異世界転生した俺のフェロモンが「全種族共通の特効薬」だった件 ~最強の獣人たちに囲まれて、毎日代わりばんこに可愛がられています~

たら昆布

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17話

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「……ハル様。外交官たる者、常に美しくあらねばなりません。ですが、昨今の激務で私の自慢の尻尾が……あぁ、見てください、こんなに毛先が傷んでしまって」

昨日の失態などどこへやら。リュカは悲劇のヒロインのような顔をして、三本の巨大な黄金色の尻尾をハルの目の前に差し出した。

この世界において、狐獣人の尻尾は「魔力の貯蔵庫」でもある。特に三本以上の多尾を持つ個体は稀少で、その一本一本に膨大な魔力と神経が通っているため、非常に繊細で、触れられることには特別な意味があるのだ。

「そんなに大変なんですか? じゃあ、俺にできることなら……」

「ええ。貴方のその尊い手で、この毛並みを整えていただければ、私の魔力も回復するというものです」

リュカが勝ち誇ったように笑い、ハルの膝に一番太い尻尾を乗せた。
用意されたのは、ハルのために新調された特製の獣毛ブラシだ。

「……っ、おい! 狐! 貴様、ハル様の善意を利用して職務放棄するつもりか!」
「そうだぞ! 団長ですら一本だったのに、三本も撫でさせるなんて欲張りすぎだ!」

背後でギルバートとカイルが今にも噛み付かんばかりに吠えているが、リュカは優雅に耳を伏せ、ハルにだけ熱い視線を送る。

「では……失礼します」

ハルがブラシを入れ、スッと根元から毛先へと滑らせた。

「……っはぁ……あああ……っ!」

リュカの口から、艶っぽい吐息が漏れる。
狐獣人にとって尻尾のブラッシングは、神経を直接愛撫されるようなもの。ましてや「伝説の癒やし香」を持つハルが触れることで、蓄積された魔力の澱みが一気に浄化されていく。

「わぁ、リュカさんの尻尾、一本一本がすごくボリュームありますね。まるで温かい雲を触ってるみたい」

ハルが夢中になって、三本の尻尾を交互に、あるいはまとめて抱きかかえるようにして梳いていく。ハル自身も、この圧倒的な「もふもふの海」に顔を埋めたい衝動に駆られていた。

「ハル様……もっと、乱暴でも構いません。貴方の魔力で、私を塗り替えて……」

「リュカ、言い方が卑猥だ! 離れろ!」

ついに耐えかねたタイガが割って入り、ハルとリュカの間に強引に体を割り込ませた。
しかし、ハルは既に「もふもふ職人」のスイッチが入っており、止まらない。

「あ、タイガさんも。……虎のしっぽ、ここもブラッシングしたら気持ちいいですよ?」

ハルは空いた方の手で、タイガの太い尻尾をガシッと掴んだ。

「…………っ!!」

最強の虎の王子が、ハルに尻尾を掴まれた衝撃で直立不動になる。
獣人にとって尻尾を掴まれるのは最大のタブーだが、ハルの手から流れ込む強烈な多幸感に、拒絶どころか全身の筋肉が弛緩していく。

「……あ……ああ……。好きにしろ……」

「あ、カイルくんも、ジークさんも。みんな順番に並んでくださいね?」

ハルの天使のような提案に、殺気立っていた部屋の空気は一変した。
「順番……」「並べば、撫でてもらえるのか……」

数分後。
そこには、三本の尻尾をハルに抱かせてとろけているリュカを中心に、ハルの周囲をぐるりと取り囲み、各自の尻尾や耳を差し出して整列する最強の獣人たちの姿があった。

「ジークさん、次は耳の付け根ですね。カイルくん、お腹出してもいいですよ」

「はいっ! 喜んで!」
「御意……。至福にございます……」

ハルの「癒やし」という名のブラッシング地獄(天国)。
その光景は、外から見れば異常極まりない「獣の集会」だったが、ハルの心には、社畜時代には決して得られなかった「必要とされる喜び」が、確かな温もりとして宿っていた。
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