【R18】キツネ様の日記帳~鬼畜変態野郎と〇〇プレイ~

くったん

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鬼畜変態野郎と首輪の意味①

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 勇者討伐に失敗した。
 作戦を練り直すべく家に帰ろうとしたけど、勇者である男がそれを許さなかった。

「せっかく仲間になったんだ。敵を倒すまで一緒に暮らろうぜ」
「仲間?」
「俺の仲間になるためにここに来たんだろ。まさかそれもウソだとは言わねぇよな」

 鬼畜変態野郎と一緒に暮らすなんて、どう考えても貞操の危機だ。でも敵の動向を見張れるし、すきを見つけて殺れるチャンスも増える。どう考えてもお得だ。

「今日からよろしくお願いします」

 鬼畜変態野郎の家は、1LDKだった。三畳くらいのカウンターキッチンに、十畳ほどのリビングダイニングと六畳ほどの洋室。キツネ様の部屋よりも狭い。特に洋室なんてひどいものだ。セミダブルのベッドとか、ペット用と変わらない。こんなもので寝るなんてどうかしている。でも今日からここが家になるんだし、勇者である男を討伐するためだ。ある程度のことは我慢しようと思う。
 そんなこんなでいきなり一緒に暮らすことになったので、必要なものがいろいろある。すぐに勇者討伐が終わると思ってたから、財布しか持って来てなかった。
 それを買いに行くことになり、耳と尻尾をどうにかこうにか隠して、鬼畜変態野郎と人間が住まう街までやって来た。

「えーっ、見て! いつも使ってるメーカーの新作の化粧水だって! こっちも新作だ!」
「違いが分からん」
「そんなもん私も分からないわよ。使ってみてようやく分かるの。女の子の周期によって肌質を変わるし、一概にコレって言えないの。それが化粧品ってやつなの」
「お好きにドウゾ」
「やった!」

 洋服に下着、シャンプーにコンディショナー、歯ブラシにコップ、化粧品、その他モロモロ。必要なものを必要な分、片っ端から買っていく。もちろん会計は鬼畜変態野郎だ。そこに関しては当然のように財布を出していた。意外と男なのだ。鬼畜で変態だけど。
 無事に買い物も終わり、そろそろ帰ろうとしたら、大量の荷物を抱えた鬼畜変態野郎が何の断りを入れることもなく、とある店に入った。
 ペットショップだ。
 絶対にろくなことにならないから、知らん顔して店の外に居たけど、しびれを切らした鬼畜変態野郎がやって来て、嫌がる私を捕まえ店内へ。
 首輪コーナーに連れて行き、こう言った。

「さっさと選べ」

 さてさて、SMにおける首輪の重大さをご存じだろうか?
 主従関係を明らかにし【支配する側】【支配される側】と意識させるモノ。その他のさまざまな意見もあるだろう。しかし、首輪プレイをするにあたって、絶対に必要なモノは首輪であるが、それよりも大切なモノがある。
 この人に支配されたい、この人になら支配されてもいいという、M側の想いだ。
 従ってもいいと思わせる何かがあるから、服従するわけで、何もないのに服従するわけがない。それでも可っていう人もいるだろうけど、私はそれを望まない。首輪に繋がれる私が望まないのなら、それは強姦と違いないのだ。
 首輪以上に大切なモノなのに、そこに気づけない鬼畜変態野郎は、当然のように私が選ぶのを待っている。選ぶわけがないのに。

「はぁ」

 小さなため息をはいて、その場にしゃがんだ。陳列棚の下の段に、誰が買うんだって疑うレベルのダサい首輪があった。黒と黄色と緑の何かゴチャゴチャした模様が入っている。疑うレベルのセンスの品物が珍しいから、それを手にとってまじまじと見ていた。鬼畜変態野郎が声を掛けてきた。

「それはおまえのセンスってやつを疑うぜ」
「勘違いしないで。こんな趣味の悪い首輪なんか誰が選ぶもんですか」
「どんなのがいいんだよ」
「特にない」
「めんどくせぇな。これにするぜ」

 私から趣味の悪い首輪を取り上げてレジへ向かおうとしたから、こりゃマズイと、こいつの服をつかんで引き止めた。もしあれを買われたら、黒と黄色と緑の何かゴチャゴチャした模様が入っている趣味の悪い首輪がキツネ様の首に付けられるんだ。それは絶対に阻止だ。どうせ付けるんなら、もっとかわいいのがいいに決まっている。

