魔の巣食う校舎で私は笑う

弥生菊美

文字の大きさ
25 / 40

第25話 噂話

しおりを挟む


 
 自分のデスクで仕事をしていると、柳教授から「桜井君これ宜しく」と、通りすがりに書類を私の机にパサリと置いて「えっ……!?」と私が言っている間に、颯爽と去っていった教授を止める間もなく見送ってしまい。歯ぎしりをしながらその書類に目を通していると、入れ替わる様に研究補助員の山田さんが自分のデスクに戻って来た。

「最近やたら心霊現象の話多くない?」

 と、もどってくるなり3時のおやつのコーヒゼリーのフタをベリベリと音を立てて剝がしながら話しかけてきた。書類仕事をしていた私と、もう一人の研究補助員の三橋さんは手を止めて顔を上げる。

三橋さんは何かを思い出したように、そういえばと口を開いた。

「今朝も聞いたわ、隣の研究室の石川さんが昨日泊まり込みで実験してたらしいんだけど、夜中に廊下歩いてたら何か重たいものを引きずるような不気味な音が聞こえたらしいよ…。」

「えっ!?」

私が驚いた声を上げると、神妙な顔をした山田さんが

「毎日のように起きてるんだって、そういうポルターガイストがさ…。
事務の人が階段で足首掴まれて落ちたり、先週なんて4号館の4階の蛍光灯が一斉に火花散って切れたらしいよ、病院でも夜になると霊安室の階のボタン押してないのに必ず止まるとか、天井から血みたいな赤い液体流れ出てきたとかさ……。」

「「え〝ぇ…」」

私と三橋さんの声がハモる。

「あれかっ…この大学の都市伝説的な……20年に一度、死人が出るっていう…。」

 三橋さんの言葉に、オカルト研の3馬鹿が頭をよぎる。まぁ、この大学の職員の間では割と有名な話だけど…。

「何それ!?知らない!!怖すぎない!?」

今度は山田さんが驚愕の声をあげる。

「私も詳しくは知らないけど、2年前くらいまでパートでHPLCのオペレーターで来てた70歳の相田先生っていたじゃない?その相田先生が話してたんだよね。昔っから20年に一度くらいのペースで学内で亡くなる人が出て、その前後くらいから学内で心霊現象が活発になるって…」

「地下一階の幽霊が暴れるのかな?」

そう言いながら神妙な顔をした山田さんがコーヒーゼリーを一口頬張る。

「暴れるって、そんな…何でよ…」

と、私が何を根拠に?と、問えば三橋さんが

「20年に一回封印が破られる的な?」

「いやいや何のよ?」
「アニメの見過ぎ」

 すかさず私と山田さんの突っ込みが入る。20年に一度破られる封印なんぞ、封印してるうちに入らないだろ。やれやれと首を振る。すると、三橋さんが前のめりになり声を潜める。

「相田さんの話では、過去に何度もお祓いしようって話が出たんだけど、その度に理事長が大反対したんだって」


「なんで!?してもらった方がいいじゃない。」

「非科学的だ!バカバカしい!って、相田さんは前任の理事長も知ってるらしいけど、その理事長もお祓いを却下したらしいよ。なんか理由あるのかな?」

うーんと二人して唸っている。

「そんなに深く考えなくても……」

私がため息をついて二人をジト目で見る。あなた方二人、実験やってる時以上に積極性があるじゃないのよ?

「気になるよー!でも、大学で除霊なんてやったら学生に配信されちゃいそうだしね…。」

「除霊しない理由か……大学のイメージ気にしてるのかな?」

議論を続ける二人にため息をつきながら口を開く

「慰霊祭やってるから、良いと思ってるんじゃない?」

「あっ、慰霊祭やってるからかー」

「あぁー…、いやでも心霊現象起きてるから!人死んでるし!」

「「あぁー」」

と、今度は私と山田さんがハモった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

(ほぼ)5分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ5分で読める怖い話。 フィクションから実話まで。

きさらぎ駅

水野華奈
ホラー
親友から電話があった。 きさらぎ駅という場所にいるらしい… 日常の中の小さな恐怖が今始まる。 触れてしまったが最後。 二度と戻れない。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

皆さんは呪われました

禰津エソラ
ホラー
あなたは呪いたい相手はいますか? お勧めの呪いがありますよ。 効果は絶大です。 ぜひ、試してみてください…… その呪いの因果は果てしなく絡みつく。呪いは誰のものになるのか。 最後に残るのは誰だ……

意味が分かると怖い話【短編集】

本田 壱好
ホラー
意味が分かると怖い話。 つまり、意味がわからなければ怖くない。 解釈は読者に委ねられる。 あなたはこの短編集をどのように読みますか?

処理中です...