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13話
「ゼノス様、本当にこの格好で元王都に行くんですか?」
魔導馬車の豪華なシートに深く身を沈めながら、僕は隣のゼノス様に尋ねた。
僕が身につけているのは、ゼノス様が「俺の伴侶に相応しい」と自ら選んだ衣装だ。以前の鈴付きの布切れよりはマシだが、最高級の絹と宝石で飾られたそれは、どう考えても「視察」という地味な名目にはそぐわない。
胸元と背中が控えめに開いており、座るたびに薄い生地の下の肌が透ける。何より、指先にはめてもらった巨大な魔石の指輪が、僕の存在をこれでもかと主張している。
「当然だろう。お前を馬鹿にした愚か者どもに、俺のエルヴィンがどれほど価値のある存在になったか、嫌というほど見せつけてやらねば気が済まん」
ゼノス様は、僕の指にはめた指輪に口づけながら、満足げに笑った。
彼が指輪に口づけるたび、指輪の魔石が脈打つように淡く光る。まるでゼノス様の魔力と僕の魔力が繋がっている証のようだった。
「でも、僕、別にそんな見せつけなくても……」
「馬鹿を言うな。俺がお前を愛していると、全身全霊で知らしめるのが、今の俺の最優先事項だ」
魔導馬車は、数日後にはゼノス様の属国となる、かつての僕の母国へと向かっていた。
国境を越え、元王都へと入っていくと、街の様子は僕が追放される前とは一変していた。
活気がなく、人々は飢えた目をしている。魔力不足で結界が弱まり、魔物の侵入も増えているのだろう。
馬車が元王宮の門をくぐり、広場に到着すると、既に多くの貴族や兵士たちが集まっていた。
その中には、僕を蔑んだ者たちや、婚約破棄を囃し立てた者たちの顔も見える。彼らは一様に顔色を悪くし、ゼノス様の放つ圧倒的な魔力に震え上がっていた。
「ゼノス様、僕……」
不安そうな僕の頬を、ゼノス様が優しく撫でた。
「心配するな。俺がそばにいる。……さあ、顔を上げて胸を張れ。お前は、このゼノスの唯一の伴侶だ」
ゼノス様は馬車から降りると、そのまま僕を抱き上げて、騎士たちが整列する広場へと歩き出した。
「ひゃっ!? ゼノス様、自分で歩けますってば!」
「何を言う。お前を歩かせれば、無駄に体力を消耗するだろう。それに、この指輪をつけたお前の指先が、穢れた地面に触れることなど許さん」
(過保護すぎる! そして恥ずかしい!)
僕は顔を真っ赤にして、ゼノス様の首にしがみついた。
かつて僕を嘲笑した貴族たちは、魔王に抱き上げられた僕を見て、呆然と立ち尽くしている。
その中には、僕を捨てて後悔し、一度は奪い返そうとした第一王子の姿もあった。彼は僕の姿を見ると、まるで幽霊でも見たかのように青ざめていた。
「皆、聞け」
ゼノス様の声が、広場に響き渡る。
その声には、一切の慈悲がなく、圧倒的な支配者の威厳が込められていた。
「このエルヴィン・ラングリスは、我が魔王ゼノスの伴侶であり、今後、この国の新たな統治者となる。……お前たち愚か者は、その至宝をみすみす手放した。だが、俺は違う。この男の魔力も、身体も、心も、すべてを俺の物とする」
ゼノス様は僕の顎を掴み、その場で深く、熱いキスを落とした。
僕の体が快感で震え、腰が勝手に跳ね上がる。
元王都の貴族たちは、その光景を呆然と見守っていた。彼らの目には、恐怖と、そして後悔の念が深く刻まれているのが見て取れた。
「ひゃあ……っ! ゼ、ゼノス様、みんな見てます……っ」
「構わん。もっと見せつけてやれ。……この男の美しさ、そしてその内に秘めた甘美な魔力の価値が分からんとは、貴様らの目は節穴か?」
ゼノス様は不敵に笑うと、僕を抱きしめたまま、かつての僕の居城へと足を踏み入れた。
広場に残された貴族たちは、魔王の強すぎる独占欲と、僕が手に入れてしまった途方もない権力に、ただただ膝を突くしかなかった。
(……僕を捨てた罰が、まさかこんな形で返ってくるとはなぁ)
僕は、ゼノス様の胸板に顔を埋め、複雑な気持ちで、だけどどこか誇らしげに、新しい運命を受け止めるのだった。
僕を虐げた者たちが、絶望に打ちひしがれる姿を見て、僕は初めて心からの解放感を得た。
