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第1章 乙女ゲーの世界に転生しました
30 勢揃い
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「二人とも、そろそろ行きますわよ。始業式に遅れ――」
「リディアお姉様―!」
校門から弾丸のようにすっ飛んできたアイナが私に抱き着いてきた。
「あら、生きのいい妹ですわね」
なんて言ってみたけど、いつお姉様になったの私?
「今日という日を心から待ち望んでいましたわ! やっぱりリディアお姉様も入学されたのですね!」
「ええ。冒険者は趣味でやっていましたから」
クラウディウス公爵家の子供は代々学院に通わせるのが通例だ。禊として冒険者になるのを提案し、いち早く王都にやってきたのは生きていく手段の獲得とこの世界について学ぶためだった。おとなしくしているつもりが色んなイベントに遭遇して予定が狂いに狂っちゃったけど。
「アイナ! 走ったら危ないといつも言っているだろう!」
遅れてクラウスもやってきた。アイナの目が治っても過保護は相変わらずのようだ。
「おはよう、クラウス。驚いたよ。話には聞いていたけど、本当にアイナの目は治ったんだね」
「まあ、そのお声はもしかしてルーク様ですか? 噂で聞いていた以上に凛々しいお顔立ちですわ。リディアお姉様共々よろしくお願い致します」
「申し訳ございません、ルーク殿下。妹がはしたないところを……」
「構わないよ、クラウス。女神様のご慈悲があってよかったね」
「はい。ですがこの通りお転婆になってしまいまして。少々手を焼いています」
「お兄様、ルーク様に失礼なことを言わないでください」
アイナは頬を膨らませた。二人が喧嘩したときはどうなるかと思ったけど、ちゃんと仲直りできてよかった。
「お久しぶりです、クラウス様」
「オベール嬢か。お披露目式のとき以来だな。元気そうで何よりだ」
「ありがとうございます。そちらの方は、えっと……」
「彼女はアイナ。私の双子の妹だ」
「双子ですか。それにしてはお顔立ちが……」
「私たちは二卵性の双子だからな」
「そうでしたか。初めまして、アイナ様。クリスタ・オベールと申します」
「まあ、あなたが聖女様ですね! お目にかかれて光栄ですわ!」
クリスタとアイナはお互いに淑女らしい挨拶を交わした。ゲーム本編にはない組み合わせだけど、この様子なら仲良くやっていけそうだ。
「久しぶりだな、リディア。その節は大変世話になった」
「お久しぶりですわね、クラウス。お元気そうで何よりですわ」
「へえ……君たちが名前で呼び合うようになっていたなんて知らなかったよ」
私とクラウスを交互に見たあとでルーク様が言った。
「君とリディアは昔から仲が悪かったはずだけど、何があったのかな?」
「ル、ルーク殿下、それについてはその、色々ありまして……」
私がアイナの目を治したことは秘密にしているためクラウスが説明に困っている。
「こ、これには深い事情がありまして……」
クラウスは助けを求めるように私を見てきたが、私は気付かなかったふりをした。頑張れクラウス。
「朝から勢揃いかよ。これからみんなで仲良くバーベキューか?」
ディランがふらりとやってきた。朝からバーベキューは胃がもたれるから。
「あら、見ない顔ですわね。どちら様でしょうか?」
「俺の扱いが酷くねえか? 同じ夜を過ごした仲だってのに」
「そうでしたわね。激しく動き合ったのを覚えてますわ」
「あの夜のあんたはすごかった。今でもはっきり覚えてるぜ」
「あなたはもっと腰を入れて動くべきでしたわね。あんなへっぴり腰ではお話になりませんわ」
「あんたが相手じゃ俺も形無しだぜ。次は必ず満足させてやるよ」
私とディランは軽口を叩き合った。事情を知らない人が聞いたら間違った解釈をされそうだなー、なんて思っていると、ルーク様、アイナ、クリスタの三人が物凄い形相でディランへと詰め寄った。
「やあディラン。リディアと親しいようだけど、何があったのか詳しく説明してもらえないかな?」
「よ、ようルーク殿下。何だよいきなり……」
「ディランさん、でしたわね? 私はアイナ・フリージアと申します。リディアお姉様とはどのようなご関係でしょうか?」
「は、初めましてなのに何でそんな恐い顔してんだ?」
「お久しぶりです、ディラン様。クリスタです。お披露目式では大変お世話になりました。リディア様とは深いご関係のようですが、何があったか教えていただけませんか?」
「な、何だよ揃いも揃って!」
ディランは三人の手で壁際へと追い込まれていった。クラウスが「罪作りな女だ」とぼやいていたけど誰のことだろ?
