《完結》隠れヤンデレ奴隷が契約解除してくれません!!

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救済の日

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意識が戻った時、僕が寝ていたのは僕が今まで見たこともないような豪華な部屋だった。

「目覚めたか。
光魔法の使い手よ。」

急に声をかけられてびっくりした。

隣を見ると薄いカーテンの奥で男が座っているのが分かった。

「あ、、あの、ここはどこですか?
それに光魔法の使い手って、、、。」

カーテンがゆっくりと開いた。

奥にいたのはやっぱり男性で頭の上には王冠が輝いていた。

「えっ、、」

俺が驚いているその男性はゆっくりと笑った。

「私はこの国の王だ。
アルル、お前にこの国を助けてもらいたい。」

王様っ!?!?

驚きすぎて言葉が出なかった。

だって僕は、、そうだ自分の家の診療所で傷ついた兵士を治していて、、。

そうだ、その後意識を失ったんだ!

「お前は突如魔力が現れる変異児だったということだ。
お前の光魔法はとても珍しい。
そして、、、お前には膨大な魔力があることが分かった。」

光魔法!もしかして、、神様が僕のお願いを叶えてくれたんだろうか。

光魔法でみんなを癒したい。

その願いが叶うのかもしれない。

「お前の光魔法、、国のために使ってくれるだろう?」

国のために使うって、、兵士を癒すってことかな。

やりたかったことだ。

僕がみんなを救いたい。

その機会がやっときたんだ。

もう使えない子じゃない。

僕は使える子だ。

「はっはい!
やらせたください!
僕の光魔法でみんなを助けたいです!!」

「いい返事だな。
早速だが、、明後日から働いてもらおう。」

三日後、急に見知らぬ使用人さんから起こされて馬車に乗らされた。

どこが目的地かもわからないまま僕はただただ乗せられていた。

窓を見ると戦争の悲惨な状態がわかり、苦しくなった。

「ついたぞ。降りろ。」

冷たい声にびくっとなりながらも降りた。

周りにはテントがたくさん建ててあってすぐに戦争の拠点地だと分かった。

「あっあの、、僕は」

「お前がアルルだな。
待っていたぞ。」

テントの一つから騎士様が出てきた。

「私は第一騎士団長を勤めさせてもらってる、ハーンだ。
戦争の影響で騎士団が三つに分かれている。
ここは第一騎士団の拠点となっている場所だ。
すぐそこの国境付近では戦争状態だ。
お前も明日から働いてもらうからな。
期待してるぞ。」

「はっはい!」

慣れないながらも一生懸命返事をした。

ここで僕は頑張ろう。

僕の光魔法はみんなを癒すもの。

ここでたくさんの人を治そう!

そう意気込んだはいいものの、、、僕の意気込みは甘かったみたいだ。

早朝すぐに戦場に向かわされた。

てっきりあの拠点地ではたらくものだと思っていた。

「アルルそのまま私の馬にいろ。
ここで、、光魔法を放つんだ。
いいか、、イメージするんだ、、。
お前の中の光を全て一直線の光線にするかんじだ。
そしてそのまま放て。
癒すとか考えなくていい。
そのまま綺麗にまっすぐに最大の力を込めて打て。」

どういうことだろう。

真っ直ぐに光?

まだ一回しか光魔法やら使ったことがないから上手くできないかもしれないけど、、やるしかない。

全身の魔力を手探りで持っていく。

そしてまっすぐまっすぐと意識をしながら集める。 

ハーン第一騎士団長が言った通り直線を作った。

「いっいけます!」

「よし!放て!!!」

合図とともに力を放出した。

僕の手から放たれた光はまっすぐ飛んだかと思うと、一気に爆発した。

光の光線が大量に降る。

相手の兵士たちの体に突き刺さり、、周りは一瞬で血の海となった。

「ひゅっっ!、、」

喉の奥から変な息が漏れた。

何これ。

あれ、、僕の光魔法はみんなを癒すためなのに、、、なんでみんな倒れたの、、?

足元に転がる敵兵の死体を見る。

胸元に穴が空いている。

これは僕がやったの?

僕が、、、僕が、、、?

みんなを攻撃したの?

信じられなくて自分の手のひらを見つめる。

残酷なことに、返り血一つもついていない綺麗な手がそこにはあった。

「素晴らしい、、。
初めてでこの威力、、、、。
これはいい武器になりそうだ、、。」

後ろで騎士団長の興奮した独り言が聞こえてきた。

武器、、僕は武器なの?

