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「それは……どういう意味ですか?」

「さあ、どういう意味だろうね。でも、次に会う時にはもう、一樹君の手が届かないところにいるかもしれないよ」

「いえ、絶対に璃玖は俺のとこに戻ってきます」

 昨日、璃玖は自分のものだと宣言した時と同じように、一樹は聖の目を真っ直ぐ見て言い切った。

 聖はその一樹の真剣な眼差しに口角を上げると、一樹に顔を近づけて耳元でそっと囁いた。

「隣にずっといるなんて、思い上がらない方がいいよ。いつか後悔する日が、きてしまう前にね……」

「それって……」

「さーてと。それじゃあ、あそこにパイプ椅子があるから、二人とも見やすいところで座って自由に見学していってね」

「はーい」

 伊織が返事をすると、聖は何事もなかったようにダンススタジオの中央に向かって行った。

「後悔……」

 聖が耳元で囁いた言葉が、一樹の胸をざわつかせた。
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