「何だよ」
「それは嫌だ」
「なら、さっさと選べ。あと一分で選ばないと、この趣味の悪い首輪にするぜ」
「一分で!? ええっ、どうしよう!」
「あと五十秒」
「はわわわわ!」

 勝手に始まったカウントダウンに、大慌てて陳列棚を見るけど、これといったモノがない。何かないかと店内を見回すと、キラリと光るモノを発見。小走りで近寄って見ると、シルバーのチェーンだった。チェーンの太さに合わせて自分で留め具をえらべるみたいで、南京錠や鈴などのいろんな種類の留め具が並んでいる。
 これなら首につけてもネックレスに見えるし、あんな趣味の悪い首輪をつけるよりマシ。それにシルバーも安物ではなく、なかなかの質だ。

「よし、これにしよう」

 細めのチェーンに鈴付きの小さな南京錠。ちょっとハードっぽいけど、よくありそうな感じのヤツを選んで、店内の椅子に腰掛けてた鬼畜変態野郎に渡した。

「あはは、おまえって最高にセンスがいいな」

 鬼畜変態野郎が楽しそうに笑った。初めて見た笑顔がかわいくみえて、そう思った自分にビックリしてポカンとしてると、私の頭をワシャワシャとなでて、レジへと向かって行った。

「はっ!」

 自分の失態に気づいてしまった。あれだけ選ばないと言っていた首輪を選んでしまった。
 もしかしてこの流れって首輪をつけられるパターン?
 マジで飼われるってこと?
 何やかんやでプレイが始まって、いろいろあってキツネ様のハジメテが奪われる可能性大?

 そんなの嫌だ。あいつは初対面でお漏らしプレイをする鬼畜変態野郎だ。貫禄があって無駄にかっこいいってことを差し引いても、鬼畜変態野郎だけはどう考えても無理だ。それに、私を飼っていいのは将来なるであろう旦那様だけ。旦那様になる人に貞操をささげたいから、自分を大切にするって決めている。
 しかし鬼畜変態野郎が飼うことになれば、キツネ様の思考を操作して、飼ってもいいって思わせるように仕向けてくる可能性大。お漏らしプレイがいい例だ。

「それだけは絶対に阻止するぞ」

 何がなんでも守り抜いてみせる。お漏らしプレイという変態プレイで尊厳と羞恥心が破壊されても、貞操だけは死んでも守ってやるっ!
 でも、もしも処女を奪われたら、刺し違えても鬼畜変態野郎を殺す。アヘアヘと腰を振ってる時とかスヤスヤと眠ってる時に、グサリとナイフを刺してやる。

「……はっ、それだ!」

 そういう流れを利用して殺せばいいんだ。寝ている時なんて無防備だし、仕返しを兼ねてトイレ中の背後を狙うのもアリ。
 そもそも私は、攻撃魔法を一切使えないからバトルにめっぽう弱い。勇者である男とまともに戦って勝てない自信がある。
 すきを見て殺す。
 か弱いキツネ様が勇者である男を討伐するための唯一の作戦。すきを作らせるためにも、鬼畜変態野郎に飼われた方が動きやすい。偽物の信頼関係を築き上げて、信頼しきった所で、トイレでグサッと一発。
 なんとまぁ、憎き敵ながら笑える最期だ。粗末なものを出したまま天へ召されるがよい。か弱い乙女にお漏らしプレイするからそんな目に遭うんだ。

「よし、殺ってやるぞ!」
「何をやるんだ」

 鬼畜変態野郎に声を掛けられた。

「ううん、別に」
「帰るぜ」

 大量の荷物を抱えたまま店を出て行くので、それについていく。悔しいかな、鬼畜変態野郎は足が長いから歩幅が合わなくて、私だけ早歩き状態だ。

「歩幅くらい女の子に合わせてよ。これじゃ女の子にモテないよ」

 そう助言したら、より早く歩きだした。早歩きから競歩状態になってしまった。

「ねぇ、聞いてる!?」
「ああ」
「いや絶対に聞いてないよね! 何なの、憎き敵は耳が遠いの?」
「憎き敵って誰だ。まさか俺のことじゃねぇだろうな」
「そうだよ、憎き敵はあんたのことだよ」
「今日から俺がおまえの主人だぜ。御主人様と、そう呼べ」

