32 / 55
2章 呪いの首輪と呪いのおパンツ
呪いの不思議⑦
しおりを挟む
列車は目的地へ向けて出発。無事に席を取りジョニーと合流。変なおっさんに絡まれたことをジョニーに話した。
「完璧、不審者だね。そういうときはシカトでいいよ。良くやったね。えらいえらい」
飼い主の許可を貰ったことだし、今度からもそうしようと心に決めた。
「つーか、ネコ信者が何でこんなところに居たのか疑問だよな」
「フードは取ってないんでしょ?」
「取ってないよ。ネコの匂いがするとか言ってた」
「ただの変態なんじゃないの」
「本能的にネコが分かんのかよ。ガチモンの変態だな」
「リビアと同種だね」
「……あのぉ、ジョニーさん。もしかしなくてもまだ怒ってる……?」
「別に」
「怒ってんじゃんかよ!」
「ぼくのネコと間接キスした上に細菌呼ばわりされたどっかの誰かさんにいちいち怒るわけないじゃん」
「……見てた……?」
「あんなにおっきな声で騒いでたのに、何で見られてないと思ってたの?」
「……へへへ」
「うんめいぶんきぃ~」
「ほんともうマジですんませんでした!」
しかし何でネコってバレたんだろう。フードを脱いで姿を見られたのならネコるのも分かるけど、特に何もしてないのに。やっぱり私の記憶に関係する人物の可能性があるのかも。だったらなおさら、もう会いたくない。
これを、開けたくない。
「しかしネコの呪いだよね、ここまで来ると。ネコが呪われてるのか、ネコを呪っているのか知らないけどさ。何で誰も彼もネコ大好きニャンスキーになるんだろ。不思議だよね」
そう言うと、取っ組み合いをしていた二人は目を合わせ、何かすごく複雑そうな表情を浮かべて座り直した。
「まぁ、それに関して一つの考察があるっちゃーある」
「ぼく達の想像みたいなもんなんだけどね」
「何?」
「【呪いの首輪】は願い事を叶える首輪だろ。だからさ、お前が願ったんじゃねぇのかって」
どういうことか分からず首を傾げると、ジョニーが首輪を触りながら説明してくれた。
「これはハルの首輪だよ。きみの願いは何だったんだろうね。もし仮に【愛されたい】と願ったのなら……」
「……!!?」
「そう、ネコ大好きニャンスキーの出来上がりってわけ」
「あくまで俺たちの想像な。まっ、その首輪は外して俺たちが貰うから、お前の願い事はここまでっつーわけだけど」
「ん?これ付けてないとダメなの?」
「付けっぱなしで願いの効果が続くって本に書いてあったぞ」
「ふーん、そうなんだね」
【呪いのおパンツ】はあげるって言ったけど【呪いの首輪】をあげるとか言ってないのに、そんな流れになってる。要らないから別にいいけど。
でも、二人の想像はどうなんだろう。もっと他の想像もあると思うのに。
「何で私が願った前提なの?」
「へ?」
「え?」
「だってわかんないじゃん。誰かの願いを私が代弁したかもしれないよ」
二人は顔を見合わせたあと私を見て、なぜかお腹を抱えて笑いだした。
「あははは!何で願い事が叶う物を前にして他人の願いを叶えてやってんだよ!バカかよ、お前!」
「あははは!きみのひねくれたワガママな性格を考えてみてよ!そんなこと地球がひっくり返ってもあり得ないよ!」
とんでもなく失礼だが、こいつらが言わんことも分かるから何も言えない。だって私なら【楽して一生暮らしたい】とか【豪遊三昧の人生が送れるほどの金持ちになりたい】とか願うはずだもの。他人のために願いを叶えるなんてあり得ない。
「とにかくさ、ネコの呪いも気になるけどさ、今は【呪いの首輪】が本物かどうか、そこが重要だろ」
リビアの言うことに頷いた。
「そうだね。本物だったらどうするの?だってこれ外れないよ」
「そんときはギュスリーで一番の骨董屋に行こうと思ってる」
「最初っから行けば良くない?」
「何事も順序ってのがあんの。ほれ、菓子でも食ってろ」
渡された紙袋にはたくさんのお菓子が入っている。何か誤魔化された気もするけど、聞いたって答えてくれなさそうだ。
それから何時間も列車に揺られ続けた。
特に話すこともないから、本を読んだり、お絵かきしたり、昼寝をしたり、それぞれが好きに過ごす。
途中で運転手さん達のチップの荒稼ぎが始まったけど、今回は金持ちの上客が乗っていたらしく、すぐに動き始めた。
何事もなく列車は進んでいく。
「人生とは大違い」
窓の外、何もない原っぱだけの景色を見ながら呟いた。
