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123 止まない雨

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明日はリック兄様の結婚式…の筈だった。

「雨…止まないわね。」

サリーナは、家の窓から空を眺める。

あれから、雨は止むことがなく、降り続いている。
各地で雨による被害も出ており、王城も騎士団も忙しく動いていた。
その為、リック兄様とサラ様は『結婚式どころではない』と判断し、少し前に式は延期すると決定された。

「どうしちゃったのかしらね…。はぁ…他に、嫌な気配も感じるというのに…。」
「見に行くか?」

サリーナが溜息をついていると、ソファ下で伏せていたルーフが顔を上げた。

「僕も行こうか?」

アルもお嫁さんに寄り添いながら話す。
お嫁さんは、卵を暖めている。
あの日、木にいる事を選んだアル達だったが、卵を産む時に安全なサリーナの部屋へ移動してきたのだ。

「いいえ。お父様達も気づいている様だから、もう少し待ちましょう。雨との関係性も調べているだろうし、幸い死傷者は出ていないと言うから。それに、アルはここから動いては駄目よ。お嫁さんと卵を守っていなさい。」
「リーナ…。でも、大事になったら動くからね。」

アルの横でお嫁さんも首を縦に振っている。

「…分かったわ。その時は頼むわね。」

「サリーナ様。お茶をご用意いたしました。」
「ありがとう。」

メルが用意してくれたお茶に口をつける。

「ふぅ…、落ち着く。」

その時だった。サリーナが座る椅子の下が光りだした。

それを見たサリーナは焦る…事はなく冷静だった。

「う~ん、これは防御した方がいいのかしら?」
「サリーナ様。早くこちらへ!」

メルが手をのばすが、サリーナは動かない。その間に光は段々広がっていく。

「ちょっと行って来ようかしら。」

その言葉を聞き、ルーフがサリーナの元へ走り、身体を寄せた。

「おやめ下さい!」

メルの叫びが響き、サリーナの足元が見えなくなった時…

「俺が行ってくる。」

ルーフはサリーナを光から押し出し、自ら光の中へ潜っていった。

「ルーフ!」

そして、光は消えた。

「一人で行くなんて…」
「何を仰っているのですか!サリーナ様が、すぐに対処なさればこうはなりませんでした!」

メルがサリーナへ怒鳴る。

「…そうね。」

お父様に任せると言ったものの、気になっていたし、この機会に色々確かめようと思った事がルーフには伝わっていたのね。

「申し訳ない事をしたわ。お父様たちにも、怒られるわね。」

魔力の繋がりは、まだ感じる。場所は…分かる。

「メル。私は皆の元へ行ってくるわ。そのままルーフの所に出掛けるから、ロンドにもよろしくね。」
「え?」
「僕も行く。」
「さっきここを守るように言ったばかりよ?」
「これは大事でしょ?」

申し訳ない…。

「………では、行きましょうか。」

サリーナは、そのまま窓から外に出る。

「サリーナ様!」

サリーナは勢いよく、王城へ向かって飛んだ。

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