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時逆
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薬を口にした途端、焼けつくような痛みが喉を襲った。少しでも楽になろうと喉を掻きむしるが、痛みは段々と増していく。次第に皮膚は裂けて血が滲み、体内の痛みは全身を駆け巡る。
「た……助け……」
どれだけ叫ぼうとしても、出るのはかすれた声ばかり。やがてそれさえも難しくなり、口からは鮮血が溢れ始めた。
視界が少しずつ黒く染まり、息苦しさだけが思考を支配する。
「――!」
暗い……
「――た!」
寒い……
……
「颯太!!」
「!? はい!!」
ドンドンと扉を叩く音と、自分の名前を呼ぶ大きな声で、僕は飛び起きた。
「入学式から遅刻とかシャレにならないからね!! 早く準備してよ!!」
「は、はい」
扉の向こうで足音が遠ざかっていく。
「……死んだかと思った」
喉を撫でるが、先ほどまでの苦しさも、かき傷もきれいに無くなっている。
毒かもなんて物騒に考えたせいであんな夢を見たのか……
額の汗をぬぐい、僕は体を起こして部屋を見渡した。
寝ていたのはアパートの床ではなく、青を基調としたシンプルなベッドの上だった。壁際に置いてある本棚には漫画や小説が乱雑に仕舞われている。
ゆっくりと立ち上がり、体の感覚を確かめながら歩いて窓に近づく。少し深呼吸をしてから青いカーテンを握り、勢いよく開けた。
同時に、薄暗かった室内が明るく照らされる。急な眩しさに僕は思わず目を閉じて顔をそらした。
少しずつまぶたを持ち上げ、外の景色に視線を移す。
雲1つない、とても良い天気だ。窓を開け、ヒンヤリとした風を感じながらぼんやり外を見ていると、向かいの家のベランダで洗濯物を干す主婦らしき人と目が合い、お互い気まずそうに小さく頭を下げる。
「さてさて……」
扉のわきに掛けてある制服を手にとる。
成長期でキツくなってしまうからと、少し大きめのサイズを買ったのはいいが、結局卒業まで身長が伸びることはなかった。
「今から牛乳飲みまくればいけるか……?」
淡い望みを抱くが、今はそれどころではないと首を振った
――そろそろ現実を見ないとだな。
「間違いない。僕は本当に過去に戻ってきたんだ」
「た……助け……」
どれだけ叫ぼうとしても、出るのはかすれた声ばかり。やがてそれさえも難しくなり、口からは鮮血が溢れ始めた。
視界が少しずつ黒く染まり、息苦しさだけが思考を支配する。
「――!」
暗い……
「――た!」
寒い……
……
「颯太!!」
「!? はい!!」
ドンドンと扉を叩く音と、自分の名前を呼ぶ大きな声で、僕は飛び起きた。
「入学式から遅刻とかシャレにならないからね!! 早く準備してよ!!」
「は、はい」
扉の向こうで足音が遠ざかっていく。
「……死んだかと思った」
喉を撫でるが、先ほどまでの苦しさも、かき傷もきれいに無くなっている。
毒かもなんて物騒に考えたせいであんな夢を見たのか……
額の汗をぬぐい、僕は体を起こして部屋を見渡した。
寝ていたのはアパートの床ではなく、青を基調としたシンプルなベッドの上だった。壁際に置いてある本棚には漫画や小説が乱雑に仕舞われている。
ゆっくりと立ち上がり、体の感覚を確かめながら歩いて窓に近づく。少し深呼吸をしてから青いカーテンを握り、勢いよく開けた。
同時に、薄暗かった室内が明るく照らされる。急な眩しさに僕は思わず目を閉じて顔をそらした。
少しずつまぶたを持ち上げ、外の景色に視線を移す。
雲1つない、とても良い天気だ。窓を開け、ヒンヤリとした風を感じながらぼんやり外を見ていると、向かいの家のベランダで洗濯物を干す主婦らしき人と目が合い、お互い気まずそうに小さく頭を下げる。
「さてさて……」
扉のわきに掛けてある制服を手にとる。
成長期でキツくなってしまうからと、少し大きめのサイズを買ったのはいいが、結局卒業まで身長が伸びることはなかった。
「今から牛乳飲みまくればいけるか……?」
淡い望みを抱くが、今はそれどころではないと首を振った
――そろそろ現実を見ないとだな。
「間違いない。僕は本当に過去に戻ってきたんだ」
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