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第6話:南西の森へ ── 安全圏の境界線と【システム・ラグ】
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雨は上がり、森の空気はしっとりと冷えていた。
隠れ家の入口から差し込む柔らかな光が、
昨夜の焚き火の白い灰を淡く照らしている。
僕はゆっくりと身体を起こし、
岩の上で寝たせいで固まった背中を伸ばした。
けれど、あの鉛のような倦怠感はもうない。
脳が指先に送る命令が、
以前よりもずっと滑らかに伝わっていく。
「動ける」という当たり前のことが、
今の僕には何よりの贈り物のように思えた。
「……おにーちゃん……おきた……?」
隣で丸まって寝てたしのんが、
寝ぼけた目で僕の服の裾をぎゅっと掴んだ。
小さな手の温もりが、冷えた神経を
ゆっくりと溶かしていく。
この温かなノイズが、僕を“解析”という
無機質な思考から、人間らしい安らぎへと
引き戻してくれる。
「春斗さん。今日は……南西の森ば、
少しだけ見に行ってみんね?」
美園が、しのんの髪を慣れた手つきで
整えながら穏やかに言った。
その声には、出会ってからの短い時間で積み重ねた、
小さな危機と小さな成功を共有してきた者だけが持つ、
静かな結束が宿っていた。
「はい。由衣さんの日記にあった
“安全方向”……太陽の位置から見ても、
この時間なら南西はあちらですね。
水場と果実の場所を、この目で確認しておきたいです」
僕はバックパックを背負い、昨日手に入れた素材で作った
“防電の靴”の紐を締め直した。
装備はまだ心もとない。
それでも、昨日より確実に“生き延びる準備”が
整っている実感があった。
◇◇◇
隠れ家の外に出ると、森の空気がひんやりと頬を撫でた。
湿った土の匂いと、遠くで響く鳥のさえずり。
「……昨日の危険区域とは違いますね。
ここには“生き物の気配”があります」
美園が周囲を見渡し、コクッと頷く。
確かに、北東側とは空気が違った。
風が通り、虫の羽音が聞こえ、
森が“普通に呼吸している”気配がある。
そのとき──。
地面の奥から「ごぉ……ごぉ……」
という低い振動が伝わってきた。
巨大な魔獣の足音ではない。
もっと深く、規則的で、まるで大地そのものが
ゆっくり寝返りを打っているようなリズム。
「……春斗さん。今の音は、なんね?」
「分かりません。でも……嫌な感じはしませんね。
森が呼吸しているみたいです」
この世界の“自然”は、僕の知っている物理法則とは
少し違うルールで動いている。
その脈動を、僕はエラーではなく、
この世界の“個性”として受け入れることにした。
「おにーちゃんといっしょなら……こわくない……?」
しのんが、おずおずと僕の手を握ってくる。
「大丈夫だよ。危ないところには近づかないし、
僕がちゃんと道を見つけるから」
僕は微笑み、昨日作ったばかりの“突き武器”を
杖代わりにして、一歩を踏み出した。
今日の探索は、自分たちの居場所を作るための大切な一歩だ。
3人の足音が重なり、新しい生活のメロディが
静かに森へと溶け込んでいった。
森の奥へ進むほど、空気は少しずつ澄んでいった。
湿った土の匂いに、ほんのりと甘い香りが混じり始める。
「……この匂い、昨日の果実のところと似とるねぇ」
美園が周囲を警戒しながら、小さく呟いた。
僕は頷き、足元の地面を注意深く観察した。
落ち葉の層が薄く、ところどころに獣の小さな足跡が残っている。
(この辺りは“生き物が普通に暮らしている”……そんな感じだ)
昨日見た、あの不自然に荒れた“北東の危険区域”とは、
明らかに空気が違っていた。
「おにーちゃん……あれ……みず……?」
しのんが指さした先。
木の根の間から、細い水の筋がきらりと光を反射していた。
「……湧き水だ。日記にあった場所かな」
僕はしゃがみ込み、葉っぱに少量だけ水を受けて色の変化を確認する。
異物はない。匂いも問題ない。
舌先でほんの少し触れると、昨日と同じ、ほんのり甘い味がした。
「美園さん。飲めます。安全な水です」
「……本当に……助かるとですよ……」
美園さんは胸に手を当て、安堵の息を吐いた。
その瞳には、生存への確かな希望が灯っている。
しのんが嬉しそうに手を伸ばしたが、僕はそっとそれを制した。
「まずは僕が確認してからね。ほら、少しだけ……」
しのんは葉っぱの水をちょんと舐め、ぱっと顔を輝かせた。
「……うぁ…、おいしい……!」
その笑顔に、胸の奥に溜まっていた“生存の重圧”が、
ふっと軽くなるのを感じた。
◇◇◇
さらに奥へ進むと、赤い小粒の果実が群生している場所に出た。
「これ……佐伯由衣さんの日記にあった果実やね」
美園さんが慎重に枝を持ち上げ、果実の状態を確かめる。
僕は一つ手に取り、形と匂いを確認した。
間違いなく、昨日食べたキイチゴと同じ個体だ。
「大丈夫です。食べられます」
「やった……!」
しのんが小さく跳ねる。
僕たちは必要な分だけを丁寧に摘み取り、
昨日拾ったバックパックに詰めていった。
◇◇◇
帰り道。
森の奥から、ふいに冷たい風が吹き抜けた。
「……あれ?」
僕は足を止めた。
風そのものではない。“空気の流れ”が、
さっきまでと決定的に違う。
(……森の呼吸のリズムが、今、乱れた?)
