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第一章:動き出す世界
⚜️ 12:はじまりの会議室
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◤ 凶暴な戦闘魔獣ノルドを倒し、選律の儀を通過したリリア。だが、自身が地球から来た“梨里杏”だとバレてはいけない、苦境はまだ続いていた…… ◢
「それでは、合格者さまはこちらへ! アーシェル様より、ご挨拶があります。会議室へ向かいましょう!」
私たちの元へ、王族の使いの者がやってきた。どうやら、アーシェルから直々に話があるようだ。私たちは観衆の盛大な拍手の中、闘技場から六環魔法塔へと移動していく。
「リリア、さっきの魔法は何よ……? アンタがあんな魔法使えるなんて、聞いてないんだけど」
「そりゃ、そうだろ。俺だって聞かされてなかったんだから。——なんでも、リアノスさんがリリアの力を開放してくれたらしいぜ」
“俺だって”、聞かされてなかった……?
さっきから気になっているのだが、もしかしてリリアとジルハートは付き合っていたりするのだろうか……?
「へー、リリアの親父さんがね。さすが魔法界の変態。——で、それって私たちに対しては出来ないの? リリア」
まっ、魔法界の変態……! ずっと思っていたことだが、このアルフィナって子は本当に口が悪い。っていうか、リアノスはそんな風に言われているのか……
「たっ、確かお父様は、力を引き出せるのは身内だけだって言ってたかな……」
「そもそも、リアノスさんの血を引いているリリアさんが、魔法を使えなかったってのがおかしな話だったんですよ……それよりさっきは、リリアさんに何も出来ないなんて言って、本当にすみませんでした」
前を歩くエイルはそう言って頭を下げた。アルフィナと違い、エイルは言葉遣いも態度も丁寧だ。
「こちらのお部屋です。直にアーシェル様も参ります。しばし、お待ちを」
使いの者は重厚なドアを開けると、私たちをその部屋へと招き入れた。
「六環魔法塔の会議室には初めて入りました……流石、格式が高いですね……」
エイルは中央に鎮座する、六角形の黒曜石の卓に手を触れてそう言った。
光沢のある石造りの壁には、淡く光る魔法陣のようなものがいくつも掛けられている。やはり、ここは本当に異世界……少しだけ落ち着いた今、ジワジワと実感が増してくる。
「悪いね、お待たせした。さあさあ、僕に気にせず椅子に掛けてくれ。——それにしても、今日はいいものを見せてもらった! 特にリリア! 強烈な魔法だったな!!」
会議室の扉が開くと、従者を従えたアーシェルが姿を現した。アーシェルは満面の笑みを浮かべそう言った。
「なあ、アーシェル。ノルドのこと、本当は壊されると思ってなかっただろ? 俺の最初の一撃だって、本気で撃ち込んだんだぜ」
「ジッ、ジルハート!! アーシェル様と幼馴染とはいえ、無礼が過ぎるぞっ!!」
「構わん、クリス。ジルハートとは兄弟みたいなものだ。——それより、ノルドの件はジルハートの言うとおりだ。だから僕は、3人が残るまでという条件を出していた。まさか、ノルドが破壊されるとはな……しかも、リリアの魔法で……」
ノルドが倒されて残念がっているのかと思いきや、何故か「ククク」とアーシェルは笑っていた。
「それにしてもアーシェル様。魔力が高い者から狙わせるなんて、下手したら碌でもない者しか残らなかった可能性もありましたよ。何か意図はあったのですか?」
「もちろんだ、エイル。ここに残る者は、その事にすぐに気づき、対処できると思っていた。あと戦場では「気を引き締めておくべきだった」なんて甘えは通用しない……つまり、ザルフはその程度の男だったというわけだ。——まあ、アドバイスを貰ってから、やっと気付いた者もいたようだがな」
それを聞いたアルフィナは「チッ」と舌打ちをした。
「そ、そういえば、そのザルフや他の退場者は無事なんでしょうか……? 出血が酷かったようですが……」
私がそう尋ねると、アーシェルはきょとんとした顔をした。
「リリア……? 今日のキミは服装といい、魔法といい、言葉遣いといい、全てが変だな。——何かあったのか?」
「俺の予想なんだがな、アーシェル。リリアはリアノスさんに、魔力を開放してもらったらしいんだ。その際、記憶が飛んじまったんじゃないかと思ってる。——だって、アルフィナって誰? って俺に聞いてきたんだぜ」
「なっ、なに!? アタシのこと忘れてたって!? じょ、冗談だろリリア!?」
魔法の力を開放した代わりに、記憶が無くなってしまった……?
