ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ

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101 アイザック登場

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「リーナ!」

少し前からザック様の魔力が近づいてくるのは気づいていた。

「ザック様。」
「もう始まるが、どうした?」
「あちらへ移動しようと思いまして…。」

私は反対側を指さした。

「何故?」
「それは…」

話すべきか否か…。

私とザック様が親しげに話しているのを見て、ゲッター伯爵は困惑しているようだ。

「あ、アイザック殿下…何故?」
「何故とは?」
「あ、いえ…あの…そのおん、いや、その方は?」
「リーナか?私の婚約者だが?」
「は?」
「貴殿にも、以前の舞踏会で紹介したと記憶している。」
「は、はい。そうでしたな。」

ゲッター伯爵の顔から、血の気が引いている。

「何か問題でもあったのか?」

ゲッター伯爵は、モゴモゴとしている。更に汗が止まらないようだ。

そんなゲッター伯爵をよそに、メルが簡単に状況を説明する。

「こちらの方がサリーナ様へ声をかけられ、他の方への影響も考えられたサリーナ様が移動なさることに…。」

一般的に侍女が貴族に対して、この言い方は良くはないけれど……その通りだし、いいか!

「ま、まさか…。そ、そうです。こ、こちらの場所のほうが見やすいだろうと思い、お声掛けしたまでです。」
「…うちのお嬢様を『女』呼びでしたがね。」

ゲッター伯爵の言葉の終わりに続いて、ハリーがボソッと言った。そのことが、ザック様にも聞こえており、ザック様の眉間はピクピクしている。

ハリー…、わざとね。

「ほぉ。我が愛しきリーナを『女』呼びねぇ…。」
「そ、そんな事しておりません!おい、そこの!嘘を言うな!」
「我が家の副執事が嘘を言っているとでも?」

アイザックの後ろからダリオンも顔を出した。

「リオン兄様。」
「ダ、ダリオン様!?」

あら?兄様の事は分かるのね。

「どうなのですか?ゲッター伯爵。」
「え、あ、いや、あの…」
「はっきりしませんね。…ま、いいでしょう。すでに、試合開始時間が過ぎています。父にも話し、後日きちんと謝罪を求めますよ。」
「そ、それはご勘弁ください!」
「見学なさるなら、お静かにお願いします。」

リオン兄様は、にっこり笑い、ゲッター伯爵を黙らせた。

「リーナ。ここでは落ち着かないだろう?別の席を用意するから。」

ザック様は、私の返事を待たずに私を抱き上げた。

「ちょっ!ザック様!」

お姫様抱っこをされた状態で何処かに連れて行かれ、その後ろからルーフとアルがついてくる。

注目されているのだけど…。視線が痛い!
あ、メル、ハリー!

サリーナは、アイザック越しに後ろを見る。ふたりはニコニコしながら、こちらを見ていた。








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