殴り司教と幸運極振り盗賊ちゃんのダンジョン攻略~パリィで弾いてメイスで殴れ!~

にゃーにゃ

文字の大きさ
19 / 55

第19話『*いしのなかにいる*』

しおりを挟む
 ここは馬小屋だ。足にぬめっとした感覚がする。俺は何者かに足を舐められているようだ。馬かな?

「アッシュ、頼む! ……俺の仲間を救ってくれッ!!」

 ダイアモンドナイツのリーダー聖騎士ガストンだ。まったく理由は分からないが、ガストンが俺の足を舐めている。正直、あまりの事態に驚いた。

「落ち着けガストン。何があった」

「ダイアモンドナイツが4階層で全滅したッ!」

「全滅?」

「玄室のトラップ、テレポーターで壁に埋められて全員死んだッ!」

 テレポーター。いわゆる『*いしのなかにいる*』というヤツだ。パーティーに一人は盗賊が必要とされるのは、LVも一切関係なく問答無用で即死させるトラップのリスクを避けるためだ。

 ニンジャとかも一応盗賊技能を持っているが、盗賊の能力と比べるとかなり見劣りする。これが必ずしもニンジャが盗賊の上位互換とは言えない理由の一つだ。

「なぜ俺なんだ?」

「俺は、冒険者に片っぱしから助けを求めた! なのに、すべて断られた! 俺にはアッシュ、おまえしかいないッ! この通りだ足も舐めるッ!!」

 絵面が完全にサイコホラーだ。つか、もう無許可で舐めてるしな。朝起きたら男が足を舐めているとか完全にホラーだ。

 つか、ガストンは実力のわりに人望がなさすぎる。

 冒険者は基本的には助け合いの精神を大切にする。だが例外はある。普段から助けてもくれない相手にはそうではないということだ。

 ステラがガストンの声で目を覚ます。ガストンが俺の足を舐めている光景に驚き、目を丸くしている。そりゃそうだろう……。俺も怖い。

「ガストン小声で話してくれ。周りに迷惑がかかる」

「おうッ!! 分かったッッ!!! 小声で話せばいいんだなッッ!!!」

 はい。聞いてない。

「あと、足を舐めるな。気持ち悪い」

「わがっだッ!!」

 俺はぬめぬめした足をワラでぬぐう。スライムのような粘性のある唾液なのだが、何をくったらこんな粘性を持った唾液になるのだろうか。

「冷静に状況を説明してほしい。何があった?」

「4階層の宝箱のワープトラップを開けたらワープトラップで石壁に飲まれてみんな死んだ。俺は、ひとりで命からがら逃げてきたッ!」

「なぜおまえだけ助かった?」

「えっ、俺だけ助かった理由? そりゃ……俺はたまたまサキュバス部屋で、濃厚なレベルドレインを食らうために一時的にパーティーから離れていたからだ。おかげで命拾いしたぜ。やっぱり、サキュバスのレベルドレインって最高だよなッ! アッシュ!?」

「……?」

 ガストンのサキュバス云々の話については、俺もガチで何を言っているのかよくわからん。たぶん、仲間を失ったショックで気が動転して頭がおかしくなっているんだろう。

 シラフで人の足を勝手に舐める野郎だったら、そっちの方がヤバいからな。気が動転しておかしな行動を取っているに違いない。そうであって欲しい。

「頼れるのは世界でアッシュ、おまえしかいない。ダイアモンドナイツの皆を助けてくれッ! おまえこそが、ダイアモンドナイツの最後の希望だ」

「俺はダイアモンドナイツじゃないし、おまえとも関係ないけどな」

「たしかにッ!!」

 ぶっちゃけ俺がダイアモンドナイツの奴らを助ける義理はない。ましてや勝手に足を舐めるガストンのお願いごとを聞く必要はない。

 まぁ、それはそれとして、だ。助けられる可能性がある命を見捨てるというのは、それはそれで問題があるかもしれない。まぁ、一応は俺も司教だしな。

 もっとも、死体を回収したとして、教会で蘇生できるかどうかは運次第だが。時間が経てば経つほど蘇生の成功率は下がっていく。急ぐ必要がありそうだ。

「ダイアモンドナイツの死体のあるは場所はどこだ」

「4階層だ。仲間が死んだ場所はこのマップに書いたッ!」

 めちゃくちゃ汚い手書きのマップだが、場所は分かった。

 4階層はアンデッド系の魔獣が多いフロアだ。俺の信仰系の解呪魔法〈ディスペル〉を放てば、複数体だろうが瞬殺だ。現時点でディスペルを6回使える。

「4階層か、だが、昇降機の鍵を俺は持ってないぞ?」

「昇降機の鍵はアッシュ、おまえにやるッ!」

「ふむ」

「アッシュ、ふたたびパーティー再結成だ! 俺たちふたりでダイアモンドナイツを再結成だッ!」

「いや、結構です」

「なぜ? 俺は聖騎士だぞ? ダイアモンドナイツの実力者のガストンだよ?」

「本当、結構です」


  ◇  ◇  ◇


 ここは第一階層の昇降機の前。

「聖騎士の人は置いてって良かったの?」

「ああ。アイツは情緒不安定だからな」

「だね。正解だったと思う。かなり……怖かった」

「だよな」

「いきなり足を舐めるとか、……あまりに、常識がなさ過ぎる」

「本当にね」

 俺とステラは昇降機に乗り込み、鍵を差し込む。1階層から4階層まで通じる魔法のエレベーターが起動する。

 この昇降機は磁力を帯びた石で作られているようだ。壁面の壁も同じように磁力を持った石で作られており、反発しあう力で稼働しているようだ。

 たぶん動作原理はリニアモーターカーの小型版みたいな感じだ。下降していた昇降機が止まった。さすがにチンとか音はしない。ここが4階層だ。

「4階層の魔獣はアンデッドだ、なかなかしぶとい。ステラは回避に専念して欲しい」

「うん、わかった」

 アンデットは司教の得意とする信仰魔法が非常に有効な魔獣だ。LV差が多少あろうとも相性的には問題はない。それに、今日の俺にはバックラーがある。

「さっそくお出迎えか。骨野郎ども」

 魔法の昇降機を降りると、俺とステラの目の前に無数のスケルトンが待ち構えているのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】 気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。 手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!? 傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。 罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚! 人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

処理中です...