 鬼畜変態野郎が真顔でギャグった。ツボに入って、指さして笑ってやった。

「アハッ、アハハハ! 御主人様って! アハハハハ! バカだ! ここに真面目なバカが居るー!」

 おなかが痛くなるほど面白すぎて、笑いが一向に収まらない。鬼畜変態野郎は、散々笑われてるにも関わらず、相も変わらず真顔で歩いている。だから調子に乗って、笑いが収まるまで笑ってやった。

「ねぇねぇ、ご主人様と呼ばせたい相手から笑われるってどんな気分? それでも俺がご主人様だって思うの? なにその鋼のハート! ウケるんですけど~。アハハハハ!」
「おーい!」

 遠くから声がした。周囲を見渡すと、見るからに優しそうなお兄さんが、こちらに手を振りながら走って来ている。鬼畜変態野郎はそれを見て舌打ちをしていた。

「知り合い?」

 鬼畜変態野郎に聞いたら、めんどくさそうにうなずいていた。

「おまえが魔族だとバレると面倒だ。臨機応変に、話を合わせろよ」
「わかった」

 外面用の笑顔を張り付ける。お兄さんは、「久しぶり」と笑いながら近づいて、鬼畜変態野郎に言った。

「かわいい子を連れてるね。もしかして、彼女?」

 何て言うんだろうと思い、鬼畜変態野郎を見ると、相も変わらず真顔で言った。

「そうだ」

 ありえないウソに私の笑顔がピシャリと固まった。でもここで彼女じゃないって言えば、じゃあ誰だよって、面倒な流れになるかもしれない。どうせもう会うこともない人間だろうし、すごく嫌だけど、ここは話を合わせおこう。

「どうも初めまして。いつも鬼畜……この人がお世話になってます」
「何だよ、彼女がいるんなら教えろよなぁ。こんなかわいい彼女とどこで知り合ったんだよ」
「拾った」
「拾った?」
「拾った」

 おい貴様何を言っていると言わんばかりの視線を送ってると、相も変わらずの真顔でペラペラとウソをつきはじめた。

「主人に痛めつけられていたところを助けてやった。そりゃもうひどかった」

 な?と言わんばかりに、私に視線を寄越してきた。そのせいでお兄さんも私を見てきた。
 なんだこのウソの連鎖。
 でも今さら彼女じゃないって否定しても面倒だし、最後まで話を合わせるしかない。

「そっ、そうなの。ご主人様に凌辱されまくってたの。怖かった。でもこの鬼畜……えっと、あー……、この人が助けてくれて!」
「カワイソウだろ」
「こ、こんなかわいい子に凌辱!? なんと羨まし……最低なヤツだ! 同じ男として絶対に許せない!」

 お兄さんの知り合いである鬼畜変態野郎が一番最低なんだけど。キツネだから理由で尊厳をぶっ壊して、首輪をつけて飼い慣らそうとしてるよ。どうにかしてやりなよ。知り合いでしょ?って言いたいのをグッと堪えて、ウソを信じたお兄さんに向けて手を差し出した。

「よろしくお願いします」
「……手!? えっ、触っていいの!? いいんだよね!?うっしゃー!!」

 私の手に何があるんだって言いたくなるくらい反応が大げさな人だ。でも魔王族であるキツネ様の手に触れることが出来るんだもの、その反応が正解なのだ。

「よっ、よろしく」

 お兄さんはズボンで手を拭いて、私の手に触れようとしてきた。でも握手をする前に、鬼畜変態野郎がわざわざ私とお兄さんの間に入ってきた。

「なっ、何だよ! 握手くらいで!」
「元主人のせいで男にトラウマを持っちまっている。今日は調子が良さそうだが、ある程度慣れるまで男に触らせない方がいいと思ってな」
「おまえはいいのか!?」
「カレシの俺は別だろ。コイツは天涯孤独で、俺が衣食住の面倒をみることになった。つまり俺がご主人様兼カレシだ。ほら、キツネに似てるんだぜ。懐かれて参ったぜ。……そうだろ?」
「えっ!? う、うん! そうなの、この人が新しいご主人様なの!」
「うーん」
「なんだよ」
「おまえの長ったらしい言い訳と棒読みがうさんくさいというか……、……別にいいけど。まっ、うまいことガンバレよ」

 お兄さんの読み当たってるって笑ってやりたい気持ちをにっこり笑顔に代えて、お兄さんと別れた。



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