138 / 142
134 黒い物体?
しおりを挟む
「そちらの上官は我が国で捕虜とした!これ以上の戦いはせず、帰国するよう!」
ハンス隊長は捕まっている人達に向かって大声で話す。
これ、皆に聞こえているのかしら?
………あれだ!
「ハンス隊長。」
「サリーナ様、少しお待ち下さい。今は、」
「失礼いたします。」
サリーナはハンス隊長の首に触れた。
「な!何を!?」
ハンス隊長は顔を赤くして狼狽えている。
「そのまま話してください。」
「サリーナ様、お手を……え?」
普通の声で話していたハンス隊長の声は、大声を出すよりも大きな音で周りに響き渡る。
「ハンス隊長、お話を。」
「あ、はい。…コホン。あー、もう一度言う!」
名付けて拡張器魔法。成功ね!
話を終えたハンス隊長は、サリーナに向かって頭を下げた。
「ありがとうございました。」
「勝手にしてしまって申し訳ありませんでした。」
「いいえ。助かりました。このような魔法があるとは知りませんでした。」
「今、思いついたので…。」
「え?!」
「はい?」
「………何でもございません。」
サリーナとハンスの話が途切れたタイミングで、一人の騎士がハンス隊長に話しかけた。
「あの~、隊長。話し中に申し訳ありません。」
「どうした?」
「兵達が動こうとしません。」
「どういうことだ?」
…あ!
「捕縛魔法が解けていませんね。今、解きます。あ、でもザック様の魔法…本人ではないと解除できませんね。」
“パール。捕縛魔法なんだけど…。”
“アイザックくんも、思い出したようよ。報告が終わったらすぐに行くって。”
「-と言う事です。」
「分かりました。その間、周辺を調べたり、この兵たちに話を聞いたりしたいと思います。」
「では、アル~、ルーフ~!」
サリーナが名を呼ぶと、待機していたアルとルーフが姿を表した。
「ハンス隊長の手伝いをお願いできるかしら?」
2匹は頷き、ハンス隊長の側に行く。その時、思い出したようにアルがこちらへ話しかけてきた。
“あ!そうだ!リーナ。何か変なのがあったんだけど。”
“変な物?”
“うん。黒くて大きいの。”
“黒くて大きいもの…”
「ハンス隊長。」
「はい、何でしょうか。」
「その子達が何かを見つけたようです。」
「何か…ですか?」
「ええ。」
「…案内を頼めますか?」
「アル、案内を。」
“は~い。”
アルは返事をして、動き出す。
「アルに付いて行ってください。」
「はい。こちらはお前たちに任せる。」
そう言うと、ハンス隊長と数名の騎士はアルを追いかけて行った。
残りの騎士は囚われている隣国の兵たちに話を聞いて回っている。
“俺は何をすればいいんだ?”
置いて行かれたルーフは、不満そうだ。
“アル達とは別方向を一緒に見に行きましょうか?”
“いいのか?”
“私もやることが無いし、扉から離れても問題ないと思うから、良いわよ。”
“行く。”
サリーナは近くにいる騎士に話しかけ、その旨を伝えた。
「畏まりました。お気をつけて。」
ハンス隊長は捕まっている人達に向かって大声で話す。
これ、皆に聞こえているのかしら?
………あれだ!
「ハンス隊長。」
「サリーナ様、少しお待ち下さい。今は、」
「失礼いたします。」
サリーナはハンス隊長の首に触れた。
「な!何を!?」
ハンス隊長は顔を赤くして狼狽えている。
「そのまま話してください。」
「サリーナ様、お手を……え?」
普通の声で話していたハンス隊長の声は、大声を出すよりも大きな音で周りに響き渡る。
「ハンス隊長、お話を。」
「あ、はい。…コホン。あー、もう一度言う!」
名付けて拡張器魔法。成功ね!
話を終えたハンス隊長は、サリーナに向かって頭を下げた。
「ありがとうございました。」
「勝手にしてしまって申し訳ありませんでした。」
「いいえ。助かりました。このような魔法があるとは知りませんでした。」
「今、思いついたので…。」
「え?!」
「はい?」
「………何でもございません。」
サリーナとハンスの話が途切れたタイミングで、一人の騎士がハンス隊長に話しかけた。
「あの~、隊長。話し中に申し訳ありません。」
「どうした?」
「兵達が動こうとしません。」
「どういうことだ?」
…あ!
