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104 決勝戦の観覧
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試合は続き、あっという間に決勝戦。
ハンス隊長と第3部隊隊長の戦いとなった。
第1部隊の隊長は騎士団長が兼任しており、騎士団長は今回は不参加の為、このふたりが残ったのだろう。
「ザック様。惜しかったですね。」
「剣だけでは、まだ隊長に勝てないな。」
私達は今、ザック様と観客席にいる。リオン兄様とシュルツ様も一緒だ。
試合が終わった選手は、表彰式までやることも無く、自由なのだという。
ザック様と一緒なら変な輩にも絡まれないだろうと言うことで、観客席に戻ってきたのだった。もちろん、始めの席とは反対側の観客席に。
あちらに行ったら、また碌なことにはならなそうだし…。
「現状、宰相様は別として、魔法と剣を使ったザックに勝てる人はいないだろう。」
シュルツ様の言葉で、ザック様とリオン兄様が顔を見合わせてから、シュルツ様を見て声を合わせた。
「「いる。」」
「は?何処にそんな強い………!!」
思い出した様に、パッと視線がこちらを向く。
「いるでしょ?」
「……可愛らしいから、忘れてた。」
「俺の最強の天使だな。」
それは、褒めてるつもり?
何か………何か複雑。
「剣はできません…。」
「そう?護身術はやったよね?」
『覚えておいて損はないから』とリオン兄様に言われ、多少の護身術は習った。
「それとこれとは、違いますよね?」
「僕たちに勝てないにしても、破落戸相手には困らない程度に強くなったでしょ?」
「…相手の力量によります。」
「「そりゃ、そうだ。」」
ザック様とリオン兄様は笑っている。
「ほらほら、始まるよ。」
シュルツ様の言葉で見ると、ふたりは向かい合っており、少しして試合開始の合図が鳴った。
「ハンス隊長に勝ってもらわないとな。」
「何を言っているの。うちの隊長だって剣はイケてるよ。」
「剣は…?」
「あ…んー、普段は、ちょっと…残念というか…。」
「残念?」
サリーナは、前にあった時のことを思い出す。
「前に、騎士の指導もきちんとして、こちらへも謝ってくれましたよね?残念て感じではなかったと思うけど…。」
「会ったことあるんですね?」
「はい。ちょっとした事件で。」
「事件って…。スウィーティー様は何かしら巻き込まれるね。」
「そうですか?」
事件という事件は、それだけだったような気がするけど…。
サリーナの頭の中には、最近の出来事しか思い浮かばず、未だ行方不明の彼女のことは、すっかり頭から消えているのだった。
「自覚なし。ザック、お前が気を付けろよ?」
「分かってる。」
シュルツと話をして、第3部隊長の『残念さ』については、スルーされた形になった。
そして、優勝者は第3部隊隊長に決まり、武道大会は幕を閉じた。
ハンス隊長と第3部隊隊長の戦いとなった。
第1部隊の隊長は騎士団長が兼任しており、騎士団長は今回は不参加の為、このふたりが残ったのだろう。
「ザック様。惜しかったですね。」
「剣だけでは、まだ隊長に勝てないな。」
私達は今、ザック様と観客席にいる。リオン兄様とシュルツ様も一緒だ。
試合が終わった選手は、表彰式までやることも無く、自由なのだという。
ザック様と一緒なら変な輩にも絡まれないだろうと言うことで、観客席に戻ってきたのだった。もちろん、始めの席とは反対側の観客席に。
あちらに行ったら、また碌なことにはならなそうだし…。
「現状、宰相様は別として、魔法と剣を使ったザックに勝てる人はいないだろう。」
シュルツ様の言葉で、ザック様とリオン兄様が顔を見合わせてから、シュルツ様を見て声を合わせた。
「「いる。」」
「は?何処にそんな強い………!!」
思い出した様に、パッと視線がこちらを向く。
「いるでしょ?」
「……可愛らしいから、忘れてた。」
「俺の最強の天使だな。」
それは、褒めてるつもり?
何か………何か複雑。
「剣はできません…。」
「そう?護身術はやったよね?」
『覚えておいて損はないから』とリオン兄様に言われ、多少の護身術は習った。
「それとこれとは、違いますよね?」
「僕たちに勝てないにしても、破落戸相手には困らない程度に強くなったでしょ?」
「…相手の力量によります。」
「「そりゃ、そうだ。」」
ザック様とリオン兄様は笑っている。
「ほらほら、始まるよ。」
シュルツ様の言葉で見ると、ふたりは向かい合っており、少しして試合開始の合図が鳴った。
「ハンス隊長に勝ってもらわないとな。」
「何を言っているの。うちの隊長だって剣はイケてるよ。」
「剣は…?」
「あ…んー、普段は、ちょっと…残念というか…。」
「残念?」
サリーナは、前にあった時のことを思い出す。
「前に、騎士の指導もきちんとして、こちらへも謝ってくれましたよね?残念て感じではなかったと思うけど…。」
「会ったことあるんですね?」
「はい。ちょっとした事件で。」
「事件って…。スウィーティー様は何かしら巻き込まれるね。」
「そうですか?」
事件という事件は、それだけだったような気がするけど…。
サリーナの頭の中には、最近の出来事しか思い浮かばず、未だ行方不明の彼女のことは、すっかり頭から消えているのだった。
「自覚なし。ザック、お前が気を付けろよ?」
「分かってる。」
シュルツと話をして、第3部隊長の『残念さ』については、スルーされた形になった。
そして、優勝者は第3部隊隊長に決まり、武道大会は幕を閉じた。
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