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鬼畜変態野郎とお漏らしプレイ②
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純潔を守るための戦いが開始されて何時間くらいたったのだろう。バスルームに時計がないから時間は分からないけど、結構な時間がたったと身をもって実感している。けっこう前からトイレに行きたいのを我慢してるからだ。
最初は我慢出来ていた尿意も、放水寸前のダムと化している。立ってるのも苦痛で、でも座ってしまったら、トイレの便座に座るっていう行為と連動してチョビ漏れしそう。
限界寸前の尿意をどうしたらいいのか分からなくて、バスタブの中で膝立ちをし、股間を押さえながら額を壁に打ち付けている。
「大丈夫かよ」
「やかましいわよ! 誰のせいだと思ってんのよ、この鬼畜変態野郎!」
こんなことなら、この家を訪問する前にトイレに行っとばよかった。朝ご飯で出てきた牛乳とオレンジジュースをいっぱい飲むんじゃなかった。アレを我慢してたなら、膀胱にゆとりがあったかもしれないのに。
そもそも、ここまで我慢する事になったのは鬼畜変態野郎のせいだ。純潔を守るための戦いを一時的に中断してくれって、トイレ行きたいって頼んだのに、却下されたのだ。
「どうせそれもウソだろ」
「違うの! これは本当なの! マジでトイレに行きたいの!」
泣きながら訴えたけど、鬼畜変態野郎が首を縦に振ることはなかった。むしろ状況がひどくなった。
「そこでしろよ」
鬼畜変態野郎が指さした場所は、バスルームの排水口。そして追撃の一言。
「漏らすか、自分の意思でやるか。敵の魔族であるおまえはどっちを選ぶんだろうな」
とんでもない変態的取引だった。漏らせば敵認定、自分の意思で排水口で放尿すれば味方認定、ということだと思う。女の子にとって悲惨な状況をここぞとばかりに使い、最低で最悪なことを、平然とした態度で言ってのけた。
魔族よりも魔族してるぞ、この鬼畜変態野郎。
「そこにしびれもしないし、憧れもしないんだから! しびれるのは膀胱だけで十分よ!」
「あっそ」
こんな感じで、純潔を守るための戦いの内容が変更されて、生きたければ裸になり排水口に放尿という流れになってしまった。生きるためとはいえ、数年前から親にですら見せていない裸を、何で初対面の鬼畜変態野郎に見せなければならないのだ。変態に見せるために成長してきたわけじゃないし、放尿を見せる変態的趣味もない。だったら鬼畜変態野郎が折れるまで我慢してやる。
「あんたもトイレを我慢してるんでしょ!?」
「まぁな」
「我慢比べだああ! あんたがトイレを訴えたらキツネ様の勝ちってことでトイレに行かせてもらうぜええ!」
「どうぞお好きに」
希望の光が見えたってことで歯を食い縛り、冷や汗を流し、恥ずかしいが股間を押さえ、あそこにギュウっと力を入れて、一生懸命我慢した。
「……ハァ……ハァ……ハァ……」
バスルームに自分の荒い息が響く。股間を押さえても、もう何の効力も感じない。今にも出そう。すぐに出そう。
「……たすっ……けて……」
拳を作って壁を殴った。もはや力を込めて殴ることが出来なくなっていた。ズルズルとその場に座り込む。ひんやりとしたバスタブがあそこに触れて、チョビ漏れして涙が出た。
何でこんなことになったんだろ。
世界を混沌に導く勇者をぶっ殺すためにここまで来たのに、何で全裸と尿意とバトルをしてるんだろ。
どこでどう間違えたんだろ。
勇者を殺そうとしたから?
