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4話
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馬車での一件以来、ヴォルフ陛下の僕に対する執着は、もはや周囲が戸惑うほどに加速していった。
案内されたのは、本宮から少し離れた湖のほとりに建つ、白亜の離宮。
「ユキ専用の住まいだ」と言われたそこは、壁一面が魔力伝導率の高いクリスタルで装飾され、床には最高級の毛皮が敷き詰められた、まさに宝石箱のような場所だった。
「陛下……ここは?」
「今日からここがお前の城だ。……そして、私のための『癒やし』の場でもある」
ヴォルフ陛下は僕を背後から抱きしめ、首筋に深く鼻先を埋めた。
その仕草は、まるで自分の獲物に熱心に印を付ける獣のようだ。
離宮の扉が重厚な音を立てて閉まり、魔法の鍵がかけられる。
カチリ、というその音は、僕がこの外の世界から完全に遮断された合図のように聞こえた。
「陛下、あの……。窓に、格子が……」
ふと見上げた窓には、精巧な装飾が施されているが、明らかに人の通り抜けを拒む強固な金色の格子がはめられていた。
「格子ではない。……外から不埒な輩が侵入せぬよう、私が自ら結界を張ったのだ。ユキ、お前はここで、ただ私に愛されることだけを考えていればいい」
「でも……」
「外など見る必要はない。……私がお前のすべてを満たしてやる」
陛下の手が、僕の薄いシャツの裾から這い入ってくる。
その大きな掌が、僕の腰を強く引き寄せた。
驚いたことに、離宮のクリスタルの壁が、陛下の感情に呼応するように淡く桃色に発光し始めた。
「あっ……なに、これ……?」
「この離宮全体がお前の魔力と私の魔力に反応するよう設計されている。……ユキ、昨夜からずっと、私の魔力がお前の中で疼いているのが分かるか?」
言われて気づく。
僕の身体の奥底、昨夜陛下に注ぎ込まれた「熱」の種が、彼の声を聞くたびに、指先が触れるたびに、トクトクと脈打って疼いている。
それは、彼なしでは決して鎮まることのない、甘い渇きだった。
「ひ……あ、ああ……っ」
僕の膝が、不意に崩れそうになる。
それを支えるように、陛下は僕を毛皮の絨毯の上へと押し倒した。
天井に張り巡らされた鏡に、されるがままの僕と、飢えた瞳で僕を組み敷く陛下の姿が映る。
「……ユキ。お前の身体は、私の魔力を吸い取りすぎて、もう私なしでは正常に機能しないようになっている。……私が触れなければ、お前は自分自身の熱で壊れてしまうのだ」
「そんな……っ。陛下、意地悪です……」
「意地悪ではない。真実だ」
ヴォルフ陛下の長い指が、僕の胸元を愛撫する。
ただ触れられているだけなのに、頭の芯がとろけるような快感が走り、僕は背中を反らせた。
魔力なしと言われた僕の身体。
けれど今、身体中を駆け巡っているのは、間違いなく陛下の「色」に染まった力だ。
「んんっ……ふ、ぁ……っ!」
「いい声だ。……もっと聞かせろ。お前が私の毒に侵され、私を求めて鳴く声を」
陛下は僕の耳たぶを強く吸い上げ、低い声で囁いた。
その瞬間、身体の奥で何かが弾けた。
熱い、熱い。
昨夜よりもずっと、身体が彼を求めて、卑しく窄まっていく。
「……陛下……お願い、します……。熱くて、壊れそう……っ」
「……自分から言えたな。偉いぞ、ユキ」
ヴォルフ陛下は満足げに目を細めると、僕の唇を強引に奪った。
何度も、何度も、深く、執拗に。
その接吻だけで、僕の身体はガクガクと震え、指先まで痺れていく。
離宮の壁は、僕たちの情熱を吸い取って、ますます鮮やかに輝きを増していく。
窓の格子の向こうには、自由な空が広がっているはずなのに。
今の僕には、この閉ざされた空間で、自分を支配し、溺れさせてくれる陛下の熱だけが世界のすべてだった。
「……あ、ああっ! ヴォルフ……陛下……っ!」
「そうだ、そのまま私の名前を呼べ。……お前を、誰の手も届かない場所へ隠してやる。お前が、私以外の男を知らぬまま、私の腕の中で果てるまで」
それは、甘美な呪いの言葉。
僕は彼に抱かれながら、自分が一歩ずつ、引き返せない深淵へと堕ちていくのを感じていた。
「無能」と捨てられた僕に、居場所をくれたのはこの狂犬皇帝だ。
たとえそれが、一生出ることのできない、甘い檻の中だったとしても。
「……んん……っ。もう、陛下以外……いらない……っ」
