《完結》隠れヤンデレ奴隷が契約解除してくれません!!

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キルバーン公爵の茶会④

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俺たちはゲームが終わったので全員で宝物庫を出た。

しっかりと魔法石をポッケトにしまう。

茶会に戻ると、キルバーン公爵からアナウンスでゲームの説明とそのゲームが終わったことを説明した。

悔しがる者や驚ろく者など様々な反応があった。

その後は何事もなく茶会の続きや、展示品を楽しむ事ができた。

とっても楽しい時間だったため、俺は忘れていた。

この場の最大の敵が誰かということを。

茶会が完全に終わり解散となったため、俺たちは馬車へ帰る道のところだった。

なんと、俺たちの馬車が停まっていた場所は王妃たちの馬車とぜんごだったのだ。

王家として一緒の場所にしてくれたのだろうか、、。

正直に言ってありがた迷惑だ。

そしてまさに今、俺は前から来た王妃たちと鉢合わせになってしまった。

「こんばんは王妃様。
キルバーン公爵の茶会は楽しかったですね。」

俺はなるべく穏やかに話しかけた。

無視はしたいのだが、無視をしたはしたでめんどくさいのだ。

しかしやはり話しかけた瞬間に殺すような目をつけられてしまう。

「ふんっ。
邪魔ですわっ!
王家の裏切り者のくせに堂々と王家を名乗っているだなんて!
恥知らずめ。」

毎回言われるお馴染みのセリフだ。

俺の祖父のことだろう。

「申し訳ございません。」

俺は謝ったが、そのまま王妃は歩いて行き俺の肩にぶつかりながら通り過ぎようとした。

、、、威力が強すぎたのか、俺は少し飛ばされてしまった。

そしてその衝撃でポケットから魔法石が出てきてしまった。

急いで拾ったが、その魔法石を王妃に見られてしまった。

「それは、、。」

「魔法石でございます。
実は私今回の茶会のゲームに勝ちまして、賞品としていただきました。」

俺が説明をすると王妃はまじまじと魔法石を見つめた。

「いい色ね。
とても気に入ったわ。
恥知らず、その魔法石を私によこしなさい。」

、、嫌な予感がしていたのだ。

王妃は大の紫好きなのだ。

そして綺麗な宝石を集めるのも大好き。

宝石のように輝く、紫の魔法石。

見たら欲しがるに違いないと思っていたのだ。

はあ、さっきからなぜこうも魔法石を欲しがる人間が後をたたないのか。

しかし、これはフランドさんの手がかりなのだ。

渡すわけにはいかない。

「申し訳ございません。
これは私が苦労して手に入れた物でして、
差し上げることはできません。」

しかし断ると王妃の顔はまるで般若のようになった。

「私の命令が聞けないの?
私は王妃よ!
早くよこしなさい!!
この裏切り者の恥知らず!!
王家に居させてやるだけ感謝しなさいよ!
いいから早くよこしなさい!」

そしてしまいには俺の腕を掴もうとする。

俺は避けた。

すると王妃の後ろにいた父上がゆっくりと口を開いた。

「落ち着きなさい。
リリウム、その魔法石くらいなんなんだ。
渡してもいいだろう。」

「いいえ、できません。」

俺はしっかり断る。

すると兄上がすぐに口を挟む。

「茶会に参加できただけでもありがたいだろ。
早く母上に渡すんだ。」

「お言葉ですが、私が茶会に参加したのは兄上との賭けに勝ったからでございます。
確かにありがたいですが、、正当な理由によりこの茶会に参加できているのです。
私に王妃に魔法石を譲る義務はございません。」

強く言ってしまう。

すると待ちきれなくなった王妃がついに、、

「護衛!
この恥知らずと全ての使用人、護衛、奴隷に至るまでを捕まえなさい!」

そう叫んだ。

護衛たちは戸惑いながらも動き始める。

俺は魔法で対抗しようとしたが、出なかった。

しまった。

先に魔法が使えない結界を張られていた!

俺たちはなすすべもなく拘束されてしまった。

王妃は俺から魔法石を奪い去ると笑い始めた。

「ふふっ!
最初からおとなしく渡せば拘束なんてされなかったのよ!」

どうすれば、、そう考えていると、王妃の魔法石を握っている手に何かが飛びついた。

そして思いっきり魔法石を奪うとその何かはステラの腕に急いで戻った。

王妃はポカンとしたがすぐに状況を読み取り、ステラの袖口に入ろうとするなにか、、

そう、リフリアの花を見つけた。

「あれはリフリアの花よね!
何でここにあるのよ!
しかも動いて私の魔法石を取った??
何よ!
ふざけないで!
そんな花、切ってやるわ!!」

王妃は護身用の短剣を掴むと一気にリフリアの花を切ろうとする。

しかしステラは拘束されて動けず、解除魔法をかけているが結界が強く破れないため魔法が使えない。

リフリアの花はすぐさま切られそうになってしまった。

「アロンダさん!!」

俺は大声で思わず叫んでしまった。

リルリアの花が覚悟を決めたように魔法石を守りながら固くなる。

しかしその瞬間、静かだった魔法石から声が聞こえた。

『この人に触らないでください!!』

そして光が溢れ出す。

眩しすぎて目を開けていられなかった。

光が収まり始め、ゆっくりと目を開けるとそこには一人の男の美しいエルフが立っていた。

アロンダさんがその姿を見て震える声でつぶやいた。

『ふ、フランド、、、。』

この人がフランドさんなのか!

フランドさんは何も言わずにサッと手を振った。

アロンダさんがハッとしたように俺たちに呟く。

『息を吸うな!』

俺はなぜかわからなかったが急いで息を止めた。

その瞬間バタバタと人が倒れていく。

10秒後には起きているのは俺を含めて数人しかいなかった。

特に王妃たちの陣営は誰一人として残らなかった。

これは?

『眠り香だ。
フランドの得意技なんだ。
一瞬で人を眠らせる香りを放つんだ。
初見殺しの技だ。』

アロンダさんが説明してくれた。

フランドさんはゆっくりと俺たちの、、いやアロンダさんの方を向く。

その顔はひどく申し訳なさそうだった。

『アロンダ、、。
遅くなって申し訳ございません。』

しかしその瞬間またフランドさんの体がまた光だし、一瞬でまた眩しくなる。

そして目を開けた頃には紫色の美しい魔法石だけになっていた。

『フランド!!
フランド!!』

アロンダさんが叫びつづける。

しかし魔法石からは何も声がしなかった。












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