体が震え出す。

だけど事実は何も変わらない。

僕が周りにいる敵の兵士を全員殺したのだ。

また視界が真っ暗に染まった。

気づいたら拠点地に戻らされていた。

次の日も僕は戦地に連れて行かれた。

抵抗しても無理だった。

「できません!」

そう叫んでも、、

「そうかできないのか。
国のためなんだぞ?
お前のその決定のせいで我が国の国民が何人死ぬんだ?
考えろ、あれは敵だ。
我が国を侵そうとしてるのだ。
お前が守るのは国民だ。
国を守れない奴は、、使えないな。」

使えない、その一言に体が反応してしまう。

違う、そうじゃない。

そんなためにこの魔法を使いたいんじゃない。

でも使わないといけないのかもしれない。

僕は使えない子じゃないんだ。

大丈夫やれる。

その日から僕は心を殺した。

来る日も来る日も敵兵に光線を浴びせ続ける。

うめき声も何もかも耳を塞いで耐える。

目を瞑ってできるだけ見ないようにした。

拠点地に戻った後、疲れ切った僕は眠たくてテントに入ろうとした。

テントの中には若い男がいた。

「すいません、、アルルさん。
この傷を治してくれませんか。」

知らない男からのお願いに戸惑った。

「アルルさんは光魔法の使い手なんですよね。
僕の怪我治してくれませんか。」

その男は胸に切り傷があった。

自分の体を引きずってここにきたという。

「本で読んだことがあるんです。
光魔法って傷をいやしてくれるんですよね、、。
お願いします。」

僕はもう無意識にその男に魔法をかけた。

治った傷に男が幸せそうな顔をした。

男の幸せそうなと今日自分が殺した兵士の顔が重なった。

僕の魔法は癒すこともできるけど殺すこともできるんだ、、。

それがなぜだか悲しく感じていた。

人を殺してきては夜は癒すという生活が当たり前になってしまった。

もう疲れた。

だけどずっと続く毎日に僕は必死について行かなければならなかった。

でも救済はきたんだ。

その日は雨だった。

雨の日はただでさえ憂鬱で、冷たい雨と、自分が殺した敵の兵士がひどく気分を悪くさせる。

引き返そうとした時、大声が上がった。

「革命軍の旗だ!!!
革命軍がきたぞ!!!!!
革命軍のリーダーもいるぞ!!!
皆かかれ!
今こそ敵の首をとれ!!!」

そうだ、、最近騎士団長がしきりに話していた。

マフィリア帝国でクーデターが起きて、それを起こした革命軍はとても強いらしくて、中でもリーダーは若いながら恐ろしいくらいに強いらしい。

僕たちも移動しながら占拠されたところを取り返してはいるけど、なかなか形勢が逆転しないのは革命軍が強すぎるらしかった。

その革命軍の旗が僕のいる距離からでも見えた。

「アルル、いけるだろう?」

後ろから騎士団長の声が響く。

あぁ、またやらないといけない。

もうやりたくないのに。

これを放つとみんな死んでしまう。

わかっているけど体は動いて、僕はいつものように光の光線を向かってくる革命軍に向かって放った。

だけどいつもと違くて、どれだけ耳を塞いでも聞こえる悲鳴やうめき声が聞こえてこなかった。

恐る恐る目を開けると、、革命軍が目の前に来ていた。

あれ、僕の魔法は、、?

目の前の革命軍の人の顔がはっきりと見えた。

綺麗な人だな、、、、。

戦場に似合わずそんなことを思ってしまった。

でもそれくらい綺麗だった。

彼の瞳の赤さは返り血と同じくらい赤くて、それなのに真っ白な肌が赤に映えて際立つ。

まるで神様が作ったような顔。

でもどこか冷たさを感じる。

彼の笑ってもいない真顔でさえも僕は見惚れていた。

「自分が放った魔法の結果を見れないくらい覚悟がない者を戦地に連れてくるとは、、貴国は大胆らしいな?」

低い声が戦場に響き渡る。

覚悟がない者、、、僕のことだろう。

悲しくて下を向いてしまう。

「しかし、、その光魔法は素晴らしいと思う。
高精度の光魔法だった。
ただ、、、勿体無い。
光魔法は本来は癒す魔法だ。
攻撃に使うとその術者の心をも病む。
、、、つらかったんじゃないか?」

え、、、。

僕を気遣ってくれてるの?

もう一度顔を上げると彼はまっすぐ僕を見つめていた。

「光魔法の使い手を探していたんだ。
、、、こっちに寝返るきはないか?」

彼が手を差し伸べた。

今すぐこの馬を降りて彼の元に走り出したい気持ちになった。

なんでかわからない。

ただ僕の苦しみを少しでもこの人は理解しているように感じたからだ。

「お前!リーダーだな!!
敵陣に簡単に現れるとは!!!
今だ!攻撃しろ!」

一斉に攻撃が飛んでいく。

その全てを一振りで払ってしまった。

「こんなものなのか?
弱いな?
さっきの光の光線の方が倍強かった。」

淡々と彼は話した。

すごい、、、。

あの量の攻撃を全て受け止めてから打ち消すなんて!!!

「て、撤収だ!!!!」

僕が乗せてもらっている騎士団長の馬は一目散に引き返そうとする。

僕は後ろを振り返った。

彼も背中を向けて帰っていくところだった。

雨はいつのまにか止んで、彼の後ろ姿が美しい。

名前はなんだろう。

彼は僕の救世主なのだろうか。

その日は彼の顔を思い出してなかなか寝れなかった。
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