そして、その夜、ゼノス様が僕に与えた「凱旋祝い」の供給が、これまでで最も長く、そして激しいものになったのは、言うまでもない。
魔導馬車の豪華なシートに深く身を沈めながら、僕は隣のゼノス様に尋ねた。
僕が身につけているのは、ゼノス様が「俺の伴侶に相応しい」と自ら選んだ衣装だ。以前の鈴付きの布切れよりはマシだが、最高級の絹と宝石で飾られたそれは、どう考えても「視察」という地味な名目にはそぐわない。
胸元と背中が控えめに開いており、座るたびに薄い生地の下の肌が透ける。何より、指先にはめてもらった巨大な魔石の指輪が、僕の存在をこれでもかと主張している。
「当然だろう。お前を馬鹿にした愚か者どもに、俺のエルヴィンがどれほど価値のある存在になったか、嫌というほど見せつけてやらねば気が済まん」
ゼノス様は、僕の指にはめた指輪に口づけながら、満足げに笑った。
彼が指輪に口づけるたび、指輪の魔石が脈打つように淡く光る。まるでゼノス様の魔力と僕の魔力が繋がっている証のようだった。
「でも、僕、別にそんな見せつけなくても……」
「馬鹿を言うな。俺がお前を愛していると、全身全霊で知らしめるのが、今の俺の最優先事項だ」
魔導馬車は、数日後にはゼノス様の属国となる、かつての僕の母国へと向かっていた。
国境を越え、元王都へと入っていくと、街の様子は僕が追放される前とは一変していた。
活気がなく、人々は飢えた目をしている。魔力不足で結界が弱まり、魔物の侵入も増えているのだろう。
馬車が元王宮の門をくぐり、広場に到着すると、既に多くの貴族や兵士たちが集まっていた。
その中には、僕を蔑んだ者たちや、婚約破棄を囃し立てた者たちの顔も見える。彼らは一様に顔色を悪くし、ゼノス様の放つ圧倒的な魔力に震え上がっていた。
「ゼノス様、僕……」
不安そうな僕の頬を、ゼノス様が優しく撫でた。
「心配するな。俺がそばにいる。……さあ、顔を上げて胸を張れ。お前は、このゼノスの唯一の伴侶だ」
ゼノス様は馬車から降りると、そのまま僕を抱き上げて、騎士たちが整列する広場へと歩き出した。
「ひゃっ!? ゼノス様、自分で歩けますってば!」
「何を言う。お前を歩かせれば、無駄に体力を消耗するだろう。それに、この指輪をつけたお前の指先が、穢れた地面に触れることなど許さん」
(過保護すぎる! そして恥ずかしい!)
僕は顔を真っ赤にして、ゼノス様の首にしがみついた。
かつて僕を嘲笑した貴族たちは、魔王に抱き上げられた僕を見て、呆然と立ち尽くしている。
その中には、僕を捨てて後悔し、一度は奪い返そうとした第一王子の姿もあった。彼は僕の姿を見ると、まるで幽霊でも見たかのように青ざめていた。
「皆、聞け」
ゼノス様の声が、広場に響き渡る。
その声には、一切の慈悲がなく、圧倒的な支配者の威厳が込められていた。
「このエルヴィン・ラングリスは、我が魔王ゼノスの伴侶であり、今後、この国の新たな統治者となる。……お前たち愚か者は、その至宝をみすみす手放した。だが、俺は違う。この男の魔力も、身体も、心も、すべてを俺の物とする」
ゼノス様は僕の顎を掴み、その場で深く、熱いキスを落とした。
僕の体が快感で震え、腰が勝手に跳ね上がる。
元王都の貴族たちは、その光景を呆然と見守っていた。彼らの目には、恐怖と、そして後悔の念が深く刻まれているのが見て取れた。
「ひゃあ……っ! ゼ、ゼノス様、みんな見てます……っ」
「構わん。もっと見せつけてやれ。……この男の美しさ、そしてその内に秘めた甘美な魔力の価値が分からんとは、貴様らの目は節穴か?」
ゼノス様は不敵に笑うと、僕を抱きしめたまま、かつての僕の居城へと足を踏み入れた。
広場に残された貴族たちは、魔王の強すぎる独占欲と、僕が手に入れてしまった途方もない権力に、ただただ膝を突くしかなかった。
(……僕を捨てた罰が、まさかこんな形で返ってくるとはなぁ)
僕は、ゼノス様の胸板に顔を埋め、複雑な気持ちで、だけどどこか誇らしげに、新しい運命を受け止めるのだった。
僕を虐げた者たちが、絶望に打ちひしがれる姿を見て、僕は初めて心からの解放感を得た。
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