リグレット

 来年に成人式を控えた8月の夕方。会社からの帰り道にふと思い出す。

 汗だくになりながら自転車に乗り、友達とふざけていた通学路。

 いつも挨拶してくれた知らないおばあちゃん。

 いつの間にかいなくなった近所の犬。

 毎日がとても楽しくて。

 思い出は、色鮮やかに輝いていて。

 私は歩く、遠い夕日から目をそらして。

 あの眩しい日々には2度と戻れない。時間は進むことしか無いのだから。


 そんな当たり前のことに――


 ――今さら気づくなんて。
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