夜はイケメン、朝はもふもふ!?〜異世界召喚された俺は聖獣騎士団の専属ブラッシング係に任命されました〜

たら昆布

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10話

「カナタさーん! オレ、オレのことも! 早く! 早くぅ!」

最後の一人、ゴールデンレトリバーのバディは、もはや喋る気があるのか怪しいレベルで興奮していた。
「バディくん、落ち着いて。ちゃんと喋れるんでしょ?」
「喋れる! 喋れるけど! カナタさんが触ってくれると思うと、もう言葉なんてどうでもいいっていうか! わふんっ!!」

バディは奏汰の周りをぐるぐると走り回り、喜びを爆発させている。
彼の場合、他の二人とは逆に、感情が高ぶりすぎて「言葉が鳴き声に侵食されている」状態だった。

「よしよし、バディくん。おいで」
奏汰が両手を広げると、バディは「待ってました!」とばかりに奏汰の胸に飛び込んできた。

「大好き! カナタさん大好き! オレ、一生カナタさんの犬でいい! わんっ! わぅっ! わふふふんっ!!」
「あはは、バディくん、くすぐったいってば!」

奏汰がバディの太い首周りをわしわしと力強く撫で回すと、バディはついに言葉を捨てた。
「あは……っ、あふぅ……ん、わぅ、わぅー!!」

彼は奏汰の手に顔を擦り付け、目を細めて蕩けた表情を浮かべる。
時折、「カナ、た……す、き……」と掠れた声で呟くものの、すぐに「ハッハッ」という荒い息遣いと、嬉しそうな鳴き声にかき消されてしまう。

「バディくんは、本当に素直だね」
「(オレ、幸せすぎて死んじゃう!)」
バディは奏汰の頬を力いっぱい舐め上げ、その愛情を全身で表現した。

三者三様の「獣の声」。
奏汰はその一音一音に込められた彼らの情愛を、ブラッシングの手を通じてしっかりと受け取っていた。

「……さて、みんな。そろそろ朝ごはんの時間だよ。お腹空いたでしょ?」
奏汰が立ち上がると、黒豹、白狼、ゴールデンレトリバーの三匹(三人)が、一斉に期待に満ちた声を上げた。
その合唱は、言葉と鳴き声が混ざり合った、この騎士団寮にしかない賑やかな朝の調べだった。
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