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7 日中の過ごし方
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ピッピの呼び名は、『アル』に決まった。こちらでは一般的に使われる。
元の世界のどこかの国で、鷹の事をアルコンと言っていたし、ぴったりだと思う。
次の日
お父様は宰相の仕事もあり、王城へでかける。
「今はまだリーナの事は、陛下へ報告しない。しかし今後、魔力の事は話さなければならない時が来る。それから、アルの事は新しいペットと言う位置づけになるが、それでいいだろうか?」
「いいよ。」
「私もアルが良いなら、それでいいです。」
「それでは、行ってくる。」
「行ってらっしゃい。」
お父様に続いて、兄様達も学校へ行く時間になった。
「すぐに帰るからな。」
「僕も!」
何だか、心配されている様だ。
多分、アルが私を『助ける為に来た』というのを気にしているのだろう。
「大丈夫ですよ。アルも来てくれましたし。」
「とにかく、ひとりで外に出るなよ!」
「アルから離れちゃ駄目だよ!」
「はい!」
私は敬礼の真似をした。
「リック兄様、リオン兄様!行ってらっしゃい!」
パトリックとダリオンは、後ろ髪を引かれる思いで出発した。
「何をしようかな。メル、私って今まで何をして過ごしていたのでしょうか?」
「使用人に敬語は使いませぬようお願いします。」
「…はい。頑張って慣れま、る。」
「そうですね。絵本を読んだり、絵を書いたり、買い物をしたりして過ごされていましたよ。」
「絵本と絵は分かるけれど、買い物?」
「はい。商人を定期的に呼び、旦那様から好きな物を買っていいと言われておりました。」
「え?お父様から?」
「はい。お呼びしますか?」
「商人を?」
「はい。」
「いやいやいやいや!3歳児が好きに買い物っておかしいでしょ!」
「そうなのですか?」
「違うの!?」
「私は、ここが初めての職場ですので。」
「私も記憶ないし。」
「「ぷっ。」」
「あはははは!」
「ふふふっ。」
サリーナとメルは、顔を見合わせて笑った。
「とりあえず、絵本を読もうかな。」
言葉は分かるけど、文字が読めるのか気になるし。
「では、図書室に案内いたします。」
「お願いし…。お願い!」
「クスクスッ。畏まりました。」
私はメルの後ろについて行った。
「こちらです。」
大きい開きのドアの前でとまる。
そして、メルがドアを開けてくれた。
「わぁー!」
窓がない大きな部屋の壁全てに、本が並べられている。
「すごいね。」
「うん。」
アルも驚いたようだ。
「あ、絵本。絵本はどの辺り?」
「絵本は右の手前でございます。」
「こっち?」
「はい。」
サリーナとアルは、教えられた所へ近づく。
「どれから読もうかな…。うーん…。よし。これにしよう。」
一冊の本を手に取ると、メルは驚いた顔をした。
「どうしたの?」
「いえ。その本はお小さい頃から良く読まれている本ですので、記憶はなくとも同じなのだと思ったのでございます。」
「…そうなんだ。」
やはり、私はサリーナで、サリーナは私、ということなのかしら?
それとも、偶然?