でも勇者ってよりも、魔族よりも魔族している鬼畜変態野郎なんだぞ。生き物として最低で最悪なやつなんだぞ。乙女の純潔とトイレ事情に首を突っ込み、それを使って最低で最悪なことをしてくるやつなんだ。殺されたって当然だ。
「……ふええ……もれちゃうぅ……」
今にも尿意に負けそうで涙がボロボロとあふれていく。水分が出ているのだから、これで尿意が引っ込んでくれたらいいのに、相も変わらず尿意はそこにある。
「服を脱げば、その苦しみから解放されるぜ」
「……かいほう……」
正直に言うと、純潔を守るとか、排水口で放尿とか、もうどうでもいいって思うほどの尿意が私の心をむしばんでいる。
いっそのこと裸になっておしっこをしようか。そうすれば、泣くほどの苦しみから解放される。しかも生きられるし、仲間と認めてくれるという特典付き。
一時の恥を我慢すればイイコトだらけ。
おしっこ出してスッキリしたい。
これ以上の我慢なんて絶対に無理だ。
このままじゃ絶対に、チョビ漏れじゃなくてガッツリ出しちゃう。そして敵認定されてお漏らししたままナイフでグサリグサリ。キツネ様はお漏らしして死んだらしいぜって、世界中にうわさされるんだ。死んだあとも笑われるんだ。そんなの嫌だ。
お漏らしか、自分の意志で放尿か。
「……う……うう……ううっ!」
泣きながら服に手をかけた。諦めたらダメだった。急いで服を脱いでいく。その様子を鬼畜変態野郎が見てるけど、その視線すら気にならないほど、もう限界だった。
裸になると肌寒さが襲ってきた。ブルルッと震える寒さに、おしっこが出そうになって、思わずおなかを押さえてうずくまった。まだ心から諦めていない証拠だ。こんなにも出したいのに、最後の最後で……。
「立てるか?」
「むりっ、やだっ」
「やれやれ、手伝ってやるか」
鬼畜変態野郎はあきれたように言うと、私の体を抱き上げてきた。そしてバスルームから出て違う扉を開けた。
トイレだ。
念願のトイレを目にして膀胱が泣き叫ぶ。鬼畜変態野郎は今にもおしっこが出そうな私を便座に座らせた。
息を荒らげて堪らず泣いてしまうほどの尿意を我慢した。それがやっと、この苦しみから解放される。心置きなく安心してトイレで出来る。
そう思ってたのに!
「おっと、待ちな」
鬼畜変態野郎はトイレから出て行かず、目の前にしゃがんできた。これ以上は止めてくれと、泣きながら首を横に振っても出て行かない。むしろ腰をガシッとつかんで、親指で膀胱を押してきた。
「……やだ、……おしちゃ……だめ! もれちゃう!」
「ちょいと聞きたいことがあってな。それに答えてくれたら出て行ってやる」
「なにっ」
「俺の情報をどこで手に入れた」
今にも漏れそうなのに、膀胱を刺激されたら、出る以外の選択肢がないわけで。でも、人前でおしっこなんかしたくないから、あと少しだからまだダメだと、我慢を重ねた。
「パパの側近が教えてくれたの! 勇者がこのアパートにいるって! 今なら仲間も居ないから簡単に殺せるって!」
「本当か?」
「本当です! だからお願いします! 出て行って! もう無理なの!」
「まだ聞きたいことがある」
鬼畜変態野郎が耳やら尻尾を触り始めた。ゾワッてきたせいで数滴漏れた。見られてなくてよかったと思ったけど、数滴でも出るともうダメだった。
「耳と尻尾、ホンモノなのか?」
「……でちゃ……う……」
「おまえのような魔族を見たことがないのでな、……気になった」
「……もうっ! なにがっ、ききたいのっ」
「ホンモノの魔族か?」
「本物よ! キツネのハーフアニマルで魔族なの!」
「ハーフアニマルが存在するとは……この世は知らないことだらけだぜ。キツネか。目も黄金色でキレイだな」
「……なんなの、……何がききたいのっ、……はやく……おわらせてよっ」
「あーそうそう、俺の仲間になりたいらしいが、人間として扱うべきか、キツネとして扱うべきか、そこんとこで悩んでるんだよ」
「そんなの知らないの! あんたの好きにしていいから早く出て行ってよ!」
「ほーう、俺の好きにしていいのか」
それ以上の追求はないらしく、腰をつかんでいた手がパッと離れた。その瞬間、ダムが決壊したみたいに、おしっこが押し寄せてきた。ブルブルブルッと小刻みに震える。我慢に我慢を重ねたんだ。塞き止める術はもう残されてないから、ジョロロロっと出てしまった。
今まで我慢してたおしっこが音を立てながら勢いよく出ていく。
「……ふわああ……」
恥ずかしさよりも解放感でいっぱいだった。泣いてしまうほどの苦痛が、すうっと流れ出ていく。それがたまらなく心地良く、身震いしてしまった。
「あんだけ嫌がって泣いてた割に、気持ち良さそうにしてるじゃねーか」
そして次に襲ってくるのは、人前でおしっこをしてしまったという、現実。鬼畜変態野郎の前で、裸で、全部見られてるのに、止まらないなんて!
「……みるな! みるなぁ!」
恥ずかしくて、悔しくて、また涙が出てきた。自分の手で何度も拭っても、ボロボロと流れて止まらない。
「……すまない、言い過ぎた。……よく我慢したと思うよ。……おまえを仲間だと信じる。……イイコだ、よしよし」
大きな手が両頬を包み込んだ。両方の親指で優しく目元を拭って、本当に申し訳なさそうな表情で謝ってきた。
おしっこを漏らしたのに、汚いって言われなかった。笑わなかった。一生懸命我慢したことを褒めてくれた。仲間だと認めてくれた。
何でだろう、敵なのに、その優しい指と言葉にちょっぴり救われて、心がじんわりと熱くなった。
「トイレも我慢出来ねぇキツネの世話か。育てがいがありそうだぜ」
しかしそれは幻だ。幻なんだ。ほんの少しでも熱くなった心と尊厳と羞恥心を利子付きで返してほしい。
「育てる!? 初っぱなから私の尊厳と羞恥心をぶっ壊してんじゃん! 女の子に何てことをするのよ!」
「人間として扱うべきか、キツネとして扱うべきか、好きにしていいって言ったのはおまえだろ。だから俺はおまえをキツネとして扱うように決めた。まっ、最初からキツネとして扱おうと思っていたが、これで同意の上だな」
「最初から……?」
聞き流せない言葉を拾ってしまい、まじまじと鬼畜変態野郎を見れば真実を教えてくれた。
「土下座した辺りから面白そうなキツネがやって来たなと、暇だし遊んでやろうと捕獲……あー言い方が悪かったな。おまえを仲間にしてやったぜ」
何かもうツッコミどころがありすぎて処理が追い付かないけど、鬼畜変態野郎はキツネの捕獲をしようと最初から動いてたということ?
どれもこれも鬼畜変態野郎の思惑通りだったの?
まんまと罠にはまったキツネ様は、全裸で放尿したってこと?
乙女の心を何だと思ってやがる!
「だからってこれはないでしょうよ! キツネでも人間寄りなの! ハーフアニマルにも尊厳と羞恥心くらいあるの!」
「ただのペットがトイレごときでガタガタうるせぇんだよ」
「はああ!? この真性の鬼畜変態野郎! 私の尊厳と羞恥心を返してよ!」
「変態はおまえだろ。キツネの分際で生意気を言うんじゃねえ。またお漏らしプレイされてぇのか」
「……今のが……プレイ!?」
「ろくな反抗もせずに我慢を選ぶなんて思いもしなかったぜ。気持ち良さそうに我慢して漏らしやがって。……さてはおまえ、ドMだろ?」
「反抗したじゃん! でもあんたが漏らせば殺すって、全裸で放尿しない限り、生きて帰さないって! そういう取引したじゃん!」
「俺が言ったのか? 一言でも、それを」
鬼畜変態野郎に出会ったあとからの行動を振り返ってみたけど、そういうことを言われた記憶がなかった。
鬼畜変態野郎の態度をみて、私が勝手にそうだと思い込んでいただけ。私の勘違いがこうさせた。鬼畜変態野郎は、それを分かった上で泳がせて遊んでいたのだ。
「だから言っただろ。おまえアホだろってな」
「おまえは私の憎き敵だあああ! 絶対にぶっ殺してやるううう!」
「ハイハイ、ガンバレ」
ーーーーーー
◯月◯日
今日は勇者である男を討伐するために人間の世界にやって来ました。
勇者である男の住むアパートまで来ましたが、あえなく御用。自分のついたウソが連鎖しまくって自爆しました。そして、どえらいプレイをしました。
羞恥心が粉々にされちゃいました。尊厳ってモノが半分くらい減りました。でもまだ半分もあるから大丈夫だよね!
お漏らしプレイ
冷静に考えるとけっこうすごいですね。嫌でも正直になります。何でも話してしまいます。しかも最後のトドメが膀胱押しで、そこでようやく本題に入るという。あんな状況で質問を並べられても冷静でいるはすがないのに。きっとそこを狙ってやったんでしょう。魔族よりも魔族している、鬼畜変態野郎の手法でした。
敵ながら天晴れ!! 大義であった!!
