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130 国境

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サリーナ達は、アイランの魔力を辿り、国境付近までやってきた。
空にいるサリーナ達の視線の先では、隣の国の旗が風でなびいている。旗を掲げているのは、武装した集団だ。

「あの集団の中にいますね。」
「そうだな。」
「とりあえず、パールに騎士団へ伝えてもらいましょうか。」
「ああ。隊長なら大丈夫だ。頼む」
「分かりました。」

サリーナは、すぐにパールへ現状を伝えた。

“分かったわ。任せて。”

「さて、どうするか。」
「まだ、何をするつもりか分かりませんし、様子を見ますか?」
「うーん………直接、話を聞くか。」
「ザック様。案外、大胆ですね。…ま、分かりやすくて、私は好きです。」
「リーナ。魔力が俺たちより高いやつはいなそうだが…」
「気は抜きません。…念の為、アルとルーフは離れて見ていてね。何かあった時の為に、別にいた方が動きやすい事もあるわ。」
「「了解。」」
「では、ザック様。」
「ああ。行こう。」

ふたりは集団の中へ、アイランの魔力へ向かって入って行った。
アイランの魔力は、集団の真ん中にあった大きな馬車の中から感じられる。
サリーナ達が、馬車の前に降りると馬車は止まり、それに合わせて、周りの兵も止まる。
馬車には御者ともうひとり男が付いている。

「何者だ!!」
馬車のその中の女に話がある。そこをどいてくれないか?」
「女?!なんの事だ?!」
「その馬車の中にいるだろう?」
「知らんな!」
「アイランという女だ。」
「おい!馬車を出せ!」

男が御者へ怒鳴る。御者は前にサリーナ達がいるため、馬車を動かせずにいた。

「武装してどこへ行く気だ?」
「関係なかろう!それより、お前らは誰だ!名を名乗れ!!」
「俺か?俺は……ザックだ。」
「私は、リーナです。」

本名は名乗らず愛称を伝える。
本名で無いとはいえ、あっさり名乗った事に驚いたのだろうか。返事まで間が空いた。

「………おい!お前等!このふたりを頼んだぞ!我々は先に行く!」

男は周りの兵に命令する。
…が、兵達は動かない。

「おい!お前等何やっているんだ!!早くしろ!!!」
「話を邪魔されたくございませんので、動きは止めてありますよ。」
「さすが、リーナ。」
「褒めていただけて嬉しいです。」
「クソッ!使えん奴らだ!!俺が!」

男はこちらへ向かって掌を向け、魔法を放った。

「…………は?何故だ?」

サリーナ達は何事もなく立っていた。

「この集団に入ってくるんだ。それなりの準備はするさ。」

そう。私達はしっかりバリアを張っている。

その時…

「ちょっと!なぜ、動かないの?!」

馬車の扉が開き、中から身体を半分出したのはアイランだった。





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