ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ

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134 黒い物体?

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「そちらの上官は我が国で捕虜とした!これ以上の戦いはせず、帰国するよう!」

ハンス隊長は捕まっている人達に向かって大声で話す。

これ、皆に聞こえているのかしら?

………あれだ!

「ハンス隊長。」
「サリーナ様、少しお待ち下さい。今は、」
「失礼いたします。」

サリーナはハンス隊長の首に触れた。

「な!何を!?」

ハンス隊長は顔を赤くして狼狽えている。

「そのまま話してください。」
「サリーナ様、お手を……え?」

普通の声で話していたハンス隊長の声は、大声を出すよりも大きな音で周りに響き渡る。

「ハンス隊長、お話を。」
「あ、はい。…コホン。あー、もう一度言う!」

名付けて拡張器魔法。成功ね!

話を終えたハンス隊長は、サリーナに向かって頭を下げた。

「ありがとうございました。」
「勝手にしてしまって申し訳ありませんでした。」
「いいえ。助かりました。このような魔法があるとは知りませんでした。」
「今、思いついたので…。」
「え?!」
「はい?」
「………何でもございません。」

サリーナとハンスの話が途切れたタイミングで、一人の騎士がハンス隊長に話しかけた。

「あの~、隊長。話し中に申し訳ありません。」
「どうした?」
「兵達が動こうとしません。」
「どういうことだ?」

…あ!

「捕縛魔法が解けていませんね。今、解きます。あ、でもザック様の魔法…本人ではないと解除できませんね。」

“パール。捕縛魔法なんだけど…。”
“アイザックくんも、思い出したようよ。報告が終わったらすぐに行くって。”

「-と言う事です。」
「分かりました。その間、周辺を調べたり、この兵たちに話を聞いたりしたいと思います。」
「では、アル~、ルーフ~!」

サリーナが名を呼ぶと、待機していたアルとルーフが姿を表した。

「ハンス隊長の手伝いをお願いできるかしら?」

2匹は頷き、ハンス隊長の側に行く。その時、思い出したようにアルがこちらへ話しかけてきた。

“あ!そうだ!リーナ。何か変なのがあったんだけど。”
“変な物?”
“うん。黒くて大きいの。”
“黒くて大きいもの…”

「ハンス隊長。」
「はい、何でしょうか。」
「その子達が何かを見つけたようです。」
「何か…ですか?」
「ええ。」
「…案内を頼めますか?」
「アル、案内を。」

“は~い。”

アルは返事をして、動き出す。

「アルに付いて行ってください。」
「はい。こちらはお前たちに任せる。」

そう言うと、ハンス隊長と数名の騎士はアルを追いかけて行った。
残りの騎士は囚われている隣国の兵たちに話を聞いて回っている。

“俺は何をすればいいんだ?”

置いて行かれたルーフは、不満そうだ。

“アル達とは別方向を一緒に見に行きましょうか?”
“いいのか?”
“私もやることが無いし、扉から離れても問題ないと思うから、良いわよ。”
“行く。”

サリーナは近くにいる騎士に話しかけ、その旨を伝えた。

「畏まりました。お気をつけて。」


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