「完璧、不審者だね。そういうときはシカトでいいよ。良くやったね。えらいえらい」
飼い主の許可を貰ったことだし、今度からもそうしようと心に決めた。
「つーか、ネコ信者が何でこんなところに居たのか疑問だよな」
「フードは取ってないんでしょ?」
「取ってないよ。ネコの匂いがするとか言ってた」
「ただの変態なんじゃないの」
「本能的にネコが分かんのかよ。ガチモンの変態だな」
「リビアと同種だね」
「……あのぉ、ジョニーさん。もしかしなくてもまだ怒ってる……?」
「別に」
「怒ってんじゃんかよ!」
「ぼくのネコと間接キスした上に細菌呼ばわりされたどっかの誰かさんにいちいち怒るわけないじゃん」
「……見てた……?」
「あんなにおっきな声で騒いでたのに、何で見られてないと思ってたの?」
「……へへへ」
「うんめいぶんきぃ~」
「ほんともうマジですんませんでした!」
しかし何でネコってバレたんだろう。フードを脱いで姿を見られたのならネコるのも分かるけど、特に何もしてないのに。やっぱり私の記憶に関係する人物の可能性があるのかも。だったらなおさら、もう会いたくない。
これを、開けたくない。
「しかしネコの呪いだよね、ここまで来ると。ネコが呪われてるのか、ネコを呪っているのか知らないけどさ。何で誰も彼もネコ大好きニャンスキーになるんだろ。不思議だよね」
そう言うと、取っ組み合いをしていた二人は目を合わせ、何かすごく複雑そうな表情を浮かべて座り直した。
「まぁ、それに関して一つの考察があるっちゃーある」
「ぼく達の想像みたいなもんなんだけどね」
「何?」
「【呪いの首輪】は願い事を叶える首輪だろ。だからさ、お前が願ったんじゃねぇのかって」
どういうことか分からず首を傾げると、ジョニーが首輪を触りながら説明してくれた。
「これはハルの首輪だよ。きみの願いは何だったんだろうね。もし仮に【愛されたい】と願ったのなら……」
「……!!?」
「そう、ネコ大好きニャンスキーの出来上がりってわけ」
「あくまで俺たちの想像な。まっ、その首輪は外して俺たちが貰うから、お前の願い事はここまでっつーわけだけど」
「ん?これ付けてないとダメなの?」
「付けっぱなしで願いの効果が続くって本に書いてあったぞ」
「ふーん、そうなんだね」
【呪いのおパンツ】はあげるって言ったけど【呪いの首輪】をあげるとか言ってないのに、そんな流れになってる。要らないから別にいいけど。
でも、二人の想像はどうなんだろう。もっと他の想像もあると思うのに。
「何で私が願った前提なの?」
「へ?」
「え?」
「だってわかんないじゃん。誰かの願いを私が代弁したかもしれないよ」
二人は顔を見合わせたあと私を見て、なぜかお腹を抱えて笑いだした。
「あははは!何で願い事が叶う物を前にして他人の願いを叶えてやってんだよ!バカかよ、お前!」
「あははは!きみのひねくれたワガママな性格を考えてみてよ!そんなこと地球がひっくり返ってもあり得ないよ!」
とんでもなく失礼だが、こいつらが言わんことも分かるから何も言えない。だって私なら【楽して一生暮らしたい】とか【豪遊三昧の人生が送れるほどの金持ちになりたい】とか願うはずだもの。他人のために願いを叶えるなんてあり得ない。
「とにかくさ、ネコの呪いも気になるけどさ、今は【呪いの首輪】が本物かどうか、そこが重要だろ」
リビアの言うことに頷いた。
「そうだね。本物だったらどうするの?だってこれ外れないよ」
「そんときはギュスリーで一番の骨董屋に行こうと思ってる」
「最初っから行けば良くない?」
「何事も順序ってのがあんの。ほれ、菓子でも食ってろ」
渡された紙袋にはたくさんのお菓子が入っている。何か誤魔化された気もするけど、聞いたって答えてくれなさそうだ。
それから何時間も列車に揺られ続けた。
特に話すこともないから、本を読んだり、お絵かきしたり、昼寝をしたり、それぞれが好きに過ごす。
途中で運転手さん達のチップの荒稼ぎが始まったけど、今回は金持ちの上客が乗っていたらしく、すぐに動き始めた。
何事もなく列車は進んでいく。
「人生とは大違い」
窓の外、何もない原っぱだけの景色を見ながら呟いた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです
沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる