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19話
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神獣エテルナが残した黄金の羽毛。それは、カナデの「器」の力を増幅させるだけでなく、彼が愛を注いだものに「進化」を促す、とんでもない聖遺物だった。
翌朝。カナデが目を覚ますと、ベッドの周りが異様な熱気に包まれていた。
「……あれ。ライカ? 羊さん……? みんな、どこ……?」
視界を遮っていたのは、いつもの「もふもふ」たちではない。
カナデのベッドを囲んでいたのは、モデル顔負けの美男子たちの集団だった。
「お目覚めか、カナデ。……我だ。お前の愛に、この姿で応えよう」
「カナデさん! 僕のことも、もっと撫でてください!」
一番近くでカナデの手を握っていたのは、白銀の髪を持つ、冷酷さと野性味を併せ持った超絶美形――擬人化したライカだった。さらに、隣には、ふわふわの金髪を揺らして潤んだ瞳でカナデを見つめる美少年――夢見羊。
「え……えええええええええええっ!? だ、誰!? なんでみんな人間になってるの!?」
「カナデ。我らは、お前の深い愛情と、あの神の羽毛の力で人の器を得た。これからは、あの嫉妬深い団長に邪魔されず、お前を支えることができる」
ライカが、カナデの額に優しく唇を寄せた。
その瞬間。
バゴォォォォォォォォン!!
寝室のドアが、物理的な衝撃波で粉々に粉砕された。
そこには、あまりの怒りと絶望で、全身から漆黒の魔力の炎を立ち昇らせたヴォルフガングが立っていた。
「……殺す。一匹残らず、今この場で、原子レベルまで粉砕して消し去る」
「団長、待って! 暴力反対! この人(?)たちはライカたちなんです!」
「知るか! カナデに触れていいのは私だけだと言ったはずだ! ライカ、貴様、今まであんなに可愛がってやった恩を忘れ、飼い主の妃に手を出そうというのか!」
ヴォルフガングの手に具現化したのは、神をも殺すといわれた黒氷の魔剣。
「恩だと? お前は我を『カナデに触れるためのダシ』にしていただけだろうが。……カナデ、こんな重すぎる男はやめて、我らと共に野生に帰ろう」
「そうだそうだ! カナデさんを独占しすぎです!」
美少年(羊)や美青年(翼を持つ猫)たちが一斉にヴォルフガングに反旗を翻す。
「……いいだろう。騎士団長としてではなく、一人の男として、貴様らすべてを『排除』してやる。……カナデ、見ていろ。これが、貴様を愛しすぎる男の、最後の理性の決壊だ」
「やめてーーー! 騎士団本部が崩壊しちゃう!!」
カナデは必死にベッドから飛び出し、ヴォルフガングの前に立ち塞がった。
「団長、落ち着いてください! みんなが人間になったのは、僕の力が暴走したせいなんです! 団長のことが大好きだから、その魔力が溢れちゃったんです!」
「…………大好き、だと?」
ヴォルフガングの動きがピタリと止まった。漆黒の炎が、シュン……と消える。
「今、何と言った。もう一度言え。録音の魔道具を持ってくるまで待て」
「言いませんよ! ……とにかく、みんなを攻撃しないでください。みんな、僕の大切な友達なんです。……でも、僕の『番』は、あなた一人だけですから」
カナデが真っ赤な顔でヴォルフガングのシャツの裾をギュッと掴む。
それを見た擬人化軍団は、「チッ……勝ち目がないな」「愛の重さが桁違いだ……」と、次々に「もふもふ」の姿に戻っていった。
静まり返った室内。
ヴォルフガングは、魂が抜けたような顔でカナデを抱き上げると、そのまま床に膝をついた。
「カナデ……。貴様という奴は……。……よし、決めた。今日で騎士団長は辞める。明日からは二人で、誰も来ない僻地で暮らすぞ」
「急に極端なスローライフに舵を切らないでください! 仕事してください!」
「仕事など、貴様を愛でることに比べれば塵に等しい。……さあ、今の『大好き』を、あと一万回聞かせてもらおうか」
「嫌です!!」
カナデの叫びが響く中、騎士団には今日も平和(?)な日常が訪れる。
だが、二人の絆は、このカオスな出来事を経て、もはや何者にも引き裂けない「絶対の執着」へと昇華したのだった。
翌朝。カナデが目を覚ますと、ベッドの周りが異様な熱気に包まれていた。
「……あれ。ライカ? 羊さん……? みんな、どこ……?」
視界を遮っていたのは、いつもの「もふもふ」たちではない。
カナデのベッドを囲んでいたのは、モデル顔負けの美男子たちの集団だった。
「お目覚めか、カナデ。……我だ。お前の愛に、この姿で応えよう」
「カナデさん! 僕のことも、もっと撫でてください!」
一番近くでカナデの手を握っていたのは、白銀の髪を持つ、冷酷さと野性味を併せ持った超絶美形――擬人化したライカだった。さらに、隣には、ふわふわの金髪を揺らして潤んだ瞳でカナデを見つめる美少年――夢見羊。
「え……えええええええええええっ!? だ、誰!? なんでみんな人間になってるの!?」
「カナデ。我らは、お前の深い愛情と、あの神の羽毛の力で人の器を得た。これからは、あの嫉妬深い団長に邪魔されず、お前を支えることができる」
ライカが、カナデの額に優しく唇を寄せた。
その瞬間。
バゴォォォォォォォォン!!