「捕縛魔法が解けていませんね。今、解きます。あ、でもザック様の魔法…本人ではないと解除できませんね。」
“パール。捕縛魔法なんだけど…。”
“アイザックくんも、思い出したようよ。報告が終わったらすぐに行くって。”
「-と言う事です。」
「分かりました。その間、周辺を調べたり、この兵たちに話を聞いたりしたいと思います。」
「では、アル~、ルーフ~!」
サリーナが名を呼ぶと、待機していたアルとルーフが姿を表した。
「ハンス隊長の手伝いをお願いできるかしら?」
2匹は頷き、ハンス隊長の側に行く。その時、思い出したようにアルがこちらへ話しかけてきた。
“あ!そうだ!リーナ。何か変なのがあったんだけど。”
“変な物?”
“うん。黒くて大きいの。”
“黒くて大きいもの…”
「ハンス隊長。」
「はい、何でしょうか。」
「その子達が何かを見つけたようです。」
「何か…ですか?」
「ええ。」
「…案内を頼めますか?」
「アル、案内を。」
“は~い。”
アルは返事をして、動き出す。
「アルに付いて行ってください。」
「はい。こちらはお前たちに任せる。」
そう言うと、ハンス隊長と数名の騎士はアルを追いかけて行った。
残りの騎士は囚われている隣国の兵たちに話を聞いて回っている。
“俺は何をすればいいんだ?”
置いて行かれたルーフは、不満そうだ。
“アル達とは別方向を一緒に見に行きましょうか?”
“いいのか?”
“私もやることが無いし、扉から離れても問題ないと思うから、良いわよ。”
“行く。”
サリーナは近くにいる騎士に話しかけ、その旨を伝えた。
「畏まりました。お気をつけて。」
186
あなたにおすすめの小説
死に戻りぽっちゃり双子、悪役お姉様を味方につける。
清澄 セイ
ファンタジー
エトワナ公爵家に生を受けたぽっちゃり双子のケイティベルとルシフォードは、八つ歳の離れた姉・リリアンナのことが大嫌い、というよりも怖くて仕方がなかった。悪役令嬢と言われ、両親からも周囲からも愛情をもらえず、彼女は常にひとりぼっち。溢れんばかりの愛情に包まれて育った双子とは、天と地の差があった。
たった十歳でその生を終えることとなった二人は、死の直前リリアンナが自分達を助けようと命を投げ出した瞬間を目にする。
神の気まぐれにより時を逆行した二人は、今度は姉を好きになり協力して三人で生き残ろうと決意する。
悪役令嬢で嫌われ者のリリアンナを人気者にすべく、愛らしいぽっちゃりボディを武器に、二人で力を合わせて暗躍するのだった。
伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦
未羊
ファンタジー
気が付くとまん丸と太った少女だった?!
痩せたいのに食事を制限しても運動をしても太っていってしまう。
一体私が何をしたというのよーっ!
驚愕の異世界転生、始まり始まり。
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~
eggy
ファンタジー
もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。
村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。
ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。
しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。
まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。
幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。
「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです
もきち
ファンタジー
私は男に肩を抱かれ、真横で婚約破棄を言い渡す瞬間に立ち会っている。
この位置って…もしかして私ってヒロインの位置じゃない?え、やだやだ。だってこの場合のヒロインって最終的にはざまぁされるんでしょうぉぉぉぉぉ
知らない間にヒロインになっていたアリアナ・カビラ
しがない男爵の末娘だったアリアナがなぜ?
転生調理令嬢は諦めることを知らない!
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
追放王子の気ままなクラフト旅
九頭七尾
ファンタジー
前世の記憶を持って生まれたロデス王国の第五王子、セリウス。赤子時代から魔法にのめり込んだ彼は、前世の知識を活かしながら便利な魔道具を次々と作り出していた。しかしそんな彼の存在を脅威に感じた兄の謀略で、僅か十歳のときに王宮から追放されてしまう。「むしろありがたい。世界中をのんびり旅しよう」お陰で自由の身になったセリウスは、様々な魔道具をクラフトしながら気ままな旅を満喫するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる