ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ

文字の大きさ
104 / 142

100 迷惑な伯爵

しおりを挟む
大会が始まるのを待っていると、後ろの方から大きな声で話す男と女の声が聞こえた。

「ふん!待たせやがって。私を誰だと思っているんだ!」
「全くですわ!」
「私は伯爵だぞ!馬車を先に停めるくらいなんてこと無いだろうが!来て早々、腹が立つ!一番上に座るぞ!平民共に見下ろされてたまるか!」

貴族が最上段に座る理由…

そんな事だろうと思ったけど、すべてがそういう方ではないと思いたいわね。
…ま、私には関係ないか。

サリーナは、その伯爵とやらを見ることもなく、訓練場にアイザックを探していた。

「おい、そこの女!おい!」

可哀想に、誰か絡まれてるわ。

「おい!聞こえぬのか!1番前の女だ!」

一番前の女ね…。そんなのたくさんいるわよ。

「犬と鳥を連れたやつ!私が声をかけているんだ!返事をしろ!」

犬?鳥?

サリーナは、そこでやっと周りを見た。
すると、周りに動物はルーフとアルだけ。

「まさか…私の事だったの?」

サリーナは、メルとハリーに小声で確認すると、メルとハリーは苦々しい顔をしている。

「その様です。」
「どういたしますか?」

面倒くさい。
…無視でいいわね。

「…放っておいていいかしらね?」
「「承知いたしました。」」

サリーナは、視線を戻し訓練場に出てきている騎士達を見た。

「おい!私は伯爵だぞ!返事をしないとは何様だ!!」

男は、一際大きい声で叫んだ。
サリーナ達に周りからの視線が刺さる。

本当に迷惑…。

「もしかして、私の事でしょうか?」

サリーナが振り向くと、男は目を見開いた後、下卑た笑みを浮かべた。

この男、悪い評判しか聞かないゲッター伯爵。一緒にいる方は、奥様ではないわね…。

「こちらへ来い!」

あら?顔を見せたのに、私の事を分からないの?
服装も化粧も違うとはいえ、舞踏会での挨拶済みよ?
それに、ルーフとアルもいるのに。

「何故でしょうか?」
「こちらの方がよく見える。ほら、隣へ。」
「遠慮いたします。」
「は?伯爵の私が言っているのだぞ!?」
「もう始まりますので、今からの移動は、周りの方の迷惑になります。」
「私が言っているのだから来い!」

嫌だよ!誰が行くか!

「さ…お嬢様。」

メルが呼び方を変えた。

ナイス、メル!
私の事を分からないなら、面倒くさいからそのままの方がいい。

「席を変えますか?」
「そうね。このままでは他の方の迷惑になってしまうわ。皆さん、騒がしくしてごめんなさい。」

周りに謝り、私達はその場を去ろうと席を立った。

「はじめからそうすればいいんだ!早く来い!」

まだ何か叫んでいるが、気にしない。

サリーな達は、反対側の観覧席に行こうと歩き出す。

その時…

「どこに行くんだ!耳が聞こえんのか!!」
…「「「「「きゃあー♡」」」」」…

ゲッター伯爵の怒鳴り声と同時に女性達の悲鳴が聞こえた。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます

時岡継美
ファンタジー
 初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。  侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。  しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?  他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。  誤字脱字報告ありがとうございます!

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~

いとうヒンジ
ファンタジー
 ある日、イチカ・シリルはパーティーを追放された。  理由は、彼のレベルがいつまでたっても「1」のままだったから。  パーティーメンバーで幼馴染でもあるキリスとエレナは、ここぞとばかりにイチカを罵倒し、邪魔者扱いする。  友人だと思っていた幼馴染たちに無能扱いされたイチカは、失意のまま家路についた。  その夜、彼は「カミサマ」を名乗る少女と出会い、自分のレベルが上がらないのはカミサマの所為だったと知る。  カミサマは、自身の不手際のお詫びとしてイチカに最強のスキルを与え、これからは好きに生きるようにと助言した。  キリスたちは力を得たイチカに仲間に戻ってほしいと懇願する。だが、自分の気持ちに従うと決めたイチカは彼らを見捨てて歩き出した。  最強のスキルを手に入れたイチカ・シリルの新しい冒険者人生が、今幕を開ける。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/466596284/episode/5320962 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/84576624/episode/5093144 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/786307039/episode/2285646

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

勇者パーティーを追い出された大魔法導士、辺境の地でスローライフを満喫します ~特Aランクの最強魔法使い~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
クロード・ディスタンスは最強の魔法使い。しかしある日勇者パーティーを追放されてしまう。 勇者パーティーの一員として魔王退治をしてくると大口叩いて故郷を出てきた手前帰ることも出来ない俺は自分のことを誰も知らない辺境の地でひっそりと生きていくことを決めたのだった。

処理中です...