寝室のドアが、物理的な衝撃波で粉々に粉砕された。
そこには、あまりの怒りと絶望で、全身から漆黒の魔力の炎を立ち昇らせたヴォルフガングが立っていた。
「……殺す。一匹残らず、今この場で、原子レベルまで粉砕して消し去る」
「団長、待って! 暴力反対! この人(?)たちはライカたちなんです!」
「知るか! カナデに触れていいのは私だけだと言ったはずだ! ライカ、貴様、今まであんなに可愛がってやった恩を忘れ、飼い主の妃に手を出そうというのか!」
ヴォルフガングの手に具現化したのは、神をも殺すといわれた黒氷の魔剣。
「恩だと? お前は我を『カナデに触れるためのダシ』にしていただけだろうが。……カナデ、こんな重すぎる男はやめて、我らと共に野生に帰ろう」
「そうだそうだ! カナデさんを独占しすぎです!」
美少年(羊)や美青年(翼を持つ猫)たちが一斉にヴォルフガングに反旗を翻す。
「……いいだろう。騎士団長としてではなく、一人の男として、貴様らすべてを『排除』してやる。……カナデ、見ていろ。これが、貴様を愛しすぎる男の、最後の理性の決壊だ」
「やめてーーー! 騎士団本部が崩壊しちゃう!!」
カナデは必死にベッドから飛び出し、ヴォルフガングの前に立ち塞がった。
「団長、落ち着いてください! みんなが人間になったのは、僕の力が暴走したせいなんです! 団長のことが大好きだから、その魔力が溢れちゃったんです!」
「…………大好き、だと?」
ヴォルフガングの動きがピタリと止まった。漆黒の炎が、シュン……と消える。
「今、何と言った。もう一度言え。録音の魔道具を持ってくるまで待て」
「言いませんよ! ……とにかく、みんなを攻撃しないでください。みんな、僕の大切な友達なんです。……でも、僕の『番』は、あなた一人だけですから」
カナデが真っ赤な顔でヴォルフガングのシャツの裾をギュッと掴む。
それを見た擬人化軍団は、「チッ……勝ち目がないな」「愛の重さが桁違いだ……」と、次々に「もふもふ」の姿に戻っていった。
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ヴォルフガングは、魂が抜けたような顔でカナデを抱き上げると、そのまま床に膝をついた。
「カナデ……。貴様という奴は……。……よし、決めた。今日で騎士団長は辞める。明日からは二人で、誰も来ない僻地で暮らすぞ」
「急に極端なスローライフに舵を切らないでください! 仕事してください!」
「仕事など、貴様を愛でることに比べれば塵に等しい。……さあ、今の『大好き』を、あと一万回聞かせてもらおうか」
「嫌です!!」
カナデの叫びが響く中、騎士団には今日も平和(?)な日常が訪れる。
だが、二人の絆は、このカオスな出来事を経て、もはや何者にも引き裂けない「絶対の執着」へと昇華したのだった。
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