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6話
黒豹のレオンハルトを骨抜きにした後、次に奏汰の前に進み出たのは、白狼のフェリクスだった。
銀世界の月明かりを閉じ込めたような、美しくも冷徹な瞳。副団長としての彼は、常に冷静沈着で、奏汰に対しても一定の距離を保っているように見える。
「次は僕の番ですね、奏汰さん」
フェリクスは、狼の姿のまま優雅な足取りで奏汰の正面に座った。その毛並みは、一筋の乱れもなく、触れるのを躊躇うほど神秘的だ。
「フェリクスさんは、なんだかブラッシングするのも緊張しちゃうな。……失礼します」
奏汰が恐る恐る、その白い銀毛にブラシを差し込む。
「……っ!」
触れた瞬間、フェリクスの体がビクンと跳ねた。
「あ、すみません! 痛かったですか?」
「……いえ。奏汰さんの手が、あまりに温かかったもので」
フェリクスは目を細め、静かに奏汰を見つめる。レオンハルトのような情熱的な独占欲とは違う、静かで深い執着を感じさせる視線だ。
奏汰がゆっくりとブラシを動かしていくと、フェリクスの美しい毛並みがさらに輝きを増していく。
「……フェリクスさんの毛は、すごく細くて柔らかいんですね。綿菓子みたい」
「……そうですか。あまり人に触れさせたことはありませんが、貴方なら……構いません」
そう言うと、フェリクスはふわりと奏汰の足元に体を擦り寄せた。
そして、驚くべきことに、あれほど理性的だった彼が、自ら仰向けになり、四肢を投げ出したのだ。
「……撫でて、いただけますか。ここを」
示されたのは、ふわふわの白いお腹。
「……フェリクスさん、意外と積極的……!」
奏汰がその誘いに乗り、お腹を優しく撫で上げると、フェリクスは「くぅ……ん」と甘い鼻声を漏らした。
そのギャップに、奏汰の心臓が不必要に跳ねる。
「カナタさーん!! オレを忘れないでくださいよぉぉぉ!!」
そこへ、我慢の限界を迎えた大型犬の突撃が迫っていることに、奏汰が気づく暇もなかった。
銀世界の月明かりを閉じ込めたような、美しくも冷徹な瞳。副団長としての彼は、常に冷静沈着で、奏汰に対しても一定の距離を保っているように見える。
「次は僕の番ですね、奏汰さん」
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「フェリクスさんは、なんだかブラッシングするのも緊張しちゃうな。……失礼します」
奏汰が恐る恐る、その白い銀毛にブラシを差し込む。
「……っ!」
触れた瞬間、フェリクスの体がビクンと跳ねた。
「あ、すみません! 痛かったですか?」
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フェリクスは目を細め、静かに奏汰を見つめる。レオンハルトのような情熱的な独占欲とは違う、静かで深い執着を感じさせる視線だ。
奏汰がゆっくりとブラシを動かしていくと、フェリクスの美しい毛並みがさらに輝きを増していく。
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「……そうですか。あまり人に触れさせたことはありませんが、貴方なら……構いません」
そう言うと、フェリクスはふわりと奏汰の足元に体を擦り寄せた。
そして、驚くべきことに、あれほど理性的だった彼が、自ら仰向けになり、四肢を投げ出したのだ。
「……撫でて、いただけますか。ここを」
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「……フェリクスさん、意外と積極的……!」
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そのギャップに、奏汰の心臓が不必要に跳ねる。
「カナタさーん!! オレを忘れないでくださいよぉぉぉ!!」
そこへ、我慢の限界を迎えた大型犬の突撃が迫っていることに、奏汰が気づく暇もなかった。
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