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137 結婚式

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サリーナとアイザックは、謁見の間から馬車乗り場まで歩いて向かっている。
後ろからはルーフ、アル、パールが付いてきている。そして、パールの横には黒豹もいた。

いつの間に…。
そういえば、黒豹の存在を忘れていたわ。

「リーナ、お疲れ様。」
「はい。…少し疲れたのは確かです。」

あの後、騎士を謁見の間に集めて扉を開いたのだ。

「だから言ったのに…」
「でも、心配なさる程ではありませんよ?こうして歩けますし。」
「歩けなくなってからでは遅いんだが?」
「…はい。」
「本当に………なぁ、リーナ。」
「何ですか?」
「結婚しないか?」
「ん?婚約者ですから、そうなりますよね?」
「そういう事ではなく、近いうちに…。」
「近いうちに?」

アレックス殿下の所にお子の兆しがあるのかしら?

「リーナを離しておくと、何に巻き込まれるか分からないからな。早く俺の元へおいで。」
「あ、え?えーと…。」
「兄上の所の子を待っていられない。」
「良いのですか?」
「結婚は大丈夫だろう。ただ…」
「ただ?」
「…子はまだ先になるが良いか?」
「は、はい。それは、もう。」
「雨も止んだし、落ち着いたら話を進める。良いだろうか?」
「はい。」

サリーナは満面の笑みを浮かべ、それをアイザックは甘い笑みでみつめている。

「やっとなのね!」
「良かったね~。」
「リーナが幸せなら良い。」

パール達も喜ぶが、一匹だけため息をついた。

「はぁ…俺もパールと…」

黒豹だ。

「何?」
「番になってくれ!」
「……………そのうちね。」

!!!

パールの答えに黒豹だけでなく、アイザックとサリーナも驚いた。

「パール、貴方…。」

サリーナがニコニコしながらパールに視線を送ると、パールはそっぽを向いて答える。

「勘違いしないで!今すぐどうこうじゃないわよ!!」
「それでも、未来はあるんだよな?」
「…」
「よっしゃあああ!!!」

黒豹は、嬉しそうに飛び上がった。

何があったのか分からないけど、パールが幸せなら良いわ。

「パール、幸せにね。」
「リーナ!まだよ!」
「そうね、まだね。」


その後、話し合いの末、延期になっていたパトリックの結婚式の3日後に式を上げることとなった。
何故、3日後か…
それは、パトリックの為に集まってくれた方達がそのまま参加するのと、式当日はお酒を飲むので中休み2日とって3日後ならと言うことだった。




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