でも、我慢に我慢に我慢を重ねて、もう本当にダメだって、尊厳すらも考えなくなった所で、スゥーッと解放された時の、あのゾクゾクとした喜びは、かなり気持ちが良かったです。幸せを感じる程でした。ちょっと意識して日常的におしっこ我慢しちゃいそうです。
認めたくないけど、私ってドMなのかもしれません。
最初は我慢出来ていた尿意も、放水寸前のダムと化している。立ってるのも苦痛で、でも座ってしまったら、トイレの便座に座るっていう行為と連動してチョビ漏れしそう。
限界寸前の尿意をどうしたらいいのか分からなくて、バスタブの中で膝立ちをし、股間を押さえながら額を壁に打ち付けている。
「大丈夫かよ」
「やかましいわよ! 誰のせいだと思ってんのよ、この鬼畜変態野郎!」
こんなことなら、この家を訪問する前にトイレに行っとばよかった。朝ご飯で出てきた牛乳とオレンジジュースをいっぱい飲むんじゃなかった。アレを我慢してたなら、膀胱にゆとりがあったかもしれないのに。
そもそも、ここまで我慢する事になったのは鬼畜変態野郎のせいだ。純潔を守るための戦いを一時的に中断してくれって、トイレ行きたいって頼んだのに、却下されたのだ。
「どうせそれもウソだろ」
「違うの! これは本当なの! マジでトイレに行きたいの!」
泣きながら訴えたけど、鬼畜変態野郎が首を縦に振ることはなかった。むしろ状況がひどくなった。
「そこでしろよ」
鬼畜変態野郎が指さした場所は、バスルームの排水口。そして追撃の一言。
「漏らすか、自分の意思でやるか。敵の魔族であるおまえはどっちを選ぶんだろうな」
とんでもない変態的取引だった。漏らせば敵認定、自分の意思で排水口で放尿すれば味方認定、ということだと思う。女の子にとって悲惨な状況をここぞとばかりに使い、最低で最悪なことを、平然とした態度で言ってのけた。
魔族よりも魔族してるぞ、この鬼畜変態野郎。
「そこにしびれもしないし、憧れもしないんだから! しびれるのは膀胱だけで十分よ!」
「あっそ」
こんな感じで、純潔を守るための戦いの内容が変更されて、生きたければ裸になり排水口に放尿という流れになってしまった。生きるためとはいえ、数年前から親にですら見せていない裸を、何で初対面の鬼畜変態野郎に見せなければならないのだ。変態に見せるために成長してきたわけじゃないし、放尿を見せる変態的趣味もない。だったら鬼畜変態野郎が折れるまで我慢してやる。
「あんたもトイレを我慢してるんでしょ!?」
「まぁな」
「我慢比べだああ! あんたがトイレを訴えたらキツネ様の勝ちってことでトイレに行かせてもらうぜええ!」
「どうぞお好きに」
希望の光が見えたってことで歯を食い縛り、冷や汗を流し、恥ずかしいが股間を押さえ、あそこにギュウっと力を入れて、一生懸命我慢した。
「……ハァ……ハァ……ハァ……」
バスルームに自分の荒い息が響く。股間を押さえても、もう何の効力も感じない。今にも出そう。すぐに出そう。
「……たすっ……けて……」
拳を作って壁を殴った。もはや力を込めて殴ることが出来なくなっていた。ズルズルとその場に座り込む。ひんやりとしたバスタブがあそこに触れて、チョビ漏れして涙が出た。
何でこんなことになったんだろ。
世界を混沌に導く勇者をぶっ殺すためにここまで来たのに、何で全裸と尿意とバトルをしてるんだろ。
どこでどう間違えたんだろ。
勇者を殺そうとしたから?
