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10話
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元婚約者の王子を追い払い、魔王城へ帰還した直後のことだった。
いつもなら「供給だ」と軽口を叩いて僕を揶揄うゼノス様の様子が、明らかにおかしい。
「ゼノス様……? 顔色が悪いですよ。また魔力が足りないんじゃ……」
僕が心配して彼の手を握ろうとした瞬間、パァン!と弾けるような衝撃波が走り、部屋の窓ガラスにヒビが入った。ゼノス様の手は、火傷しそうなほど熱く、どす黒い魔力の霧が彼の全身から噴き出している。
「……来るな、エルヴィン。離れろ……ッ!」
ゼノス様は、自分自身の右腕を左手で抑え込み、膝を突いた。
紅い瞳は血走っており、普段の冷静さは微塵もない。溢れ出した魔力が部屋中の家具をなぎ倒し、嵐のような圧迫感が僕を襲う。
「どうしたんですか、これ……! カインさん! 誰か!」
「……無駄だ。これは、外部からの魔力不足ではない。……お前を別の男に見せつけられた怒りと、お前を今すぐここで、完全に俺のものにしたいという『独占欲』が、俺の魔力回路を焼き切ろうとしているんだ……」
ゼノス様は、苦しげに喘ぎながら、床を拳で叩きつけた。
魔王の魔力は、感情と直結している。僕を愛しすぎるがゆえに、彼の強大すぎる力が暴走し、自らの肉体を内側から破壊しようとしているのだ。
「このままでは……俺はお前を、殺してしまうかもしれん。……行け、エルヴィン。俺が自分を保てているうちに……っ!」
逃げろと言われて、はいそうですかと逃げられるほど、僕は薄情な人間じゃない。
確かにこの人は強引で、変態で、愛が重すぎて困るけれど……僕を「道具」ではなく「一人の人間」として、こんなにも激しく求めてくれたのは、世界で彼一人だけだ。
「……嫌です。逃げません」
僕は震える足で一歩踏み出し、荒れ狂う魔力の渦の中に飛び込んだ。
ゼノス様の背中にしがみつくと、熱を帯びた彼の肌から、僕の細い腕に電撃のような痛みが走る。
「エルヴィン……貴様、何を……!」
「供給が必要なんでしょう!? だったら、僕が全部受け止めます! 僕の魔力を全部あげるから、ゼノス様のその苦しいの、僕に流し込んでください!」
僕は彼の首筋に顔を埋め、自分から唇を重ねた。
その瞬間、ダムが決壊したような衝撃が僕の体中を駆け巡った。
「――っ、あああああぁぁッ!!」
ゼノス様の暴走した魔力が、接吻を通じて僕の体内へと流れ込んでくる。
普通の人間なら即座に焼き切れるほどの出力だが、僕は希少な『供給体』だ。彼の荒ぶる力を受け止め、浄化し、再び彼へと還すことができる唯一の存在。
ゼノス様の理性が、ついにプツリと切れる音がした。
「……知らんぞ。もう、二度と離してやらん」
彼は獣のような咆哮を上げると、僕を乱暴にベッドへと押し倒した。
昨日作らせたあの「鈴付きの衣装」が、激しく、狂ったような音を立ててチリンチリンと鳴り響く。
ゼノス様の手が、僕の服を迷わず引き裂いた。
露わになった僕の肌に、彼は飢えた獣のように食らいつく。それはもはや「供給」という名の儀式ではなく、ただの剥き出しの交わりだった。
「ん、あ、あぁぁッ! ゼノス、様……っ、熱い、奥が、壊れる……っ!」
「壊れろ。俺の魔力でお前をドロドロに溶かして、俺の一部にしてやる」
彼の熱く巨大な「楔」が、一切の容赦なく僕の最奥を貫いた。
衝撃で意識が飛びそうになるが、その痛みさえも、彼と繋がっている証だと思えば甘美な快感へと変わっていく。
体内を巡る彼の狂おしいほどの魔力が、僕の神経を一本ずつ焼き、書き換えていく。
チリン、チリン、チリン――。
絶え間なく鳴り続ける鈴の音は、僕が魔王のものになったことを告げる祝音のようだった。
「……愛している、エルヴィン。お前だけは、死んでも手放さん」
ゼノス様は、僕の涙を舌で掬い取りながら、何度も、何度も、壊れた機械のように愛を囁いた。
その夜、僕たちは夜が明けるまで、文字通り命を削り合うようにして重なり合った。
翌朝、僕の体は一歩も動かせないほどガタガタになっていたけれど、隣で満足そうに眠るゼノス様の穏やかな顔を見て、僕は少しだけ笑った。