何にしても、みんな私がしてきたことをそれぞれ秘密にしているようでよかった。
「そういえばディランとはお知り合いなのですか?」
私はクラウスに訊ねた。
「ああ。私もルーク殿下も時間があれば騎士団の稽古に参加しているからな。そのときに知り合ったんだ。彼の剣技は目を見張るものがある。最近は稽古に精を出しているようでな。訳を聞くと同い年の誰かに負けたのが悔しくて頑張っているそうだ。彼が剣で負けたなんて信じられない話だ」
それ完全に私のことだ。正体は黙ってくれているようでありがたい。
「……君に言われた通りアイナのことは誰にも話していない。その節は本当に世話になった。感謝している」
「お礼はもう聞き飽きましたわ。恩に着せるつもりもありません。忘れてくれて結構ですわ」
「……君には本当に驚かされてばかりだ。君の一面だけを見て、悪い噂に踊らされて……自分の見る目のなさを恥じるばかりだ」
「そう思うなら私のお眼鏡にかなうくらい見る目を養いなさいな」
「そうさせてもらう」
クラウスは微笑した。妹の尻に敷かれる残念なお兄ちゃんだと知らなければときめいていたかもしれない。
「クラウス。僕の目を盗んで抜け駆けするなんて酷いじゃないか」
「ぬ、抜け駆けですか? 仰っている意味がよく……」
「クラウス様、卑劣だとは思わないのですか?」
「お、オベール嬢? 卑劣とまで言われるようなことをした覚えはないのだが……」
「グッジョブです、お兄様! 私リディアお姉様とお兄様にはもっと仲良くなってほしいと思っていますの。そしてゆくゆくはリディアお姉様が私の本当のお姉様に……」
「あ、アイナ? 何の話をしているのかさっぱりわからないのだが……」
三人の次の獲物はクラウスのようだ。解放されたディランはほっとした顔をしている。
「……あんた両方イケる口なのか?」
「? 何の話をしているのかしら?」
「いや、何でもねえ……天然とかタチ悪いな」
ディランはバツが悪そうに後頭部を掻いた。
朝から大人数の相手で疲れたけど、とにかくこれで全員の顔見せは終わった。
「卑劣と言えば朝から異性を口説こうとしていた破廉恥な方もいましたね」
「誰のことを言っているのかな?」
「さあ、誰のことでしょうか?」
ルーク様とクリスタは互いの顔を見たあとでそっぽを向いた。
先行きが不安なんだけど。
「リディアお姉様―!」
校門から弾丸のようにすっ飛んできたアイナが私に抱き着いてきた。
「あら、生きのいい妹ですわね」
なんて言ってみたけど、いつお姉様になったの私?
「今日という日を心から待ち望んでいましたわ! やっぱりリディアお姉様も入学されたのですね!」
「ええ。冒険者は趣味でやっていましたから」
クラウディウス公爵家の子供は代々学院に通わせるのが通例だ。禊として冒険者になるのを提案し、いち早く王都にやってきたのは生きていく手段の獲得とこの世界について学ぶためだった。おとなしくしているつもりが色んなイベントに遭遇して予定が狂いに狂っちゃったけど。
「アイナ! 走ったら危ないといつも言っているだろう!」
遅れてクラウスもやってきた。アイナの目が治っても過保護は相変わらずのようだ。
「おはよう、クラウス。驚いたよ。話には聞いていたけど、本当にアイナの目は治ったんだね」
「まあ、そのお声はもしかしてルーク様ですか? 噂で聞いていた以上に凛々しいお顔立ちですわ。リディアお姉様共々よろしくお願い致します」
「申し訳ございません、ルーク殿下。妹がはしたないところを……」
「構わないよ、クラウス。女神様のご慈悲があってよかったね」
「はい。ですがこの通りお転婆になってしまいまして。少々手を焼いています」
「お兄様、ルーク様に失礼なことを言わないでください」
アイナは頬を膨らませた。二人が喧嘩したときはどうなるかと思ったけど、ちゃんと仲直りできてよかった。
「お久しぶりです、クラウス様」
「オベール嬢か。お披露目式のとき以来だな。元気そうで何よりだ」
「ありがとうございます。そちらの方は、えっと……」
「彼女はアイナ。私の双子の妹だ」
「双子ですか。それにしてはお顔立ちが……」
「私たちは二卵性の双子だからな」
「そうでしたか。初めまして、アイナ様。クリスタ・オベールと申します」
「まあ、あなたが聖女様ですね! お目にかかれて光栄ですわ!」
クリスタとアイナはお互いに淑女らしい挨拶を交わした。ゲーム本編にはない組み合わせだけど、この様子なら仲良くやっていけそうだ。