でも勇者ってよりも、魔族よりも魔族している鬼畜変態野郎なんだぞ。生き物として最低で最悪なやつなんだぞ。乙女の純潔とトイレ事情に首を突っ込み、それを使って最低で最悪なことをしてくるやつなんだ。殺されたって当然だ。
「……ふええ……もれちゃうぅ……」
今にも尿意に負けそうで涙がボロボロとあふれていく。水分が出ているのだから、これで尿意が引っ込んでくれたらいいのに、相も変わらず尿意はそこにある。
「服を脱げば、その苦しみから解放されるぜ」
「……かいほう……」
正直に言うと、純潔を守るとか、排水口で放尿とか、もうどうでもいいって思うほどの尿意が私の心をむしばんでいる。
いっそのこと裸になっておしっこをしようか。そうすれば、泣くほどの苦しみから解放される。しかも生きられるし、仲間と認めてくれるという特典付き。
一時の恥を我慢すればイイコトだらけ。
おしっこ出してスッキリしたい。
これ以上の我慢なんて絶対に無理だ。
このままじゃ絶対に、チョビ漏れじゃなくてガッツリ出しちゃう。そして敵認定されてお漏らししたままナイフでグサリグサリ。キツネ様はお漏らしして死んだらしいぜって、世界中にうわさされるんだ。死んだあとも笑われるんだ。そんなの嫌だ。
お漏らしか、自分の意志で放尿か。
「……う……うう……ううっ!」
泣きながら服に手をかけた。諦めたらダメだった。急いで服を脱いでいく。その様子を鬼畜変態野郎が見てるけど、その視線すら気にならないほど、もう限界だった。
裸になると肌寒さが襲ってきた。ブルルッと震える寒さに、おしっこが出そうになって、思わずおなかを押さえてうずくまった。まだ心から諦めていない証拠だ。こんなにも出したいのに、最後の最後で……。
「立てるか?」
「むりっ、やだっ」
「やれやれ、手伝ってやるか」
鬼畜変態野郎はあきれたように言うと、私の体を抱き上げてきた。そしてバスルームから出て違う扉を開けた。
トイレだ。
念願のトイレを目にして膀胱が泣き叫ぶ。鬼畜変態野郎は今にもおしっこが出そうな私を便座に座らせた。
息を荒らげて堪らず泣いてしまうほどの尿意を我慢した。それがやっと、この苦しみから解放される。心置きなく安心してトイレで出来る。
そう思ってたのに!
「おっと、待ちな」
鬼畜変態野郎はトイレから出て行かず、目の前にしゃがんできた。これ以上は止めてくれと、泣きながら首を横に振っても出て行かない。むしろ腰をガシッとつかんで、親指で膀胱を押してきた。
「……やだ、……おしちゃ……だめ! もれちゃう!」
「ちょいと聞きたいことがあってな。それに答えてくれたら出て行ってやる」
「なにっ」
「俺の情報をどこで手に入れた」
今にも漏れそうなのに、膀胱を刺激されたら、出る以外の選択肢がないわけで。でも、人前でおしっこなんかしたくないから、あと少しだからまだダメだと、我慢を重ねた。
「パパの側近が教えてくれたの! 勇者がこのアパートにいるって! 今なら仲間も居ないから簡単に殺せるって!」
「本当か?」
「本当です! だからお願いします! 出て行って! もう無理なの!」
「まだ聞きたいことがある」
鬼畜変態野郎が耳やら尻尾を触り始めた。ゾワッてきたせいで数滴漏れた。見られてなくてよかったと思ったけど、数滴でも出るともうダメだった。
「耳と尻尾、ホンモノなのか?」
「……でちゃ……う……」
「おまえのような魔族を見たことがないのでな、……気になった」
「……もうっ! なにがっ、ききたいのっ」
「ホンモノの魔族か?」
「本物よ! キツネのハーフアニマルで魔族なの!」
「ハーフアニマルが存在するとは……この世は知らないことだらけだぜ。キツネか。目も黄金色でキレイだな」
「……なんなの、……何がききたいのっ、……はやく……おわらせてよっ」
「あーそうそう、俺の仲間になりたいらしいが、人間として扱うべきか、キツネとして扱うべきか、そこんとこで悩んでるんだよ」
「そんなの知らないの! あんたの好きにしていいから早く出て行ってよ!」
「ほーう、俺の好きにしていいのか」
それ以上の追求はないらしく、腰をつかんでいた手がパッと離れた。その瞬間、ダムが決壊したみたいに、おしっこが押し寄せてきた。ブルブルブルッと小刻みに震える。我慢に我慢を重ねたんだ。塞き止める術はもう残されてないから、ジョロロロっと出てしまった。
今まで我慢してたおしっこが音を立てながら勢いよく出ていく。
「……ふわああ……」
恥ずかしさよりも解放感でいっぱいだった。泣いてしまうほどの苦痛が、すうっと流れ出ていく。それがたまらなく心地良く、身震いしてしまった。
「あんだけ嫌がって泣いてた割に、気持ち良さそうにしてるじゃねーか」
そして次に襲ってくるのは、人前でおしっこをしてしまったという、現実。鬼畜変態野郎の前で、裸で、全部見られてるのに、止まらないなんて!
「……みるな! みるなぁ!」
恥ずかしくて、悔しくて、また涙が出てきた。自分の手で何度も拭っても、ボロボロと流れて止まらない。
「……すまない、言い過ぎた。……よく我慢したと思うよ。……おまえを仲間だと信じる。……イイコだ、よしよし」
大きな手が両頬を包み込んだ。両方の親指で優しく目元を拭って、本当に申し訳なさそうな表情で謝ってきた。
おしっこを漏らしたのに、汚いって言われなかった。笑わなかった。一生懸命我慢したことを褒めてくれた。仲間だと認めてくれた。
何でだろう、敵なのに、その優しい指と言葉にちょっぴり救われて、心がじんわりと熱くなった。
「トイレも我慢出来ねぇキツネの世話か。育てがいがありそうだぜ」
しかしそれは幻だ。幻なんだ。ほんの少しでも熱くなった心と尊厳と羞恥心を利子付きで返してほしい。
「育てる!? 初っぱなから私の尊厳と羞恥心をぶっ壊してんじゃん! 女の子に何てことをするのよ!」
「人間として扱うべきか、キツネとして扱うべきか、好きにしていいって言ったのはおまえだろ。だから俺はおまえをキツネとして扱うように決めた。まっ、最初からキツネとして扱おうと思っていたが、これで同意の上だな」
「最初から……?」
聞き流せない言葉を拾ってしまい、まじまじと鬼畜変態野郎を見れば真実を教えてくれた。
「土下座した辺りから面白そうなキツネがやって来たなと、暇だし遊んでやろうと捕獲……あー言い方が悪かったな。おまえを仲間にしてやったぜ」
何かもうツッコミどころがありすぎて処理が追い付かないけど、鬼畜変態野郎はキツネの捕獲をしようと最初から動いてたということ?
どれもこれも鬼畜変態野郎の思惑通りだったの?
まんまと罠にはまったキツネ様は、全裸で放尿したってこと?
乙女の心を何だと思ってやがる!
「だからってこれはないでしょうよ! キツネでも人間寄りなの! ハーフアニマルにも尊厳と羞恥心くらいあるの!」
「ただのペットがトイレごときでガタガタうるせぇんだよ」
「はああ!? この真性の鬼畜変態野郎! 私の尊厳と羞恥心を返してよ!」
「変態はおまえだろ。キツネの分際で生意気を言うんじゃねえ。またお漏らしプレイされてぇのか」
「……今のが……プレイ!?」
「ろくな反抗もせずに我慢を選ぶなんて思いもしなかったぜ。気持ち良さそうに我慢して漏らしやがって。……さてはおまえ、ドMだろ?」
「反抗したじゃん! でもあんたが漏らせば殺すって、全裸で放尿しない限り、生きて帰さないって! そういう取引したじゃん!」
「俺が言ったのか? 一言でも、それを」
鬼畜変態野郎に出会ったあとからの行動を振り返ってみたけど、そういうことを言われた記憶がなかった。
鬼畜変態野郎の態度をみて、私が勝手にそうだと思い込んでいただけ。私の勘違いがこうさせた。鬼畜変態野郎は、それを分かった上で泳がせて遊んでいたのだ。
「だから言っただろ。おまえアホだろってな」
「おまえは私の憎き敵だあああ! 絶対にぶっ殺してやるううう!」
「ハイハイ、ガンバレ」
ーーーーーー
◯月◯日
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勇者である男の住むアパートまで来ましたが、あえなく御用。自分のついたウソが連鎖しまくって自爆しました。そして、どえらいプレイをしました。
羞恥心が粉々にされちゃいました。尊厳ってモノが半分くらい減りました。でもまだ半分もあるから大丈夫だよね!
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敵ながら天晴れ!! 大義であった!!
でも、我慢に我慢に我慢を重ねて、もう本当にダメだって、尊厳すらも考えなくなった所で、スゥーッと解放された時の、あのゾクゾクとした喜びは、かなり気持ちが良かったです。幸せを感じる程でした。ちょっと意識して日常的におしっこ我慢しちゃいそうです。
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