(……全く、とんでもない人を好きになっちゃったなぁ)
僕の首筋には、昨日よりもさらに深く、消えることのない「魔王の番」としての印が刻まれていた。
いつもなら「供給だ」と軽口を叩いて僕を揶揄うゼノス様の様子が、明らかにおかしい。
「ゼノス様……? 顔色が悪いですよ。また魔力が足りないんじゃ……」
僕が心配して彼の手を握ろうとした瞬間、パァン!と弾けるような衝撃波が走り、部屋の窓ガラスにヒビが入った。ゼノス様の手は、火傷しそうなほど熱く、どす黒い魔力の霧が彼の全身から噴き出している。
「……来るな、エルヴィン。離れろ……ッ!」
ゼノス様は、自分自身の右腕を左手で抑え込み、膝を突いた。
紅い瞳は血走っており、普段の冷静さは微塵もない。溢れ出した魔力が部屋中の家具をなぎ倒し、嵐のような圧迫感が僕を襲う。
「どうしたんですか、これ……! カインさん! 誰か!」
「……無駄だ。これは、外部からの魔力不足ではない。……お前を別の男に見せつけられた怒りと、お前を今すぐここで、完全に俺のものにしたいという『独占欲』が、俺の魔力回路を焼き切ろうとしているんだ……」
ゼノス様は、苦しげに喘ぎながら、床を拳で叩きつけた。
魔王の魔力は、感情と直結している。僕を愛しすぎるがゆえに、彼の強大すぎる力が暴走し、自らの肉体を内側から破壊しようとしているのだ。
「このままでは……俺はお前を、殺してしまうかもしれん。……行け、エルヴィン。俺が自分を保てているうちに……っ!」
逃げろと言われて、はいそうですかと逃げられるほど、僕は薄情な人間じゃない。
確かにこの人は強引で、変態で、愛が重すぎて困るけれど……僕を「道具」ではなく「一人の人間」として、こんなにも激しく求めてくれたのは、世界で彼一人だけだ。
「……嫌です。逃げません」
僕は震える足で一歩踏み出し、荒れ狂う魔力の渦の中に飛び込んだ。
ゼノス様の背中にしがみつくと、熱を帯びた彼の肌から、僕の細い腕に電撃のような痛みが走る。
「エルヴィン……貴様、何を……!」
「供給が必要なんでしょう!? だったら、僕が全部受け止めます! 僕の魔力を全部あげるから、ゼノス様のその苦しいの、僕に流し込んでください!」
僕は彼の首筋に顔を埋め、自分から唇を重ねた。
その瞬間、ダムが決壊したような衝撃が僕の体中を駆け巡った。
「――っ、あああああぁぁッ!!」
ゼノス様の暴走した魔力が、接吻を通じて僕の体内へと流れ込んでくる。
普通の人間なら即座に焼き切れるほどの出力だが、僕は希少な『供給体』だ。彼の荒ぶる力を受け止め、浄化し、再び彼へと還すことができる唯一の存在。
ゼノス様の理性が、ついにプツリと切れる音がした。
「……知らんぞ。もう、二度と離してやらん」
彼は獣のような咆哮を上げると、僕を乱暴にベッドへと押し倒した。
昨日作らせたあの「鈴付きの衣装」が、激しく、狂ったような音を立ててチリンチリンと鳴り響く。
ゼノス様の手が、僕の服を迷わず引き裂いた。
露わになった僕の肌に、彼は飢えた獣のように食らいつく。それはもはや「供給」という名の儀式ではなく、ただの剥き出しの交わりだった。
「ん、あ、あぁぁッ! ゼノス、様……っ、熱い、奥が、壊れる……っ!」
「壊れろ。俺の魔力でお前をドロドロに溶かして、俺の一部にしてやる」
彼の熱く巨大な「楔」が、一切の容赦なく僕の最奥を貫いた。
衝撃で意識が飛びそうになるが、その痛みさえも、彼と繋がっている証だと思えば甘美な快感へと変わっていく。
体内を巡る彼の狂おしいほどの魔力が、僕の神経を一本ずつ焼き、書き換えていく。
チリン、チリン、チリン――。
絶え間なく鳴り続ける鈴の音は、僕が魔王のものになったことを告げる祝音のようだった。
「……愛している、エルヴィン。お前だけは、死んでも手放さん」
ゼノス様は、僕の涙を舌で掬い取りながら、何度も、何度も、壊れた機械のように愛を囁いた。
その夜、僕たちは夜が明けるまで、文字通り命を削り合うようにして重なり合った。
翌朝、僕の体は一歩も動かせないほどガタガタになっていたけれど、隣で満足そうに眠るゼノス様の穏やかな顔を見て、僕は少しだけ笑った。
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