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第2章 シャウラ村編
第48話 武闘大会2
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今日は武闘大会2日目。大会のメインとなるチーム戦による武闘会だ。
各チーム3名までのメンバーがトーナメントで優勝を目指す。その優勝者が1ヶ月後の首都で行われる武闘大会に出場できる。3位までは賞金も出るそうだ。
この試合には、俺とカリン、チセの3人チームで戦う。
「カリン、絶対大魔法は使うなよ」
「ええ、初級魔法だけ使えばいいのね。今日はこの小さい杖だけを使うわ」
前日に大魔法を使って失格になったカリンは慎重だな。
俺は運営から借りた木の剣、チセはいつもの鉄拳武器で戦う。
「師匠。あたしはこの武器を使ってもいいんですよね」
「ああ、運営に確認したから大丈夫だ。但し魔弾は使っちゃだめだ。代わりに石を使おう」
「はい、あたし頑張りますね」
チセは昨日、競技に参加できなかったから今日は張り切っているな。アイシャはお腹の子供の事もあるし、今日は村の人達と一緒に応援に回ってくれている。
「みんな、頑張ってね」
応援を背に会場へと入る。初戦は白銀ランクの冒険者3人のチームだ。そのうち2人はリザードマンだった。盾と剣を持ち、いかにも強そうな格好をしている。
カリンもチセも硬くなっていて、いつもの戦いができていない。終盤に弱点の魔法攻撃が当たって1人が倒れ3対2で何とか勝てた。
2戦目はこの町の兵団所属の兵士3人で、馬に乗った騎士と兵士と魔術師のバランスの取れた相手だ。
「あの馬が厄介ね」
「カリンが狙われそうだな。チセ、しっかり防御してやってくれ」
武器は怪我しないように、木製の武器か鞘を付けているが衝撃はある。攻撃を受けて、背中かお腹が地面についたら倒されたことになり退場となる。
「カリンも相手の弱点属性で攻撃してくれ」
「でも、なんだかあの騎士の鎧、全属性の魔法耐性があるような感じだわ」
「そうだな。なんか高そうなフルプレートの鎧だな」
あんな高価な鎧を身に付けられるということは、隊長か部隊長なのかもしれんな。何にしても俺達が連携して戦えば勝てない相手ではないだろう。
試合開始直後から、馬に乗った鎧の騎士が攻めてくる。槍を手に後衛魔術師であるカリンを狙っているな。こちらもそれは分かっている、カリンを守りながら攻撃を繰り出す。
「チセは馬を攻めろ。俺が槍を防ぐ」
「はい、師匠」
チセの一撃は、当たれば確実に相手を倒せる力がある。騎士もうまく馬を操作しつつリーチのある槍で攻撃してくる。
「やっぱ、あいつの鎧は魔法耐性があるわ」
「カリンは、他のふたりに攻撃を続けてくれ」
俺とチセで騎士を相手し、カリンには後のふたりを近づけさせないように魔法攻撃で牽制してもらう。
同じ3対3と言っても、これは不公平だろう。通常なら騎馬1に対して歩兵3が相当する。これだと5対3じゃないか。
だが文句を言っても仕方ない。
「次は馬の左側から攻めるぞ。チセも踏み込んで馬を倒してくれ」
「はい、なんとかやってみます」
「行くぞ」
「せ~の!」
チセが馬に蹴られながらも馬を倒してくれた。だがチセも倒れてしまった。
落馬した騎士は立ち上がり、剣を抜いて俺に攻撃してくる。
「メテオストライク!」
カリンの横からの魔法攻撃を受けてよろけた騎士の首元を狙って木刀を振り抜く。鎧の薄い箇所を打たれ脳振とうを起こしたか騎士が倒れた。
「チセ、怪我はないか!」
「はい、大丈夫です。すみません、後は任せます」
これでやっと2対2かよ。だがカリンとふたりなら負けはしない。
カリンは初級魔法の連続攻撃と、魔法防御の壁を作り俺を援護してくれる。
