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103 アイザックの試合

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騎士たちが戦うのを見ていると、何人か動きのいい人、目立つ人がいる。
その中に見知った魔力を見つけた。

あの方は、シュルツ様…あちらは、バズ様。おふたりとも勝ったようね。
シュルツ様はともかく、バズ様も強かったのね…。

トーナメントにより強いものが残り、シード枠まで試合は進んだ。

“リーナ。出揃ったようよ。”
“そうね。”

ザック様、リオン兄様、ハンス様に、シュルツ様とバズ様。他にも十数名…。

私が知らないだけで、隊長の方もいるのでしょうね。

残った者達で、再度トーナメントが組まれ、改めて試合が始まった。

“ほら!アイザックくんの出番よ!”

パールに言われ見ると、私の目の前にザック様がいた。

対戦相手は…バズ様なのね。

「お手柔らかにお願いしま~す。」

バズはアイザックへ軽く声をかけた。

「お前…真剣にやれ。」

アイザックも呆れている。

「分かってますよ。俺は、やる時はやる男なんです。」
「…そうか。」

試合が開始し、先に仕掛けたのはバズの方だった。

「様子見てても仕方ないので、先にいかせてもらいます!」

ガチン!

剣同士がぶつかり、大きな音がなる。

「いきなり来たな。」
「何もしないで負けるのだけは嫌なんで、ね!」

バズは、続けて何度も打ち込み、アイザックもそれを受け、自分から攻撃をしかけた。その攻撃は止められたが、気にせずにすすめていく。

バズ様が押され気味ね。

“やはり、ザック様の方が実力は上ね。”
“当たり前よ。次期、隊長。将来的に騎士団長よ!”
“え?”
“『え?』って…。将来の王弟で、この実力よ?”
“考えればそうね。今まで考えたことなかったわ…。”

一般騎士の様な生活は無理じゃん…。
仕方ない…仕方ないけど…。
ザック様と相談ね。

少しの間、試合から視線を反らし、そんな事を考えていると、誰かの大声が聞こえた。

「あぶない!!!」
「ん?」

前を見ると、剣がこちらに向かって飛んできている。

…「「「きゃー!!!」」」…

観客席からは、アイザックがサリーナの元へ来た時のものとは違う種類の悲鳴も聞こえる。

前にも似たような事があったわね。

サリーナは微動だにせず、何も無いような表情で只々そこにいた。

バン!

バリアが剣を弾いた。

それを見た観客もバズも口をあんぐり開けている。

何か、この反応…懐かしいわね。

サリーナは、魔法を使い始めた頃を思い出し、苦笑した。

「リーナ。大丈夫だな?」

ザック様は私の元へきたが、バリアを張っていたことも、私の実力も知っているので、落ち着いている。

「ええ。バリアを張っておいて良かったですね。…ふふっ。」
「どうした?」
「色々思い出しまして…。私は大丈夫ですから、戻ってください。」
「ああ。…引き続きバリアは、」
「分かっています。さあ、お早く。」

アイザックは、元の位置に戻っていった。

「勝者、アイザック!」

その言葉で我に返った観客は、急いで拍手を始めた。

「ふふふっ。」

その光景もまた、サリーナにとっては可笑しいものだった。




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