――それでは王子と呼ぶのと大して変わらない。
それに気づいたのは私だけではなかったらしく、彼は苦笑する。
「そうだな、それでは意味がない」
「でしたら――」
一拍、間を置く。
考える。どう呼べばいい?
"王子"と呼ぶのは問題外。"アレクシス様"もまた、目立ちすぎる。では、どうすればいい?
思い浮かんだのは、一つの名前。
「……シス様」
そう口にした瞬間、私の心臓が不自然なほどに跳ねた。
王子の表情が、一瞬だけ驚きに揺れる。
ほんの一瞬だったが、私の目はそれを確かに捉えていた。
(……しまった?)
今のはまずかっただろうか。"シス様"と呼ぶのは、昔の名残だった。幼い頃、まだ身分も関係なく剣を交えていた頃、私はそう彼を呼んでいた。
その呼び方を、無意識に選んでしまった。
「……その呼び方は」
王子の声が、僅かに詰まる。私はすぐに取り繕う。
「"アレク様"では不自然ですし、"シス様"なら問題ないかと」
まるで計算したかのように、理由を並べる。あくまでこれは実用性を考えた結果にすぎない。それ以上の意味はない。
そう言い聞かせながら、私はシス様の表情を伺った。
彼は一瞬、何かを考えるように目を伏せたが、やがて微かに笑った。
「そうだな……確かに、それなら問題ない」
納得したように頷くと、軽く肩をすくめる。
「では、これからはそう呼んでくれ」
「……改めまして、よろしくお願いします、シス様」
自分でも驚くほど、自然にその言葉が出た。けれど、同時に胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。
――嬉しい。
そう思った自分に、すぐさま嫌悪が湧いた。
(違う、これは"復讐のため")
私は彼の信頼を得る必要がある。そのためには、距離を詰めることが必要であり、自然な関係を築くことが重要。
これは、ただの計算された行動にすぎない。
(……だから、嬉しいなんて思うのは、おかしい)
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