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17 きなことの再会
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昼食は、サンドイッチだった。
これはこれで美味しいけど、おにぎりが食べたい。
そういえば、食事にリゾットらしき物は出てくるけど、ライスとしては、出てこないのは何故?
「お父様。この世界に白米やおにぎりってありますか?」
「白米?おにぎり?」
「お米です。うるち米。」
「コメ?茶色くてボソボソしているアレか?」
「あれは、スープで煮ないと美味しくないよね。」
「それに、臭いんだよな。」
お父様と兄様たちは、苦い顔をしている。
「作る前の下処理が必要なんです。今度、私が作ってもいいですか?」
「できるのか?」
「前世では、主食でした。任せてください。この身体では、したことないけど、きっと大丈夫だと思います。」
「では、期待しようか。帰ったら、料理長に話をしておこう。」
「はい。お願いします。」
楽しみ~。
昼食を食べ終えた頃、ルーフと、アルが私のところへ来た。
「なかなか来ないから、先に食べたよ?はい。これがふたりの分。」
「ありがとう、リーナ。」
「腹減った。と、その前にあいつがここから、近い所にいるぞ。」
「え?」
あいつって、きなこ?
「そう。」
「こっちに向かって来てるよ。」
「お父様!」
「ああ。来るまでここにいよう。」
「ありがとうございます。」
“きなこ!ここから近いの?あと、どれ位?”
“和菓!時間は分からないけど、あと一走りくらいかしら。”
「一走りくらい?」
「どうしたんだ?」
「きなこが、あと一走くらいで着くそうなんですが、一走りってどれくらいなのでしょうか?」
「なんの動物になっているんだ?」
「分かりません…。」
「なら、分からないな。」
「そうですよね…。」
「大丈夫だ。焦らず待とう。」
「…はい。」
そう返事したものの、サリーナは落ち着かず歩き回る。
すると、その近くの茂みから何かが飛び出して来た。
「リーナ!」
ルーフが、サリーナと何かとの間に駆け込む。
「え?」
ドン!
「ルーフ!?」
ルーフと何かがぶつかった。
「イテテテテ…。」
「ちょっと、体力バカ!何しているのよ。痛いじゃないの!」
「お前こそ何してんだ。リーナが怪我するだろ!」
「リーナ?」
その何かがルーフ越しに、こちらを覗き見る。
大体予想はついていた。
「きなこ?」
ヒョウだ!
「和菓!………あら?小さいわね。」
「今の名前はサリーナ。3歳よ。」
「そうなのね。サリーナ、またよろしくね。」
「こちらこそ。私の事はリーナと呼んで。…早速だけど、呼び名をこちら用に変えたいのだけれどいい?」
「きなこでは駄目なの?」
「そうなの。大人の事情で…。」
「なによ、それ。…まあ、和、じゃなくて、リーナがつけてくれるなら良いわ。」
「テーラ、パール…。」
「パール。響きがきれい。」
「では、パールにしましょう。…パール、こちらへ来て。今の家族を紹介するわ。この人達の前なら話しても大丈夫。でも、他では心の会話でお願い。」
「分かったわ。」
「こちらは、お父様。リック兄様に、リオン兄様よ。あちら(少し離れた所)にいるのは私達のそれぞれの侍女よ。私付きのメルは貴方達が話せる事を知っているけど、他の人達はまだ知らないから、気をつけて。」
「はぁ~い。」
「リーナをよろしく頼む。」
「任せて。それにしてもいい匂い。」
「サンドイッチを食べていたの。ごめんなさい。もうないわ…。」
「そう。仕方ないわね。帰ったら期待してる。」
「うん。」
「それでは、予定より早いが帰ろうか?」
気を利かせて、お父様が提案してくれる。
まだゆっくりしたいけど、パールがお腹をすかせちゃう。
「まだ良いわよ。来たばかりなのでしょう?馬がまだ疲れているわ。」
「パール。分かるの?」
「ええ。だってすぐに捕まえられそうだもの。」
「………食べちゃだめよ?」
「食べないわよ!」
「でも、お腹が空いてしまうでしょ?」
「そうだけど、魔力も供給されているし、死なないから大丈夫よ。」
「そうなの?」
「そうよ。不思議な感覚なの。魔獣になる前の感覚があるからかしら。お腹は空くの。でも、食べなくても体力も落ちなければ、死にもしないわ。」
「それは、光りの人が言っていたの?」
「感覚でわかるのよ。それに、こちらへ来て何も食べてないけど元気な私が証拠ね。」
「何も食べていないの!?」
「ええ。食べたいものがなかったのよ。」
猫ってグルメだもんね…。
「じゃあ、お言葉に甘えて。お父様、もう少しのんびりしましょう。」
「良いのかい?」
「パールから穏やかな気持ちが伝わってくるから大丈夫。」
「そうか。」
そうして、私達はのんびりした時間を過ごした。
これはこれで美味しいけど、おにぎりが食べたい。
そういえば、食事にリゾットらしき物は出てくるけど、ライスとしては、出てこないのは何故?