無意識に漏らしたその言葉に、ヴォルフ陛下の瞳に狂おしいほどの愛着が宿ったのを、僕は霞む視界の中で見つめていた。
案内されたのは、本宮から少し離れた湖のほとりに建つ、白亜の離宮。
「ユキ専用の住まいだ」と言われたそこは、壁一面が魔力伝導率の高いクリスタルで装飾され、床には最高級の毛皮が敷き詰められた、まさに宝石箱のような場所だった。
「陛下……ここは?」
「今日からここがお前の城だ。……そして、私のための『癒やし』の場でもある」
ヴォルフ陛下は僕を背後から抱きしめ、首筋に深く鼻先を埋めた。
その仕草は、まるで自分の獲物に熱心に印を付ける獣のようだ。
離宮の扉が重厚な音を立てて閉まり、魔法の鍵がかけられる。
カチリ、というその音は、僕がこの外の世界から完全に遮断された合図のように聞こえた。
「陛下、あの……。窓に、格子が……」
ふと見上げた窓には、精巧な装飾が施されているが、明らかに人の通り抜けを拒む強固な金色の格子がはめられていた。
「格子ではない。……外から不埒な輩が侵入せぬよう、私が自ら結界を張ったのだ。ユキ、お前はここで、ただ私に愛されることだけを考えていればいい」
「でも……」
「外など見る必要はない。……私がお前のすべてを満たしてやる」
陛下の手が、僕の薄いシャツの裾から這い入ってくる。
その大きな掌が、僕の腰を強く引き寄せた。
驚いたことに、離宮のクリスタルの壁が、陛下の感情に呼応するように淡く桃色に発光し始めた。
「あっ……なに、これ……?」
「この離宮全体がお前の魔力と私の魔力に反応するよう設計されている。……ユキ、昨夜からずっと、私の魔力がお前の中で疼いているのが分かるか?」
言われて気づく。
僕の身体の奥底、昨夜陛下に注ぎ込まれた「熱」の種が、彼の声を聞くたびに、指先が触れるたびに、トクトクと脈打って疼いている。
それは、彼なしでは決して鎮まることのない、甘い渇きだった。
「ひ……あ、ああ……っ」
僕の膝が、不意に崩れそうになる。
それを支えるように、陛下は僕を毛皮の絨毯の上へと押し倒した。
天井に張り巡らされた鏡に、されるがままの僕と、飢えた瞳で僕を組み敷く陛下の姿が映る。
「……ユキ。お前の身体は、私の魔力を吸い取りすぎて、もう私なしでは正常に機能しないようになっている。……私が触れなければ、お前は自分自身の熱で壊れてしまうのだ」
「そんな……っ。陛下、意地悪です……」
「意地悪ではない。真実だ」
ヴォルフ陛下の長い指が、僕の胸元を愛撫する。
ただ触れられているだけなのに、頭の芯がとろけるような快感が走り、僕は背中を反らせた。
魔力なしと言われた僕の身体。
けれど今、身体中を駆け巡っているのは、間違いなく陛下の「色」に染まった力だ。
「んんっ……ふ、ぁ……っ!」
「いい声だ。……もっと聞かせろ。お前が私の毒に侵され、私を求めて鳴く声を」
陛下は僕の耳たぶを強く吸い上げ、低い声で囁いた。
その瞬間、身体の奥で何かが弾けた。
熱い、熱い。
昨夜よりもずっと、身体が彼を求めて、卑しく窄まっていく。
「……陛下……お願い、します……。熱くて、壊れそう……っ」
「……自分から言えたな。偉いぞ、ユキ」
ヴォルフ陛下は満足げに目を細めると、僕の唇を強引に奪った。
何度も、何度も、深く、執拗に。
その接吻だけで、僕の身体はガクガクと震え、指先まで痺れていく。
離宮の壁は、僕たちの情熱を吸い取って、ますます鮮やかに輝きを増していく。
窓の格子の向こうには、自由な空が広がっているはずなのに。
今の僕には、この閉ざされた空間で、自分を支配し、溺れさせてくれる陛下の熱だけが世界のすべてだった。
「……あ、ああっ! ヴォルフ……陛下……っ!」
「そうだ、そのまま私の名前を呼べ。……お前を、誰の手も届かない場所へ隠してやる。お前が、私以外の男を知らぬまま、私の腕の中で果てるまで」
それは、甘美な呪いの言葉。
僕は彼に抱かれながら、自分が一歩ずつ、引き返せない深淵へと堕ちていくのを感じていた。
「無能」と捨てられた僕に、居場所をくれたのはこの狂犬皇帝だ。
たとえそれが、一生出ることのできない、甘い檻の中だったとしても。
「……んん……っ。もう、陛下以外……いらない……っ」
無意識に漏らしたその言葉に、ヴォルフ陛下の瞳に狂おしいほどの愛着が宿ったのを、僕は霞む視界の中で見つめていた。
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