異世界転生した俺のフェロモンが「全種族共通の特効薬」だった件 ~最強の獣人たちに囲まれて、毎日代わりばんこに可愛がられています~

たら昆布

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14話

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朝稽古が終わり、ハルが自室に戻って一息ついた時のことだった。
ギルバートたちが昼の会議のために席を外すと、ハルのフードがにわかに激しく波打ち始めた。

「キュ、キュイイイッ!!」

「わわっ、ポポちゃん? どうしたの、そんなに怒って……」

ハルがフードに手を伸ばすと、中から飛び出してきたのは、頬袋をこれでもかと膨らませたモモンガ姿のポポだった。彼はハルの手のひらに着地するなり、短い手足をバタバタさせて抗議の意を示す。

この世界におけるポポのような「小型獣人」は、体格こそ小さいが、その分「魔力密度」が極めて高いことで知られている。特に彼は魔法省の天才児。その小さな体には、一国を焼き払うほどの魔力が秘められているのだが……今の彼にとって、そんなことはどうでもよかった。

「キュイ!(大きい人たちばっかりズルい! ボクだってハル様を癒やしたいんだもん!)」

ポポは、ハルの喉元に飛びつくと、その柔らかな毛並みをハルの首筋にこれでもかと擦り付けた。
獣人にとって、自分の匂いを相手に塗り付ける「マーキング」は、所有権を主張する重要な行為だ。

「あはは、くすぐったいよポポちゃん。……あ、体が熱い? 大丈夫?」

「キュピーン!」

ポポが短い手をかざすと、ハルの周囲に淡い桃色の光の膜が展開された。
これは魔法省秘伝の「認識阻害」と「物理障壁」を応用した、ポポ特製の『ハル様独占結界』だった。

「えっ、何これ? 部屋がピンク色に……」

「キュイ!(これで、あの野蛮なライオンも虎も入ってこれないよ!)」

ポポは満足げに鼻を鳴らし、ハルの首筋の「特等席」に陣取った。
小型獣人の体温は人間よりも少し高く、ハルにとってはまるで極上の高級カイロを巻いているような心地よさだ。
ポポが放つ魔力は、ハルの「癒やし香」と共鳴し、部屋の中にはイチゴのような甘い香りが満ちていく。

「ポポちゃん、魔法が使えるんだね。すごいなぁ、頭もいいし、ふわふわだし……」

ハルがポポの小さなお腹を指の先で優しく撫でると、ポポは幸せそうに目を細め、そのままハルの鎖骨の窪みにすっぽりと収まった。

だが、そんな平和な「二人だけの時間」は、長くは続かなかった。

「……ハル様。扉が開きませんが、何か魔法的なトラブルでしょうか?」

扉の向こうから、ジークの低く冷徹な声が響く。
続いて、ガリガリと爪で扉を引っ掻くような音。

「おい、ポポ! 貴様、自分だけ結界の中に閉じこもって何をしている! 出てこい、この豆粒野郎!」

タイガの怒声が響くが、ポポは「ベーッ」と舌を出して(ハルには見えないが)無視を決め込む。
小型獣人の意地とプライドをかけた、必死の独占欲。

「ポポちゃん、みんな困ってるみたいだよ? 開けてあげよう?」

ハルが困り顔でお願いすると、ポポは不満げに「キュ……」と鳴き、渋々といった様子でパチンと指(前足)を鳴らした。

結界が解けた瞬間、扉を蹴破らんばかりの勢いでギルバートたちが雪崩れ込んできたのは言うまでもない。

「ハル! 無事か! ポポ、貴様……後で魔法省の予算を削るぞ!」

「キュイイイッ!(権力乱用だー!)」

大きな獣人たちに追いかけ回されるポポを眺めながら、ハルは「みんな本当に仲がいいんだなぁ(?)」と、のんびりとお茶を啜るのだった。
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