俺は前衛の剣を持つ兵士に攻撃を仕掛けるが、敵はリーダーである騎士を失って動揺したか、振るう剣が軽い。受け流して、相手の体勢が崩れてがら空きになった胴に剣を打ちこむ。倒れ込んだ兵士を見て魔術師は降参した。
「何とか勝てたわね」
「カリン、助かったよ。チセも良くやってくれた」
「ユヅキさん、怪我はなかった。すごい戦いだったわね」
アイシャが俺達の元に、タオルを持って来てくれた。
「ああ、なんとかなったよ。次の試合は午後からだ、それまでゆっくり休憩しよう」
軽く食事を摂りながら、次に俺達が対戦するであろう試合を観戦する。
「この試合に勝ったチームと、対戦するんだよね」
「そうだな。次勝てば決勝まで進める。優勝したら何もらえるんだろうな」
「ユヅキさん。そういうこと言っている人は、優勝できないんですよ」
こちらでもそのような負けフラグみたいなものがあるのか? よし、俺も気を引き締めんとな。
「あの、二刀流のダークエルフのお姉さん。強いですね」
「ほんとね。ひとりで戦っているのに全然押されてないわね」
この世界でダークエルフ族を見るのは初めてだ。エルフ族特有のとがった耳と肌は褐色とかじゃなく、軽く日焼けしている程度の肌だ。肌の白いエルフ族もいるようだが、アイシャ達は見たことが無いと言っている。
長身で赤い長い髪を後ろでまとめてポニーテールにしている。冒険者のようだが、最小限の軽鎧で民族的な衣装だな。
武器を持っての戦闘が得意な種族のようで、鋭い眼光をし両手に持つ剣から火魔法を飛ばしているぞ。
「魔法剣士で二刀流とは厄介だな」
ダークエルフの相手は3人組のチーム。槍を持ち馬に乗った騎士がふたり……戦力は7対1かよ。それでも魔法と素早い動きで相手を翻弄し、剣で止めを刺している。
相当戦闘慣れしているようだな。
ダークエルフのお姉さんは強い、こんな不利な状況でも圧倒的な勝利を収めた。この相手との午後からの試合、少し作戦を練らないと厳しそうだぞ。
各チーム3名までのメンバーがトーナメントで優勝を目指す。その優勝者が1ヶ月後の首都で行われる武闘大会に出場できる。3位までは賞金も出るそうだ。
この試合には、俺とカリン、チセの3人チームで戦う。
「カリン、絶対大魔法は使うなよ」
「ええ、初級魔法だけ使えばいいのね。今日はこの小さい杖だけを使うわ」
前日に大魔法を使って失格になったカリンは慎重だな。
俺は運営から借りた木の剣、チセはいつもの鉄拳武器で戦う。
「師匠。あたしはこの武器を使ってもいいんですよね」
「ああ、運営に確認したから大丈夫だ。但し魔弾は使っちゃだめだ。代わりに石を使おう」
「はい、あたし頑張りますね」
チセは昨日、競技に参加できなかったから今日は張り切っているな。アイシャはお腹の子供の事もあるし、今日は村の人達と一緒に応援に回ってくれている。
「みんな、頑張ってね」
応援を背に会場へと入る。初戦は白銀ランクの冒険者3人のチームだ。そのうち2人はリザードマンだった。盾と剣を持ち、いかにも強そうな格好をしている。
カリンもチセも硬くなっていて、いつもの戦いができていない。終盤に弱点の魔法攻撃が当たって1人が倒れ3対2で何とか勝てた。
2戦目はこの町の兵団所属の兵士3人で、馬に乗った騎士と兵士と魔術師のバランスの取れた相手だ。
「あの馬が厄介ね」
「カリンが狙われそうだな。チセ、しっかり防御してやってくれ」
武器は怪我しないように、木製の武器か鞘を付けているが衝撃はある。攻撃を受けて、背中かお腹が地面についたら倒されたことになり退場となる。
「カリンも相手の弱点属性で攻撃してくれ」
「でも、なんだかあの騎士の鎧、全属性の魔法耐性があるような感じだわ」
「そうだな。なんか高そうなフルプレートの鎧だな」
