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135 雨の終わり

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「なぁ、リーナ。黒い物体ってあれか?」
「…そうでしょうね。」

探索を始めてすぐに黒い石の様な塊を見つけた。
それは、サリーナの足首の高さの物が、一定の距離で点々と並んでいた。

「こんなに…。思っていたのと違うわ。ルーフは、気づかなかったの?」
「さっきか?こちらへは来なかったからな。…クンクンクン。」
「ルーフ?」
「これ。妙なニオイがする。」
「匂い?私には、分からないわ。」

近づいても大丈夫かしら。

サリーナは石に近づき、嗅いでみる。

バチッ!!

「痛っ!」
「リーナ!」
「大丈夫よ。」

この感じ、この世界では無かった。久々に感じたわ…静電気。

これで、雨雲を発生させているのね。
……誰がこんな事を思いついたの?
……もしかして…いえ…まさか…

「ま、いいわ。考えるのはあとにしましょう。…これ、壊せるかしら?それとも掘り出す?」
「どちらもやってみたらどうだ?」
「そうね。」

サリーナとルーフは、黒い石に向かって様々な攻撃魔法を放ったが、変化はない。

「次に掘り出し作戦!」
「おう!」

ルーフが石に近づき、前足で石の周りを掘ろうとした。

バチッ!

「いてっ!」
「静電気…忘れてた。」
「離れて掘るしかないな。」
「離れて掘る?どうやって?」
「「ぅ~ん…」」

何か使えそうな物あったっけ?

サリーナは前世の記憶をたどる。

「あっ!」

サリーナは、水魔法をジェット噴射の様な状態で放ち、石の周りの土に当てていく。
土は削られ、埋められている石が少しづつ姿を表す。
掘っていくと、石は杭の形になっていて、始めに見えていたのは、頭の部分だけであった。

「さて、次は…」

サリーナは、手に魔法で膜を作り、杭に触れた。

「ビリっと来ない。大丈夫そうね。」

そして、杭を引き抜くと隣に移る。その工程を続けていく。

雨は弱まり、次第に止んでいった。

「杭はまだ残っているけれど、とりあえず戻りましょう。」
「俺…役に立たなかった…。」

ルーフは、サリーナの足元で肩を落としている。

「ルーフの出番は、まだ先なのよ。力を温存しておけばいいわ。」
「それは、いつだ?」
「それは、」
「それは?」
「分からないけど。」
「なんだよ!」
「クスクス。さぁ戻りましょう。ね!」
「おお。これはどうする?」

ルーフが抜いた杭を指す。

「何本か持ち帰りましょう。残りは、また後で。」

サリーナとルーフが元いた扉の場所へ戻ると、アイザックとパールがいた。

「リーナ!」
「ザック様。お話は終わったのですね。」
「ああ。それより、リーナ説明してくれるか?」

雨が止んだことを言っているのだろう。
黒い石の対処をしていたことは、きっとパールから話がいっている。

「戻ったら説明しますね。」
「分かった。」

アイザックが兵たちの拘束を解き終わる頃には、アルたちも戻り騎士団へ帰る準備も終わっていた。




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