目が覚めたら【呪いの首輪】と【呪いのおパンツ】をつけられていたけど、これをやった犯人は誰ですか?

くったん

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2章 呪いの首輪と呪いのおパンツ

呪いの不思議⑦

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列車は目的地へ向けて出発。無事に席を取りジョニーと合流。変なおっさんに絡まれたことをジョニーに話した。

「完璧、不審者だね。そういうときはシカトでいいよ。良くやったね。えらいえらい」

飼い主の許可を貰ったことだし、今度からもそうしようと心に決めた。

「つーか、ネコ信者が何でこんなところに居たのか疑問だよな」
「フードは取ってないんでしょ?」
「取ってないよ。ネコの匂いがするとか言ってた」
「ただの変態なんじゃないの」
「本能的にネコが分かんのかよ。ガチモンの変態だな」
「リビアと同種だね」
「……あのぉ、ジョニーさん。もしかしなくてもまだ怒ってる……?」
「別に」
「怒ってんじゃんかよ!」
「ぼくのネコと間接キスした上に細菌呼ばわりされたどっかの誰かさんにいちいち怒るわけないじゃん」
「……見てた……?」
「あんなにおっきな声で騒いでたのに、何で見られてないと思ってたの?」
「……へへへ」
「うんめいぶんきぃ~」
「ほんともうマジですんませんでした!」

しかし何でネコってバレたんだろう。フードを脱いで姿を見られたのならネコるのも分かるけど、特に何もしてないのに。やっぱり私の記憶に関係する人物の可能性があるのかも。だったらなおさら、もう会いたくない。

これを、開けたくない。

「しかしネコの呪いだよね、ここまで来ると。ネコが呪われてるのか、ネコを呪っているのか知らないけどさ。何で誰も彼もネコ大好きニャンスキーになるんだろ。不思議だよね」

そう言うと、取っ組み合いをしていた二人は目を合わせ、何かすごく複雑そうな表情を浮かべて座り直した。

「まぁ、それに関して一つの考察があるっちゃーある」
「ぼく達の想像みたいなもんなんだけどね」
「何?」
「【呪いの首輪】は願い事を叶える首輪だろ。だからさ、お前が願ったんじゃねぇのかって」

どういうことか分からず首を傾げると、ジョニーが首輪を触りながら説明してくれた。

「これはハルの首輪だよ。きみの願いは何だったんだろうね。もし仮に【愛されたい】と願ったのなら……」
「……!!?」
「そう、ネコ大好きニャンスキーの出来上がりってわけ」
「あくまで俺たちの想像な。まっ、その首輪は外して俺たちが貰うから、お前の願い事はここまでっつーわけだけど」
「ん?これ付けてないとダメなの?」
「付けっぱなしで願いの効果が続くって本に書いてあったぞ」
「ふーん、そうなんだね」

【呪いのおパンツ】はあげるって言ったけど【呪いの首輪】をあげるとか言ってないのに、そんな流れになってる。要らないから別にいいけど。

でも、二人の想像はどうなんだろう。もっと他の想像もあると思うのに。

「何で私が願った前提なの?」
「へ?」
「え?」
「だってわかんないじゃん。誰かの願いを私が代弁したかもしれないよ」

二人は顔を見合わせたあと私を見て、なぜかお腹を抱えて笑いだした。

「あははは!何で願い事が叶う物を前にして他人の願いを叶えてやってんだよ!バカかよ、お前!」
「あははは!きみのひねくれたワガママな性格を考えてみてよ!そんなこと地球がひっくり返ってもあり得ないよ!」

とんでもなく失礼だが、こいつらが言わんことも分かるから何も言えない。だって私なら【楽して一生暮らしたい】とか【豪遊三昧の人生が送れるほどの金持ちになりたい】とか願うはずだもの。他人のために願いを叶えるなんてあり得ない。

「とにかくさ、ネコの呪いも気になるけどさ、今は【呪いの首輪】が本物かどうか、そこが重要だろ」

リビアの言うことに頷いた。

「そうだね。本物だったらどうするの?だってこれ外れないよ」
「そんときはギュスリーで一番の骨董屋に行こうと思ってる」
「最初っから行けば良くない?」
「何事も順序ってのがあんの。ほれ、菓子でも食ってろ」

渡された紙袋にはたくさんのお菓子が入っている。何か誤魔化された気もするけど、聞いたって答えてくれなさそうだ。


それから何時間も列車に揺られ続けた。

特に話すこともないから、本を読んだり、お絵かきしたり、昼寝をしたり、それぞれが好きに過ごす。

途中で運転手さん達のチップの荒稼ぎが始まったけど、今回は金持ちの上客が乗っていたらしく、すぐに動き始めた。

何事もなく列車は進んでいく。

「人生とは大違い」

窓の外、何もない原っぱだけの景色を見ながら呟いた。


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