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60 食事準備
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サリーナは、まずロンドとメルの元へ向かった。
「朝食は私が準備するから、ふたりとも休んでいて。」
「そのような事はできません。」
「そうです。準備は私達が。」
「明日までに治してもらわないと困るのよ。魔力酔いの様だから、休んでね。」
「しかし…」
「大丈夫。足りない食料調達はルーフがしてくれるし、食事は胃に負担をかけないように、お粥を作るから。」
「胃の負担?」
「魔力酔いだから関係ないのかしら?とにかく、休んでいて。そして、早く良くなってね。」
「「…畏まりました。」」
ロンドとメルは、顔を合わせて観念した様に返事をし、テントと馬車へ入っていった。
「さてと、作りましょう!」
サリーナは食事の準備と並行して、飲み物の準備もしていく。
「さっぱり飲めるものがいいわよね。レモン水なら飲みやすいかな。レモンはあったかしら。」
完成した食事とレモン水は、それぞれの場所へ運ぶ。
「お父様、リック兄様、リオン兄様、食べられれば食べてください。」
「「「ありがとう。」」」
「ザック様、お口に合うか分かりませんが、少しでもどうぞ。」
「頂くよ。ありがとう。」
「ロンド、ここに置いておくから食べてね。」
「申し訳ございません。」
「メル、食べられそうなら食べてね。」
「はい。ありがとうございます。」
サリーナは、調理スペースに戻り、ひとりで食事をしながら次にすることを考えた。
「洗濯は…ない。皆、熱があるわけではないから、看病という看病もいらない…。後で、水分だけ見に行きましょう。それから、ルーフを待って下処理ね。」
そう時間が経たないうちに、ルーフはうさぎと鳥数匹を咥えて戻ってきた。
「狩ってきたぞ!」
「早かったわね。さっそく血抜きと内臓抜き。」
やったことは無いが、知識はある。
よし、やるしかない!
「命を頂きます。」
サリーナは目を閉じ、手を合わせてから、以前読んだことのあるジビエ料理の本を思い出しながら、下処理を進めていく。
「結構、力がいるのね。…包丁に魔力を乗せてみたら楽になるかな?」
早速、試す。
「うん。やっぱり楽になった。このままさっさっと進めましょう。」
黙々と作業を進めていると、後ろから声をかけられた。
「サリーナ様!?」
「あら。メル、寝ていなくては駄目ではないの。」
「は、はい。先程のお水を頂きたくて…」
「それは、気付かなかったわ。ごめんなさい。」
下処理を始めて、案外時間が経っていたようだ。
他の皆の分も用意しといた方がいいわよね。
「これが終わったら、持っていくわね。」
「それよりも、血塗れではないですか!?」
メルが駆け寄ってくる。
サリーナは、それを制止した。
「メル、止まって!汚れてしまうから、近づいては駄目よ。今、下処理中なの。」
「サリーナ様がそんな事…。」
「でも、元気になる為に、食べない事には仕方ないでしょ?大丈夫。今の所順調よ。」
「そういうことでは…。」
サリーナは下処理をやり終えて、手を洗った。服にも血がついてしまっている。
「着替えは、前の日のものを着ればいいか。これは、後で洗いましょう。」
予定より滞在が延びた為、服は着回すしかない。
「お手伝い致します。」
「良いわよ。そこで座って待っていて。」
サリーナは急いで着替えに行った。
「メル、待たせてしまってごめんなさい。レモン水、皆の分も、」
「サリーナ様。」
メルが泣きそうな顔でこちらを見ている。
「ど、どうしたの?」
「私は、サリーナ様の侍女で幸せでございます。」
使用人の為に、ここまでなさって下さるなんて…。
「そ、そう…。」
サリーナに使用人の為という意識はないが、メルは改めてサリーナへの敬愛と、仕える事の誇りを感じた。
その後、サリーナはレモン水を足す為に、それぞれのテントを回った。
そして夕方には、皆が動けるようになっていた。
「朝食は私が準備するから、ふたりとも休んでいて。」
「そのような事はできません。」
「そうです。準備は私達が。」
「明日までに治してもらわないと困るのよ。魔力酔いの様だから、休んでね。」
「しかし…」
「大丈夫。足りない食料調達はルーフがしてくれるし、食事は胃に負担をかけないように、お粥を作るから。」
「胃の負担?」
「魔力酔いだから関係ないのかしら?とにかく、休んでいて。そして、早く良くなってね。」
「「…畏まりました。」」
ロンドとメルは、顔を合わせて観念した様に返事をし、テントと馬車へ入っていった。
「さてと、作りましょう!」
サリーナは食事の準備と並行して、飲み物の準備もしていく。
「さっぱり飲めるものがいいわよね。レモン水なら飲みやすいかな。レモンはあったかしら。」
完成した食事とレモン水は、それぞれの場所へ運ぶ。
「お父様、リック兄様、リオン兄様、食べられれば食べてください。」
「「「ありがとう。」」」
「ザック様、お口に合うか分かりませんが、少しでもどうぞ。」
「頂くよ。ありがとう。」
「ロンド、ここに置いておくから食べてね。」
「申し訳ございません。」
「メル、食べられそうなら食べてね。」
「はい。ありがとうございます。」
サリーナは、調理スペースに戻り、ひとりで食事をしながら次にすることを考えた。
「洗濯は…ない。皆、熱があるわけではないから、看病という看病もいらない…。後で、水分だけ見に行きましょう。それから、ルーフを待って下処理ね。」
そう時間が経たないうちに、ルーフはうさぎと鳥数匹を咥えて戻ってきた。
「狩ってきたぞ!」
「早かったわね。さっそく血抜きと内臓抜き。」
やったことは無いが、知識はある。
よし、やるしかない!
「命を頂きます。」
サリーナは目を閉じ、手を合わせてから、以前読んだことのあるジビエ料理の本を思い出しながら、下処理を進めていく。
「結構、力がいるのね。…包丁に魔力を乗せてみたら楽になるかな?」
早速、試す。
「うん。やっぱり楽になった。このままさっさっと進めましょう。」
黙々と作業を進めていると、後ろから声をかけられた。
「サリーナ様!?」
「あら。メル、寝ていなくては駄目ではないの。」
「は、はい。先程のお水を頂きたくて…」
「それは、気付かなかったわ。ごめんなさい。」
下処理を始めて、案外時間が経っていたようだ。
他の皆の分も用意しといた方がいいわよね。
「これが終わったら、持っていくわね。」
「それよりも、血塗れではないですか!?」
メルが駆け寄ってくる。
サリーナは、それを制止した。
「メル、止まって!汚れてしまうから、近づいては駄目よ。今、下処理中なの。」
「サリーナ様がそんな事…。」
「でも、元気になる為に、食べない事には仕方ないでしょ?大丈夫。今の所順調よ。」
「そういうことでは…。」
サリーナは下処理をやり終えて、手を洗った。服にも血がついてしまっている。
「着替えは、前の日のものを着ればいいか。これは、後で洗いましょう。」
予定より滞在が延びた為、服は着回すしかない。
「お手伝い致します。」
「良いわよ。そこで座って待っていて。」
サリーナは急いで着替えに行った。
「メル、待たせてしまってごめんなさい。レモン水、皆の分も、」
「サリーナ様。」
メルが泣きそうな顔でこちらを見ている。
「ど、どうしたの?」
「私は、サリーナ様の侍女で幸せでございます。」
使用人の為に、ここまでなさって下さるなんて…。
「そ、そう…。」
サリーナに使用人の為という意識はないが、メルは改めてサリーナへの敬愛と、仕える事の誇りを感じた。
その後、サリーナはレモン水を足す為に、それぞれのテントを回った。
そして夕方には、皆が動けるようになっていた。
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