「久しぶりだな、リディア。その節は大変世話になった」
「お久しぶりですわね、クラウス。お元気そうで何よりですわ」
「へえ……君たちが名前で呼び合うようになっていたなんて知らなかったよ」
私とクラウスを交互に見たあとでルーク様が言った。
「君とリディアは昔から仲が悪かったはずだけど、何があったのかな?」
「ル、ルーク殿下、それについてはその、色々ありまして……」
私がアイナの目を治したことは秘密にしているためクラウスが説明に困っている。
「こ、これには深い事情がありまして……」
クラウスは助けを求めるように私を見てきたが、私は気付かなかったふりをした。頑張れクラウス。
「朝から勢揃いかよ。これからみんなで仲良くバーベキューか?」
ディランがふらりとやってきた。朝からバーベキューは胃がもたれるから。
「あら、見ない顔ですわね。どちら様でしょうか?」
「俺の扱いが酷くねえか? 同じ夜を過ごした仲だってのに」
「そうでしたわね。激しく動き合ったのを覚えてますわ」
「あの夜のあんたはすごかった。今でもはっきり覚えてるぜ」
「あなたはもっと腰を入れて動くべきでしたわね。あんなへっぴり腰ではお話になりませんわ」
「あんたが相手じゃ俺も形無しだぜ。次は必ず満足させてやるよ」
私とディランは軽口を叩き合った。事情を知らない人が聞いたら間違った解釈をされそうだなー、なんて思っていると、ルーク様、アイナ、クリスタの三人が物凄い形相でディランへと詰め寄った。
「やあディラン。リディアと親しいようだけど、何があったのか詳しく説明してもらえないかな?」
「よ、ようルーク殿下。何だよいきなり……」
「ディランさん、でしたわね? 私はアイナ・フリージアと申します。リディアお姉様とはどのようなご関係でしょうか?」
「は、初めましてなのに何でそんな恐い顔してんだ?」
「お久しぶりです、ディラン様。クリスタです。お披露目式では大変お世話になりました。リディア様とは深いご関係のようですが、何があったか教えていただけませんか?」
「な、何だよ揃いも揃って!」
ディランは三人の手で壁際へと追い込まれていった。クラウスが「罪作りな女だ」とぼやいていたけど誰のことだろ?
何にしても、みんな私がしてきたことをそれぞれ秘密にしているようでよかった。
「そういえばディランとはお知り合いなのですか?」
私はクラウスに訊ねた。
「ああ。私もルーク殿下も時間があれば騎士団の稽古に参加しているからな。そのときに知り合ったんだ。彼の剣技は目を見張るものがある。最近は稽古に精を出しているようでな。訳を聞くと同い年の誰かに負けたのが悔しくて頑張っているそうだ。彼が剣で負けたなんて信じられない話だ」
それ完全に私のことだ。正体は黙ってくれているようでありがたい。
「……君に言われた通りアイナのことは誰にも話していない。その節は本当に世話になった。感謝している」
「お礼はもう聞き飽きましたわ。恩に着せるつもりもありません。忘れてくれて結構ですわ」
「……君には本当に驚かされてばかりだ。君の一面だけを見て、悪い噂に踊らされて……自分の見る目のなさを恥じるばかりだ」
「そう思うなら私のお眼鏡にかなうくらい見る目を養いなさいな」
「そうさせてもらう」
クラウスは微笑した。妹の尻に敷かれる残念なお兄ちゃんだと知らなければときめいていたかもしれない。
「クラウス。僕の目を盗んで抜け駆けするなんて酷いじゃないか」
「ぬ、抜け駆けですか? 仰っている意味がよく……」
「クラウス様、卑劣だとは思わないのですか?」
「お、オベール嬢? 卑劣とまで言われるようなことをした覚えはないのだが……」
「グッジョブです、お兄様! 私リディアお姉様とお兄様にはもっと仲良くなってほしいと思っていますの。そしてゆくゆくはリディアお姉様が私の本当のお姉様に……」
「あ、アイナ? 何の話をしているのかさっぱりわからないのだが……」
三人の次の獲物はクラウスのようだ。解放されたディランはほっとした顔をしている。
「……あんた両方イケる口なのか?」
「? 何の話をしているのかしら?」
「いや、何でもねえ……天然とかタチ悪いな」
ディランはバツが悪そうに後頭部を掻いた。
朝から大人数の相手で疲れたけど、とにかくこれで全員の顔見せは終わった。
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