「お父様。この世界に白米やおにぎりってありますか?」
「白米?おにぎり?」
「お米です。うるち米。」
「コメ?茶色くてボソボソしているアレか?」
「あれは、スープで煮ないと美味しくないよね。」
「それに、臭いんだよな。」
お父様と兄様たちは、苦い顔をしている。
「作る前の下処理が必要なんです。今度、私が作ってもいいですか?」
「できるのか?」
「前世では、主食でした。任せてください。この身体では、したことないけど、きっと大丈夫だと思います。」
「では、期待しようか。帰ったら、料理長に話をしておこう。」
「はい。お願いします。」
楽しみ~。
昼食を食べ終えた頃、ルーフと、アルが私のところへ来た。
「なかなか来ないから、先に食べたよ?はい。これがふたりの分。」
「ありがとう、リーナ。」
「腹減った。と、その前にあいつがここから、近い所にいるぞ。」
「え?」
あいつって、きなこ?
「そう。」
「こっちに向かって来てるよ。」
「お父様!」
「ああ。来るまでここにいよう。」
「ありがとうございます。」
“きなこ!ここから近いの?あと、どれ位?”
“和菓!時間は分からないけど、あと一走りくらいかしら。”
「一走りくらい?」
「どうしたんだ?」
「きなこが、あと一走くらいで着くそうなんですが、一走りってどれくらいなのでしょうか?」
「なんの動物になっているんだ?」
「分かりません…。」
「なら、分からないな。」
「そうですよね…。」
「大丈夫だ。焦らず待とう。」
「…はい。」
そう返事したものの、サリーナは落ち着かず歩き回る。
すると、その近くの茂みから何かが飛び出して来た。
「リーナ!」
ルーフが、サリーナと何かとの間に駆け込む。
「え?」
ドン!
「ルーフ!?」
ルーフと何かがぶつかった。
「イテテテテ…。」
「ちょっと、体力バカ!何しているのよ。痛いじゃないの!」
「お前こそ何してんだ。リーナが怪我するだろ!」
「リーナ?」
その何かがルーフ越しに、こちらを覗き見る。
大体予想はついていた。
「きなこ?」
ヒョウだ!
「和菓!………あら?小さいわね。」
「今の名前はサリーナ。3歳よ。」
「そうなのね。サリーナ、またよろしくね。」
「こちらこそ。私の事はリーナと呼んで。…早速だけど、呼び名をこちら用に変えたいのだけれどいい?」
「きなこでは駄目なの?」
「そうなの。大人の事情で…。」
「なによ、それ。…まあ、和、じゃなくて、リーナがつけてくれるなら良いわ。」
「テーラ、パール…。」
「パール。響きがきれい。」
「では、パールにしましょう。…パール、こちらへ来て。今の家族を紹介するわ。この人達の前なら話しても大丈夫。でも、他では心の会話でお願い。」
「分かったわ。」
「こちらは、お父様。リック兄様に、リオン兄様よ。あちら(少し離れた所)にいるのは私達のそれぞれの侍女よ。私付きのメルは貴方達が話せる事を知っているけど、他の人達はまだ知らないから、気をつけて。」
「はぁ~い。」
「リーナをよろしく頼む。」
「任せて。それにしてもいい匂い。」
「サンドイッチを食べていたの。ごめんなさい。もうないわ…。」
「そう。仕方ないわね。帰ったら期待してる。」
「うん。」
「それでは、予定より早いが帰ろうか?」
気を利かせて、お父様が提案してくれる。
まだゆっくりしたいけど、パールがお腹をすかせちゃう。
「まだ良いわよ。来たばかりなのでしょう?馬がまだ疲れているわ。」
「パール。分かるの?」
「ええ。だってすぐに捕まえられそうだもの。」
「………食べちゃだめよ?」
「食べないわよ!」
「でも、お腹が空いてしまうでしょ?」
「そうだけど、魔力も供給されているし、死なないから大丈夫よ。」
「そうなの?」
「そうよ。不思議な感覚なの。魔獣になる前の感覚があるからかしら。お腹は空くの。でも、食べなくても体力も落ちなければ、死にもしないわ。」
「それは、光りの人が言っていたの?」
「感覚でわかるのよ。それに、こちらへ来て何も食べてないけど元気な私が証拠ね。」
「何も食べていないの!?」
「ええ。食べたいものがなかったのよ。」
猫ってグルメだもんね…。
「じゃあ、お言葉に甘えて。お父様、もう少しのんびりしましょう。」
「良いのかい?」
「パールから穏やかな気持ちが伝わってくるから大丈夫。」
「そうか。」
そうして、私達はのんびりした時間を過ごした。
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