中年中太り成金アロハシャツおじさんを地獄の底へ叩き落とす所から始まる異世界転移物語

トムボーイ

文字の大きさ
100 / 120
第八章 国家エスカルド

裏の裏

しおりを挟む
 四つ目の演目が始まる頃、立ち見席に戻ったジョンは不満顔で腕を組みステージを睨んでいた。
 今ステージでは人間が重なり合いタワーを作っている所だ。
 この演目が終わり客席が暗くなれば彼等は作戦を開始するだろう
 なのでジョンは裏口に繋がる入り口まで移動する、入り口は一箇所、客席はステージを完全に囲んでいるO型では無くC型である、空白の部分に芸人が出て来る為の出入り口が有る、その出入り口も派手に作られお客の興を削がない様に出来ている
 C型なので客席の端はその芸人専用の出入り口の側面に面する、そしてその面には鍵が掛かっているが木製の扉が設置されている、しかし両方に設置されている訳では無く片側右側のみに設置されている、なのでその扉の前に立つ
 四つ目の演目が終わり、レイの言った通り当たりが暗くなり始める
 
(そろそろか……)

 ジョンの前に立つのは四人の男たち、その中にはレイも含まれる
 扉の前に立ちふさがるジョン

「何だお前は?」

 ジョンに向かって男の一人がジョンに向かって言い放つ

「憎き誘拐犯を成敗する為にこの世に生を受けた正義の味方或いは勇者か? クククッ何とでも呼んでくれよ、誘拐犯諸君」
「この男、さっきステージで……」
「レイ、お前こいつに絡まれてたな? もしかしてその時に情報を流したんじゃあるまいな?」
「え? いや、まさか……」
「じゃあ何処で情報が漏れたと言うんだ? この作戦事態このサーカスの内状を知った二日前に考案した作戦……それも今日それもサーカス前に来るまで誰にも話さなかったんだぞ? つまり漏れるタイミングは今日それもサーカス前から今の間でしか有り得ない、お前しか居ないだろ?」
「は、はは、リーダーには敵わねぇな、その通り情報を漏らしたのは俺だよ、残念ながらな」

 レイは後ろに一歩下がる

「こんな事知られたって事はどんな理由が有れもう俺もアンタらの敵って事になるよな?」
「いや、今回のことは見逃してやる、致し方がない」
「本当ですかい……? それは有り難い……」

 そう言うとレイは腰から剣を抜きリーダーに斬りかかる、それを剣を抜き受け止めるリーダー

「そんな言葉をバカ正直に信じると思ったのかよ!!」
「チッ役立たずめ……」

 レイの声それに剣がぶつかりあった音によって会場の全員がレイの方向を見た。そして悲鳴が上がる、会場は一瞬にしてパニック
 そしてレイの方向に目を奪われたのは観客や芸人だけではない
 リーダーの部下二人もジョンから視線を外しレイの方を見てしまったのだ。それが最後
 ジョンはその無防備な男の柔らかな頬を反動で床に強打する程強く蹴り、その男が床に強打され夢の世界に飛び立つより前にもう一人の男の鼻に拳を強打する、これで二対一

「ぐっ!? こいつ!?」
「へっ敵だと厄介だが味方だと頼りになるねぇ……なぁリーダー? 降参しねぇか? お前に勝ち目は無いと思うぜ?」

 リーダーは剣を下ろし剣を放す。
 パニックになった。客の中から一人の女性が飛び出してきた。

「お前たち! 何をしている!!」
「うっ……七番隊の隊長じゃねぇか」

 レイは顔を青くする

「わ、妾のサーカスを邪魔したんだ! それ相応の理由が有るのだろうな……?」
「その話はこの男から聞いてくれ」

 とレイはリーダーを指差す。

「……貴様ら騎士団の団員だな? そこの黒服の奴は違うが……全て説明しろ」

 七番隊隊長
 アスミ・フォーデュンにレイは状況を説明する、そしてその説明の間にサーカス団員達もレイ達の元に集まってきた。その中には団長のクァイケットの姿も有る

「何? ニカエルを誘拐しようとしていただと?」
「そうだ」
「何故だ?」

 その答えは帰って来なかった。
 ジョンはそこである事に気が付く

「おい、クァイケット、その噂のニカエルは何処だ?」

 此処に集まった団員の中に調教師ニカエルの姿は無かった。

「楽屋に居ると思うぞ?」
「思うぞ、と言ったという事はそれは推測って事だよな?」
「……」

 嫌な予感がクァイケットとジョンの脳を巡る

「行くぞ、案内しろ!」

 ジョンとクァイケットは急ぎ楽屋まで向かう
 しかし楽屋は空
 慌てるクァイケット

「無駄だろうがこのサーカスの中を隈無く探せ」

 そうジョンが言うとクァイケットはその場を急いで走り去る
 後ろからアスミがやって来る

「居なかったのか!?」
「あぁ、最初のアイツ等は囮、完全に裏をかかれた。泣けるな」

 そしてジョンの言った通りこの後もニカエルが発見される事はなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

処理中です...