親友と一緒に異世界転生したら俺だけ神獣だった件 ~伝説の召喚術師になったあいつの溺愛が物理的に重すぎます~

たら昆布

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19話

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 まどろみの中で、どこか遠くで鳥が鳴いているのが聞こえた。
 意識がゆっくりと浮上してくるけれど、身体が驚くほど温かくて、目を開けるのがもったいない。

(……ああ、そうか。昨日の夜は……)

 自分の右手に、誰かの手の感触があることを思い出す。
 薄目を開けると、案の定、恭介の大きな掌が俺の指をしっかりと、けれど優しく握りしめたままだった。
 おまけに、布団の中で俺の尻尾が恭介の脚にしっかりと巻き付いている。

(……副作用、副作用。これは全部、神獣の身体のせいだ)

 俺は心の中で自分に言い訳をしながら、そっと手を抜こうとした。
 だが、その瞬間に恭介の指がぴくりと動き、さらに強く握り返される。

「……陽太。まだ、供給が終わってないぞ」

「……っ、お前、起きてたのか」

 恭介が、掠れた寝起き特有の声で呟いた。
 彼は顔を半分枕に埋めたまま、片方の目で俺をじっと見つめてくる。その瞳はまだ眠たげだが、俺を離す気はさらさらないようだ。

「……供給って、もう朝だろ。太陽があんなに高いぞ」

「いや、今朝は魔力の還元効率が悪いみたいだ。……あと五分。あと五分だけ、こうしてないと、お前の耳が消えるかもしれない」

「嘘つけ! 適当なこと言ってんじゃねーよ!」

 俺はツッコミを入れたものの、結局、繋がれた手を振り払うことはできなかった。
 むしろ、恭介の体温が心地よくて、俺も枕に顔を埋め直す。

「……なあ、恭介」

「んー?」

「人間に戻ってからさ。……なんか、お前との時間が前より長く感じる気がする。もふもふの時は、ただ撫でられてるだけで一日が終わってたけど」

「そうか? 俺は逆だな。……陽太と話せるようになったから、時間が過ぎるのが早すぎる。……ずっと、こうしてたいくらいだ」

 恭介の言葉が、耳のすぐ後ろで響く。
 俺の白い耳が、感情に正直にパタパタと動いて、恭介の頬をくすぐった。

「はは、耳がうるさいぞ。陽太」

「うるせー。……お前が変なこと言うからだろ」

 俺は照れ隠しに、恭介の握っている手をぐいっと引っ張った。
 すると、恭介はそのままの勢いで俺の背中に顔を寄せ、小さな子供のように丸くなって俺の体温を求めてきた。

「……陽太。お前、本当にいい匂いがするな。……神獣の時もそうだったけど、人間になっても変わらない」

「……石鹸の匂いだろ、どうせ」

「違うよ。……お前の匂いだ」

 恭介の腕が、俺の腰のあたりに回される。
 もふもふの時のような「抱っこ」ではなく、男同士の、けれどひどく甘やかな「抱擁」。
 
 結局、「あと五分」と言ったはずの時間は、十分になり、二十分になり……。
 侍女が朝食を知らせるノックをするまで、俺たちはどちらからともなく、そのぬくもりの中に留まり続けた。

 特別なことは起きなくても、ただこうして隣で目覚めることが、俺たちにとっての「新しい日常」になりつつあった。
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