「サリーナは和菓で、和菓はサリーナだよ?」
心の声を聞いたのだろう。アルが首を傾げる。
「そうよね。」
サリーナは本を開いた。
なんとなくは読めるけど…。
「まだ、読む練習が必要そうね。」
「お手伝いいたしますね。以前も読むお手伝いをしておりました。」
「そうなのね。では、よろしく。」
サリーナは、一文字づつ読み進める。分からない所はメルが教えてくれた。
「はぁ、終わった!メル、ありがとう。」
「お疲れ様でございました。」
「もっとスラスラ読めるように練習しよっと。メル、明日も付き合ってくれる?」
「もちろんでございます。」
「僕も!」
「うん。アルもお願い。」
短いお話だったが、読み終わるまでに少し時間がかかってしまった。
本を仕舞い図書室を出ると、何やら外が騒がしい。
「あ!来たみたいだよ。」
アルのその言葉で、騒ぎの原因が判明した。
元の世界のどこかの国で、鷹の事をアルコンと言っていたし、ぴったりだと思う。
次の日
お父様は宰相の仕事もあり、王城へでかける。
「今はまだリーナの事は、陛下へ報告しない。しかし今後、魔力の事は話さなければならない時が来る。それから、アルの事は新しいペットと言う位置づけになるが、それでいいだろうか?」
「いいよ。」
「私もアルが良いなら、それでいいです。」
「それでは、行ってくる。」
「行ってらっしゃい。」
お父様に続いて、兄様達も学校へ行く時間になった。
「すぐに帰るからな。」
「僕も!」
何だか、心配されている様だ。
多分、アルが私を『助ける為に来た』というのを気にしているのだろう。
「大丈夫ですよ。アルも来てくれましたし。」
「とにかく、ひとりで外に出るなよ!」
「アルから離れちゃ駄目だよ!」
「はい!」
私は敬礼の真似をした。
「リック兄様、リオン兄様!行ってらっしゃい!」
パトリックとダリオンは、後ろ髪を引かれる思いで出発した。
「何をしようかな。メル、私って今まで何をして過ごしていたのでしょうか?」
「使用人に敬語は使いませぬようお願いします。」
「…はい。頑張って慣れま、る。」
「そうですね。絵本を読んだり、絵を書いたり、買い物をしたりして過ごされていましたよ。」
「絵本と絵は分かるけれど、買い物?」
「はい。商人を定期的に呼び、旦那様から好きな物を買っていいと言われておりました。」
「え?お父様から?」
「はい。お呼びしますか?」
「商人を?」
「はい。」
「いやいやいやいや!3歳児が好きに買い物っておかしいでしょ!」
「そうなのですか?」
「違うの!?」
「私は、ここが初めての職場ですので。」
「私も記憶ないし。」
「「ぷっ。」」
「あはははは!」
「ふふふっ。」
サリーナとメルは、顔を見合わせて笑った。
「とりあえず、絵本を読もうかな。」
言葉は分かるけど、文字が読めるのか気になるし。
「では、図書室に案内いたします。」
「お願いし…。お願い!」
「クスクスッ。畏まりました。」
私はメルの後ろについて行った。
「こちらです。」
大きい開きのドアの前でとまる。
そして、メルがドアを開けてくれた。
「わぁー!」
窓がない大きな部屋の壁全てに、本が並べられている。
「すごいね。」
「うん。」
アルも驚いたようだ。
「あ、絵本。絵本はどの辺り?」
「絵本は右の手前でございます。」
「こっち?」
「はい。」
サリーナとアルは、教えられた所へ近づく。
「どれから読もうかな…。うーん…。よし。これにしよう。」
一冊の本を手に取ると、メルは驚いた顔をした。
「どうしたの?」
「いえ。その本はお小さい頃から良く読まれている本ですので、記憶はなくとも同じなのだと思ったのでございます。」
「…そうなんだ。」
やはり、私はサリーナで、サリーナは私、ということなのかしら?
それとも、偶然?
「サリーナは和菓で、和菓はサリーナだよ?」
心の声を聞いたのだろう。アルが首を傾げる。
「そうよね。」
サリーナは本を開いた。
なんとなくは読めるけど…。
「まだ、読む練習が必要そうね。」
「お手伝いいたしますね。以前も読むお手伝いをしておりました。」
「そうなのね。では、よろしく。」
サリーナは、一文字づつ読み進める。分からない所はメルが教えてくれた。
「はぁ、終わった!メル、ありがとう。」
「お疲れ様でございました。」
「もっとスラスラ読めるように練習しよっと。メル、明日も付き合ってくれる?」
「もちろんでございます。」
「僕も!」
「うん。アルもお願い。」
短いお話だったが、読み終わるまでに少し時間がかかってしまった。
本を仕舞い図書室を出ると、何やら外が騒がしい。
「あ!来たみたいだよ。」
アルのその言葉で、騒ぎの原因が判明した。
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