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22話
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美味しいハンバーグで胃袋を満たし、デザートのプリンまで完食したハルを待っていたのは、心地よい「食後の睡魔」だった。
暖かな午後の日差しが差し込む談話室で、ハルの頭がカクンと揺れる。
「……ふぁ……なんだか、急に眠気が……」
その一言が、静かな火花を散らしていた男たちの導火線に火をつけた。
この世界の獣人にとって、主や伴侶を「寝かしつける」という行為は、最高の信頼の証であり、同時に「自分こそが最もハルを安心させられる存在である」という序列を示す重要な儀式なのだ。
「ハル、眠いなら遠慮するな。俺のタテガミは、この国で最も弾力があり、かつ保温性に優れている。さあ、ここへ……」
ギルバートがいち早くライオンの姿に戻り、ハルの隣で悠然と横たわった。首周りの黄金の毛並みを広げ、極上のベッドを用意する。
「団長、抜け駆けは禁止です! ハル様、狼の毛並みは夏でも蒸れず、さらさらして気持ちいいですよ! ほら、俺を抱き枕にしてください!」
カイルも負けじと銀狼になり、ハルの足元から滑り込んでくる。
「……お黙りなさい。ハル様の繊細な首筋を支えるには、しなやかで筋肉質な黒豹の肢体こそが最適解です」
ジークまでもが侍従の仮面を脱ぎ捨て、黒豹の姿でハルの背後に回り込み、顎をハルの肩に乗せるようにして「枕」の座を主張した。
「ふん、どいつもこいつも甘いな。……ハル、野生の虎の腹は世界一柔らかい。ここへ埋もれろ」
タイガが巨大な虎の姿でハルの正面を塞ぎ、白黒の縞模様が美しい腹部をさらけ出した。最強の虎が腹を見せるのは、究極の降伏と愛の証だ。
「わ、わわっ、みんな、もふもふがいっぱいで……っ」
ハルは四方を巨大な獣たちに囲まれ、身動きが取れなくなった。
さらに、ハルの髪の中に潜り込んだポポが「キュイ!(ボクが目隠し代わりになるよ!)」と、その小さな体でハルの瞼を覆おうとする。
(……幸せだけど、これじゃ眠れないよ……!)
ハルが困惑しながらも、目の前にあったタイガの腹に顔を埋め、右側にいたギルバートのタテガミに手を伸ばし、背後のジークに寄りかかった瞬間。
「…………っ!!」
獣人たちに電流が走った。
ハルが眠りに落ちる直前、無意識に放たれる「究極の癒やし香」が、これ以上ない至近距離から彼らの脳を直撃したのだ。
「ああ……っ、これだ……。ハルの体温が、俺の血を鎮めていく……」
「……動けない。……このまま時が止まればいいのに……」
結局、枕の座を巡って争っていたはずの彼らは、ハルの香りに当てられ、揃って「ふにゃふにゃ」に骨抜きにされてしまった。
ライオン、狼、豹、虎。
大陸最強の肉食獣たちが、一人の人間の少年を囲んで、お互いの尻尾を絡ませ合いながら、幸せそうに「ゴロゴロ」と喉を鳴らして眠りにつく。
「……フェンくんも、おいでよ……」
夢うつつにハルが影に向かって手を差し出すと、天井の梁にいたフェンが、耐えきれず音もなく降りてきた。
彼は人型のまま、ハルの指先をそっと握り、その場に跪いて目を閉じる。
王宮の一角に現れた、世界で最も贅沢で、最も平和な「もふもふの山」。
その中心で、ハルはかつてないほど深い、安らかな眠りに落ちていった。
暖かな午後の日差しが差し込む談話室で、ハルの頭がカクンと揺れる。
「……ふぁ……なんだか、急に眠気が……」
その一言が、静かな火花を散らしていた男たちの導火線に火をつけた。
この世界の獣人にとって、主や伴侶を「寝かしつける」という行為は、最高の信頼の証であり、同時に「自分こそが最もハルを安心させられる存在である」という序列を示す重要な儀式なのだ。
「ハル、眠いなら遠慮するな。俺のタテガミは、この国で最も弾力があり、かつ保温性に優れている。さあ、ここへ……」
ギルバートがいち早くライオンの姿に戻り、ハルの隣で悠然と横たわった。首周りの黄金の毛並みを広げ、極上のベッドを用意する。
「団長、抜け駆けは禁止です! ハル様、狼の毛並みは夏でも蒸れず、さらさらして気持ちいいですよ! ほら、俺を抱き枕にしてください!」
カイルも負けじと銀狼になり、ハルの足元から滑り込んでくる。
「……お黙りなさい。ハル様の繊細な首筋を支えるには、しなやかで筋肉質な黒豹の肢体こそが最適解です」
ジークまでもが侍従の仮面を脱ぎ捨て、黒豹の姿でハルの背後に回り込み、顎をハルの肩に乗せるようにして「枕」の座を主張した。
「ふん、どいつもこいつも甘いな。……ハル、野生の虎の腹は世界一柔らかい。ここへ埋もれろ」
タイガが巨大な虎の姿でハルの正面を塞ぎ、白黒の縞模様が美しい腹部をさらけ出した。最強の虎が腹を見せるのは、究極の降伏と愛の証だ。
「わ、わわっ、みんな、もふもふがいっぱいで……っ」
ハルは四方を巨大な獣たちに囲まれ、身動きが取れなくなった。
さらに、ハルの髪の中に潜り込んだポポが「キュイ!(ボクが目隠し代わりになるよ!)」と、その小さな体でハルの瞼を覆おうとする。
(……幸せだけど、これじゃ眠れないよ……!)
ハルが困惑しながらも、目の前にあったタイガの腹に顔を埋め、右側にいたギルバートのタテガミに手を伸ばし、背後のジークに寄りかかった瞬間。
「…………っ!!」
獣人たちに電流が走った。
ハルが眠りに落ちる直前、無意識に放たれる「究極の癒やし香」が、これ以上ない至近距離から彼らの脳を直撃したのだ。
「ああ……っ、これだ……。ハルの体温が、俺の血を鎮めていく……」
「……動けない。……このまま時が止まればいいのに……」
結局、枕の座を巡って争っていたはずの彼らは、ハルの香りに当てられ、揃って「ふにゃふにゃ」に骨抜きにされてしまった。
ライオン、狼、豹、虎。
大陸最強の肉食獣たちが、一人の人間の少年を囲んで、お互いの尻尾を絡ませ合いながら、幸せそうに「ゴロゴロ」と喉を鳴らして眠りにつく。
「……フェンくんも、おいでよ……」
夢うつつにハルが影に向かって手を差し出すと、天井の梁にいたフェンが、耐えきれず音もなく降りてきた。
彼は人型のまま、ハルの指先をそっと握り、その場に跪いて目を閉じる。
王宮の一角に現れた、世界で最も贅沢で、最も平和な「もふもふの山」。
その中心で、ハルはかつてないほど深い、安らかな眠りに落ちていった。
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