あんな高価な鎧を身に付けられるということは、隊長か部隊長なのかもしれんな。何にしても俺達が連携して戦えば勝てない相手ではないだろう。
試合開始直後から、馬に乗った鎧の騎士が攻めてくる。槍を手に後衛魔術師であるカリンを狙っているな。こちらもそれは分かっている、カリンを守りながら攻撃を繰り出す。
「チセは馬を攻めろ。俺が槍を防ぐ」
「はい、師匠」
チセの一撃は、当たれば確実に相手を倒せる力がある。騎士もうまく馬を操作しつつリーチのある槍で攻撃してくる。
「やっぱ、あいつの鎧は魔法耐性があるわ」
「カリンは、他のふたりに攻撃を続けてくれ」
俺とチセで騎士を相手し、カリンには後のふたりを近づけさせないように魔法攻撃で牽制してもらう。
同じ3対3と言っても、これは不公平だろう。通常なら騎馬1に対して歩兵3が相当する。これだと5対3じゃないか。
だが文句を言っても仕方ない。
「次は馬の左側から攻めるぞ。チセも踏み込んで馬を倒してくれ」
「はい、なんとかやってみます」
「行くぞ」
「せ~の!」
チセが馬に蹴られながらも馬を倒してくれた。だがチセも倒れてしまった。
落馬した騎士は立ち上がり、剣を抜いて俺に攻撃してくる。
「メテオストライク!」
カリンの横からの魔法攻撃を受けてよろけた騎士の首元を狙って木刀を振り抜く。鎧の薄い箇所を打たれ脳振とうを起こしたか騎士が倒れた。
「チセ、怪我はないか!」
「はい、大丈夫です。すみません、後は任せます」
これでやっと2対2かよ。だがカリンとふたりなら負けはしない。
カリンは初級魔法の連続攻撃と、魔法防御の壁を作り俺を援護してくれる。
俺は前衛の剣を持つ兵士に攻撃を仕掛けるが、敵はリーダーである騎士を失って動揺したか、振るう剣が軽い。受け流して、相手の体勢が崩れてがら空きになった胴に剣を打ちこむ。倒れ込んだ兵士を見て魔術師は降参した。
「何とか勝てたわね」
「カリン、助かったよ。チセも良くやってくれた」
「ユヅキさん、怪我はなかった。すごい戦いだったわね」
アイシャが俺達の元に、タオルを持って来てくれた。
「ああ、なんとかなったよ。次の試合は午後からだ、それまでゆっくり休憩しよう」
軽く食事を摂りながら、次に俺達が対戦するであろう試合を観戦する。
「この試合に勝ったチームと、対戦するんだよね」
「そうだな。次勝てば決勝まで進める。優勝したら何もらえるんだろうな」
「ユヅキさん。そういうこと言っている人は、優勝できないんですよ」
こちらでもそのような負けフラグみたいなものがあるのか? よし、俺も気を引き締めんとな。
「あの、二刀流のダークエルフのお姉さん。強いですね」
「ほんとね。ひとりで戦っているのに全然押されてないわね」
この世界でダークエルフ族を見るのは初めてだ。エルフ族特有のとがった耳と肌は褐色とかじゃなく、軽く日焼けしている程度の肌だ。肌の白いエルフ族もいるようだが、アイシャ達は見たことが無いと言っている。
長身で赤い長い髪を後ろでまとめてポニーテールにしている。冒険者のようだが、最小限の軽鎧で民族的な衣装だな。
武器を持っての戦闘が得意な種族のようで、鋭い眼光をし両手に持つ剣から火魔法を飛ばしているぞ。
「魔法剣士で二刀流とは厄介だな」
ダークエルフの相手は3人組のチーム。槍を持ち馬に乗った騎士がふたり……戦力は7対1かよ。それでも魔法と素早い動きで相手を翻弄し、剣で止めを刺している。
相当戦闘慣れしているようだな。
ダークエルフのお姉さんは強い、こんな不利な状況でも圧倒的な勝利を収めた。この相手との午後からの試合、少し作戦を練らないと厳しそうだぞ。
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