砂漠の夜に刻む誓い 〜考古学者は若き族長に愛でられる〜

たら昆布

文字の大きさ
10 / 23

10話

しおりを挟む
 シャツの中に侵入したザイドの手が、遥希のわき腹を情欲を孕んだ強さで撫で上げた。

 「っ……、あ……」

 遥希の口から、自分でも驚くほど甘く、掠れた声が漏れる。

 洞窟の外では、砂嵐が咆哮を上げ、岩壁を叩きつけている。その凄まじい轟音が、かえってこの狭い空間の静寂と、密着した二人の鼓動を際立たせていた。

 「震えているな、遥希。怖いのか? それとも、俺の指に悦んでいるのか」

 ザイドの低い声が、至近距離で耳朶を震わせる。

 「ちが、……離して……。誰かに、見られたら……」

 「誰も来ない。この嵐の中、動けるのは俺だけだ。ここには、お前を捕らえた俺と、俺に捕らえられたお前しかいない」

 ザイドは遥希の細い両手首を片手で纏めて頭上に押し上げると、空いた手で遥希の顎を強引に上向かせた。

 その金色の瞳には、薄暗い洞窟の中でもはっきりと分かるほどの、昏い欲望が渦巻いている。

 「ん、んんっ……!」

 再び重なった唇は、もはや「口づけ」と呼ぶにはあまりに暴力的で、情熱的だった。

 ザイドの舌が遥希の口内を蹂躙し、敏感な上顎をなぞり、逃げる舌を追い詰めて絡め取る。

 酸素を奪われ、遥希の視界が火花を散らす。

 ザイドの掌がシャツのボタンをいくつかはじき飛ばし、剥き出しになった胸元へ。

 硬く尖った先端を、指先でなぞられ、容赦なく摘ままれる。

 「ひ、あぁっ……! あ、ダメ……そこっ……」

 「ダメなものか。お前の身体は、こんなにも俺の愛撫を求めて尖っているぞ」

 ザイドの唇が口内から離れ、熱を帯びたまま遥希の耳元、そして喉仏へと下りていく。

 吸い上げるようにして鎖骨の窪みに新たな「証」が刻まれるたび、遥希の膝はガクガクと震え、支えを失ってザイドの身体に崩れ落ちた。

 「は、はぁ……っ、……ザイド、さま……っ」

 「そうだ、俺の名を呼べ。その声で、もっと俺を求めてみせろ」

 ザイドは遥希の腰を引き寄せ、自身の股間の熱を、遥希の柔らかな太ももに押し当てた。

 布越しでも分かる、荒々しく昂った彼の質量。

 遥希は恐怖を通り越し、得体の知れない熱に浮かされていた。

 考古学者としての冷静さは、砂嵐に吹き飛ばされた。今、この腕の中にいる男が自分の世界のすべてだという錯覚に、心も身体も支配されていく。

 ザイドの指先が、遥希のズボンのベルトに手をかけた。

 「お前のすべてを、この夜に呑み込んでやる……。覚悟しろ、遥希」

 嵐の夜、二人の境界線は、甘い痛みとともに溶け始めていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あなたが好きでした

オゾン層
BL
 私はあなたが好きでした。  ずっとずっと前から、あなたのことをお慕いしておりました。  これからもずっと、このままだと、その時の私は信じて止まなかったのです。

敵国の将軍×見捨てられた王子

モカ
BL
敵国の将軍×見捨てられた王子

僕は今日、謳う

ゆい
BL
紅葉と海を観に行きたいと、僕は彼に我儘を言った。 彼はこのクリスマスに彼女と結婚する。 彼との最後の思い出が欲しかったから。 彼は少し困り顔をしながらも、付き合ってくれた。 本当にありがとう。親友として、男として、一人の人間として、本当に愛しているよ。 終始セリフばかりです。 話中の曲は、globe 『Wanderin' Destiny』です。 名前が出てこない短編part4です。 誤字脱字がないか確認はしておりますが、ありましたら報告をいただけたら嬉しいです。 途中手直しついでに加筆もするかもです。 感想もお待ちしています。 片付けしていたら、昔懐かしの3.5㌅FDが出てきまして。内容を確認したら、若かりし頃の黒歴史が! あらすじ自体は悪くはないと思ったので、大幅に修正して投稿しました。 私の黒歴史供養のために、お付き合いくださいませ。

もう一度、その腕に

結衣可
BL
もう一度、その腕に

君と秘密の部屋

325号室の住人
BL
☆全3話 完結致しました。 「いつから知っていたの?」 今、廊下の突き当りにある第3書庫準備室で僕を壁ドンしてる1歳年上の先輩は、乙女ゲームの攻略対象者の1人だ。 対して僕はただのモブ。 この世界があのゲームの舞台であると知ってしまった僕は、この第3書庫準備室の片隅でこっそりと2次創作のBLを書いていた。 それが、この目の前の人に、主人公のモデルが彼であるとバレてしまったのだ。 筆頭攻略対象者第2王子✕モブヲタ腐男子

あの頃の僕らは、

のあ
BL
親友から逃げるように上京した健人は、幼馴染と親友が結婚したことを知り、大学時代の歪な関係に向き合う決意をするー。

成長を見守っていた王子様が結婚するので大人になったなとしみじみしていたら結婚相手が自分だった

みたこ
BL
年の離れた友人として接していた王子様となぜか結婚することになったおじさんの話です。

狂わせたのは君なのに

一寸光陰
BL
ガベラは10歳の時に前世の記憶を思い出した。ここはゲームの世界で自分は悪役令息だということを。ゲームではガベラは主人公ランを悪漢を雇って襲わせ、そして断罪される。しかし、ガベラはそんなこと望んでいないし、罰せられるのも嫌である。なんとかしてこの運命を変えたい。その行動が彼を狂わすことになるとは知らずに。 完結保証 番外編あり

処理中です...