地面の奥から響いていた「ごぉ……ごぉ……」
という規則的な振動。
それが、ほんの一瞬だけ、断線したように途切れたのだ。
「春斗さん……?」
美園さんが、僕の顔を不安そうに覗き込む。
「大丈夫です。ただ……少し気になるだけで」
言葉を濁したのは、自分でもまだ確信が持てなかったからだ。
森の脈動は、何事もなかったかのようにすぐに元に戻った。
けれど、あの一瞬の“空白(ラグ)”は、
胸の奥に消えない棘のように残った。
(……この森、ただの自然じゃない。
何か、巨大な“仕組み”の上にある……?)
解析モードが疼く。この世界の物理法則そのものに、
目に見えない「仕様」が隠されている予感がした。
◇◇◇
隠れ家が見えてきた頃、しのんが僕の袖を引っ張った。
「おにーちゃん……きょう、こわくなかった……」
「うん。よく頑張ったね」
「……あしたも、いっしょ……?」
「もちろん」
その言葉に、しのんは安心したように微笑んだ。
美園も、僕を見てほっとしたように息をつく。
「……春斗さん。今日の成果は大きかねぇ。
水場も果実も確認できたし……これで、少しは安心できるね」
「はい。でも……油断はできません。
森の“呼吸”が、一瞬だけ止まった気がしました」
美園は目を細め、不安そうに森を視線でなぞった。
「……なんか、あるとやろか」
「分かりません。でも、明日も慎重に進めましょう」
隠れ家の入口に戻ると、焚き火の灰が
まだ微かな温もりを保っていた。
今日の探索は、小さな一歩。
けれど、その一歩が確実に“生き延びる未来”へと繋がっている。
そして──。
森の奥で起きた、あの一瞬の“空白”。
それが何を意味するのか、まだ誰も知らない。
隠れ家の入口から差し込む柔らかな光が、
昨夜の焚き火の白い灰を淡く照らしている。
僕はゆっくりと身体を起こし、
岩の上で寝たせいで固まった背中を伸ばした。
けれど、あの鉛のような倦怠感はもうない。
脳が指先に送る命令が、
以前よりもずっと滑らかに伝わっていく。
「動ける」という当たり前のことが、
今の僕には何よりの贈り物のように思えた。
「……おにーちゃん……おきた……?」
隣で丸まって寝てたしのんが、
寝ぼけた目で僕の服の裾をぎゅっと掴んだ。
小さな手の温もりが、冷えた神経を
ゆっくりと溶かしていく。
この温かなノイズが、僕を“解析”という
無機質な思考から、人間らしい安らぎへと
引き戻してくれる。
「春斗さん。今日は……南西の森ば、
少しだけ見に行ってみんね?」
美園が、しのんの髪を慣れた手つきで
整えながら穏やかに言った。
その声には、出会ってからの短い時間で積み重ねた、
小さな危機と小さな成功を共有してきた者だけが持つ、
静かな結束が宿っていた。
「はい。由衣さんの日記にあった
“安全方向”……太陽の位置から見ても、
この時間なら南西はあちらですね。
水場と果実の場所を、この目で確認しておきたいです」
僕はバックパックを背負い、昨日手に入れた素材で作った
“防電の靴”の紐を締め直した。
装備はまだ心もとない。
それでも、昨日より確実に“生き延びる準備”が
整っている実感があった。
◇◇◇
隠れ家の外に出ると、森の空気がひんやりと頬を撫でた。
湿った土の匂いと、遠くで響く鳥のさえずり。
「……昨日の危険区域とは違いますね。
ここには“生き物の気配”があります」
美園が周囲を見渡し、コクッと頷く。
確かに、北東側とは空気が違った。
風が通り、虫の羽音が聞こえ、
森が“普通に呼吸している”気配がある。
そのとき──。
地面の奥から「ごぉ……ごぉ……」
という低い振動が伝わってきた。
巨大な魔獣の足音ではない。
もっと深く、規則的で、まるで大地そのものが
ゆっくり寝返りを打っているようなリズム。
「……春斗さん。今の音は、なんね?」
「分かりません。でも……嫌な感じはしませんね。
森が呼吸しているみたいです」
この世界の“自然”は、僕の知っている物理法則とは
少し違うルールで動いている。
その脈動を、僕はエラーではなく、
この世界の“個性”として受け入れることにした。
「おにーちゃんといっしょなら……こわくない……?」
しのんが、おずおずと僕の手を握ってくる。
「大丈夫だよ。危ないところには近づかないし、
僕がちゃんと道を見つけるから」