こ、この設定……アリなんじゃない……!?
これなら、私にエルデリアでの記憶が無くても辻褄が合う……!
「それでは、合格者さまはこちらへ! アーシェル様より、ご挨拶があります。会議室へ向かいましょう!」
私たちの元へ、王族の使いの者がやってきた。どうやら、アーシェルから直々に話があるようだ。私たちは観衆の盛大な拍手の中、闘技場から六環魔法塔へと移動していく。
「リリア、さっきの魔法は何よ……? アンタがあんな魔法使えるなんて、聞いてないんだけど」
「そりゃ、そうだろ。俺だって聞かされてなかったんだから。——なんでも、リアノスさんがリリアの力を開放してくれたらしいぜ」
“俺だって”、聞かされてなかった……?
さっきから気になっているのだが、もしかしてリリアとジルハートは付き合っていたりするのだろうか……?
「へー、リリアの親父さんがね。さすが魔法界の変態。——で、それって私たちに対しては出来ないの? リリア」
まっ、魔法界の変態……! ずっと思っていたことだが、このアルフィナって子は本当に口が悪い。っていうか、リアノスはそんな風に言われているのか……
「たっ、確かお父様は、力を引き出せるのは身内だけだって言ってたかな……」
「そもそも、リアノスさんの血を引いているリリアさんが、魔法を使えなかったってのがおかしな話だったんですよ……それよりさっきは、リリアさんに何も出来ないなんて言って、本当にすみませんでした」
前を歩くエイルはそう言って頭を下げた。アルフィナと違い、エイルは言葉遣いも態度も丁寧だ。
「こちらのお部屋です。直にアーシェル様も参ります。しばし、お待ちを」
使いの者は重厚なドアを開けると、私たちをその部屋へと招き入れた。
「六環魔法塔の会議室には初めて入りました……流石、格式が高いですね……」
エイルは中央に鎮座する、六角形の黒曜石の卓に手を触れてそう言った。
光沢のある石造りの壁には、淡く光る魔法陣のようなものがいくつも掛けられている。やはり、ここは本当に異世界……少しだけ落ち着いた今、ジワジワと実感が増してくる。
「悪いね、お待たせした。さあさあ、僕に気にせず椅子に掛けてくれ。——それにしても、今日はいいものを見せてもらった! 特にリリア! 強烈な魔法だったな!!」
会議室の扉が開くと、従者を従えたアーシェルが姿を現した。アーシェルは満面の笑みを浮かべそう言った。
「なあ、アーシェル。ノルドのこと、本当は壊されると思ってなかっただろ? 俺の最初の一撃だって、本気で撃ち込んだんだぜ」
「ジッ、ジルハート!! アーシェル様と幼馴染とはいえ、無礼が過ぎるぞっ!!」
「構わん、クリス。ジルハートとは兄弟みたいなものだ。——それより、ノルドの件はジルハートの言うとおりだ。だから僕は、3人が残るまでという条件を出していた。まさか、ノルドが破壊されるとはな……しかも、リリアの魔法で……」
ノルドが倒されて残念がっているのかと思いきや、何故か「ククク」とアーシェルは笑っていた。
「それにしてもアーシェル様。魔力が高い者から狙わせるなんて、下手したら碌でもない者しか残らなかった可能性もありましたよ。何か意図はあったのですか?」
「もちろんだ、エイル。ここに残る者は、その事にすぐに気づき、対処できると思っていた。あと戦場では「気を引き締めておくべきだった」なんて甘えは通用しない……つまり、ザルフはその程度の男だったというわけだ。——まあ、アドバイスを貰ってから、やっと気付いた者もいたようだがな」
それを聞いたアルフィナは「チッ」と舌打ちをした。
「そ、そういえば、そのザルフや他の退場者は無事なんでしょうか……? 出血が酷かったようですが……」
私がそう尋ねると、アーシェルはきょとんとした顔をした。
「リリア……? 今日のキミは服装といい、魔法といい、言葉遣いといい、全てが変だな。——何かあったのか?」
「俺の予想なんだがな、アーシェル。リリアはリアノスさんに、魔力を開放してもらったらしいんだ。その際、記憶が飛んじまったんじゃないかと思ってる。——だって、アルフィナって誰? って俺に聞いてきたんだぜ」
「なっ、なに!? アタシのこと忘れてたって!? じょ、冗談だろリリア!?」
魔法の力を開放した代わりに、記憶が無くなってしまった……?
こ、この設定……アリなんじゃない……!?
これなら、私にエルデリアでの記憶が無くても辻褄が合う……!
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