僕は微笑み、昨日作ったばかりの“突き武器”を
杖代わりにして、一歩を踏み出した。
今日の探索は、自分たちの居場所を作るための大切な一歩だ。
3人の足音が重なり、新しい生活のメロディが
静かに森へと溶け込んでいった。
森の奥へ進むほど、空気は少しずつ澄んでいった。
湿った土の匂いに、ほんのりと甘い香りが混じり始める。
「……この匂い、昨日の果実のところと似とるねぇ」
美園が周囲を警戒しながら、小さく呟いた。
僕は頷き、足元の地面を注意深く観察した。
落ち葉の層が薄く、ところどころに獣の小さな足跡が残っている。
(この辺りは“生き物が普通に暮らしている”……そんな感じだ)
昨日見た、あの不自然に荒れた“北東の危険区域”とは、
明らかに空気が違っていた。
「おにーちゃん……あれ……みず……?」
しのんが指さした先。
木の根の間から、細い水の筋がきらりと光を反射していた。
「……湧き水だ。日記にあった場所かな」
僕はしゃがみ込み、葉っぱに少量だけ水を受けて色の変化を確認する。
異物はない。匂いも問題ない。
舌先でほんの少し触れると、昨日と同じ、ほんのり甘い味がした。
「美園さん。飲めます。安全な水です」
「……本当に……助かるとですよ……」
美園さんは胸に手を当て、安堵の息を吐いた。
その瞳には、生存への確かな希望が灯っている。
しのんが嬉しそうに手を伸ばしたが、僕はそっとそれを制した。
「まずは僕が確認してからね。ほら、少しだけ……」
しのんは葉っぱの水をちょんと舐め、ぱっと顔を輝かせた。
「……うぁ…、おいしい……!」
その笑顔に、胸の奥に溜まっていた“生存の重圧”が、
ふっと軽くなるのを感じた。
◇◇◇
さらに奥へ進むと、赤い小粒の果実が群生している場所に出た。
「これ……佐伯由衣さんの日記にあった果実やね」
美園さんが慎重に枝を持ち上げ、果実の状態を確かめる。
僕は一つ手に取り、形と匂いを確認した。
間違いなく、昨日食べたキイチゴと同じ個体だ。
「大丈夫です。食べられます」
「やった……!」
しのんが小さく跳ねる。
僕たちは必要な分だけを丁寧に摘み取り、
昨日拾ったバックパックに詰めていった。
◇◇◇
帰り道。
森の奥から、ふいに冷たい風が吹き抜けた。
「……あれ?」
僕は足を止めた。
風そのものではない。“空気の流れ”が、
さっきまでと決定的に違う。
(……森の呼吸のリズムが、今、乱れた?)
地面の奥から響いていた「ごぉ……ごぉ……」
という規則的な振動。
それが、ほんの一瞬だけ、断線したように途切れたのだ。
「春斗さん……?」
美園さんが、僕の顔を不安そうに覗き込む。
「大丈夫です。ただ……少し気になるだけで」
言葉を濁したのは、自分でもまだ確信が持てなかったからだ。
森の脈動は、何事もなかったかのようにすぐに元に戻った。
けれど、あの一瞬の“空白(ラグ)”は、
胸の奥に消えない棘のように残った。
(……この森、ただの自然じゃない。
何か、巨大な“仕組み”の上にある……?)
解析モードが疼く。この世界の物理法則そのものに、
目に見えない「仕様」が隠されている予感がした。
◇◇◇
隠れ家が見えてきた頃、しのんが僕の袖を引っ張った。
「おにーちゃん……きょう、こわくなかった……」
「うん。よく頑張ったね」
「……あしたも、いっしょ……?」
「もちろん」
その言葉に、しのんは安心したように微笑んだ。
美園も、僕を見てほっとしたように息をつく。
「……春斗さん。今日の成果は大きかねぇ。
水場も果実も確認できたし……これで、少しは安心できるね」
「はい。でも……油断はできません。
森の“呼吸”が、一瞬だけ止まった気がしました」
美園は目を細め、不安そうに森を視線でなぞった。
「……なんか、あるとやろか」
「分かりません。でも、明日も慎重に進めましょう」
隠れ家の入口に戻ると、焚き火の灰が
まだ微かな温もりを保っていた。
今日の探索は、小さな一歩。
けれど、その一歩が確実に“生き延びる未来”へと繋がっている。
そして──。
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それが何を意味するのか、まだ誰も知らない。
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