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第12章 ラグナロク-神との戦い-
第137話 進撃開始
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三機の爆撃機にリビティナ、フィフィロ、ウィッチアが乗り込み、一直線に伸びた前線基地の端からブースターで加速し、反対側に飛び出して行く。軌道ステーションはほぼ真上。外に出ると同時にビームを撃って来た。
「防御はボク達に任せて、マイヤドベガは前方の移動兵器を叩いてくれるかな」
「了解した」
「さあ、俺達も中距離ミサイルでリビティナ様を支援するぞ」
「はい、ネイトスさん。あの地上を走る機械を壊せばいいんですね」
「そうだ。それと牽制でメインシャフトへも攻撃を仕掛けるぞ。但し直接当てるなよ、あくまで牽制だからな」
前線基地から白い煙の尾を引いて、中距離ミサイルが発射されていく。ステーションが迎撃をしている隙に戦闘機を発艦させて、押し寄せる移動兵器を叩く。今地上にいる兵器を全て破壊すればこれ以上増援が来る事はない。
「さすがにさっきのように、頭上からビームは撃って来ませんな」
「君達戦闘機は、ゲジゲジを殲滅したら前線基地まで帰ってくれていいからね」
「了解しました、リビティナ様。一匹残らず破壊して見せますよ」
長距離ミサイルの発射準備をする際にあの兵器は邪魔になるからね。発射地点に到着するまでに殲滅しておきたい。
「それじゃリビティナ。ワタシは左に展開するからね」
「よろしく頼むよ、ウィッチア」
「フィフィロは右よ。一人になるけど頑張んなさい」
「はい、任せてください」
発射地点を分散させるため、左右に大きく展開する。爆撃機の上方に魔法の防御壁を張りながら三十キロの戦場を移動していく。
「減速するぞ、何かに掴まれ!」
攻撃を避けるため、ブースターを使って急加速と急減速を行なう。爆撃機前方に短距離ミサイルの逆噴射の炎が伸びる。
ミサイルの燃料が尽きた頃には、爆撃機の速度はゼロに近くなっていた。
「よし。ここに着陸して長距離ミサイルの搬出を行なうよ」
爆撃機全体を覆うようにドーム状の防壁を張って、工兵たちがミサイルを運び出す。
「あの女は容赦がないね」
停止した爆撃機目掛けてビームを連続で撃ち込んでくる。前線基地からのミサイル攻撃が陽動となり、砲撃の数は少なくなっているはずだけど次々にビームが降ってくるじゃないか。
「間もなく準備完了します。リビティナ様、もう少し頑張ってください」
ミサイルが次々に発射台にセットされていく。今回も飽和攻撃を行なうため三ヶ所同時に全弾を撃ち尽くす予定だ。それまでここを持ちこたえさせないと。
「僕も防壁の一部を担います。姉様、頑張ってください」
フィフィロ達に比べたら魔力量が劣るリビティナには、イコルティが付いてくれている。これなら魔力切れになる事もない。
「リビティナよ。ワレはミサイル発射と同時にメインシャフトへと突っ込む。後は任せたぞ」
「ああ、最後はあんたの兵器が物をいうんだからね。頑張ってくれよ」
「誰にものを言っておる。お前も死なん程度に頑張れ」
メインシャフト近くに行けば、設置された防御兵器からの攻撃もあるだろう。それをかい潜ってもらわないといけない。その陽動も兼ねてミサイル発射と同時に突撃してもらう。
「リビティナ様、準備完了しました」
「ウィッチアの方はどうだい?」
「こっちはばっちりよ、フィフィロはどうなのよ」
「もう少し待ってください……。はい、準備完了です」
無線で呼び合い、状況を確認する。
「よし、最終作戦を開始するよ」
三方に分かれた位置から一斉に、ミサイルが軌道ステーションを目掛けて発射された。それと同時にマイヤドベガの機動兵器がメインシャフトに向かって、足のホバージェットを使い地面から少し浮かび上がって高速で走っていく。前線基地からもメインシャフトに向かいミサイルが発射された。
今まで続いていたビーム攻撃が止んだ。全砲門を迎撃のために向けたんだろうね。
「さあ、今のうちに爆撃機に乗って基地まで帰るよ」
大空の彼方に向かって白い煙が何条も伸びていく。もうボク達にできる事はない、撤収するよ。
「リビティナ様。上空に赤い光がいくつも見えます」
「多分、ミサイルが迎撃されているんだろうね。一、二発でも当たってくれればいいんだけど」
後方を見ながら、軽くなった爆撃機が速度を上げる。
数分後、ステーションからのビーム砲が地上に発射されだした。やはり迎撃されたのか、ステーションは健在のようだ。
「よくやってくれた、リビティナよ。これより、ステーションを攻撃するぞ」
少し興奮気味の、マイヤドベガの声が通信機から聞えて来た。それと同時に女性の声も……。これは空にいたあの女の声だ。
「マイヤドベガよ、何をしているのか理解できているのか。ここには貴重なこの星での研究成果が保存されているのだぞ」
「キメラとなるための研究であろう。そのような物はもう必要ない」
「我ら同胞の受精卵の半数が保管されているこの場所を破壊しようと言うのか。やはりお前は狂っておるな」
「狂っておるのはお前の方であろう。お前達の人類復興計画など実現させはせぬぞ」
「これは歴代の管理者によって計画されたものだ。貴様に妨害する権利はない」
「そうか。だがこれで終わりだ、リアアルタイルよ。歴代最短で死ぬお前の名は覚えておいてやるぞ」
「止めろ、止めるんだ、マイヤドベガ!! お前のやろうとしている事は、我ら人類とこの星にとって……」
そこで通信が途切れて、上空のステーションがあった位置に真っ赤な光が輝いた。動力源を撃ち抜かれた軌道ステーションが崩壊していく。それを見た戦線基地のみんなも、ぞろぞろと外に出て来て天を仰ぐ。
「リビティナ様。ステーションが……。我々は空の神に勝ったのですね」
「ああ、みんなよくやってくれた。これでこの世界は救われたよ。本当によくやってくれたね」
無謀とも思えた神との戦いに勝利することができた。これで人間化する疫病も消滅していくだろう。本当にみんなありがとう!
「防御はボク達に任せて、マイヤドベガは前方の移動兵器を叩いてくれるかな」
「了解した」
「さあ、俺達も中距離ミサイルでリビティナ様を支援するぞ」
「はい、ネイトスさん。あの地上を走る機械を壊せばいいんですね」
「そうだ。それと牽制でメインシャフトへも攻撃を仕掛けるぞ。但し直接当てるなよ、あくまで牽制だからな」
前線基地から白い煙の尾を引いて、中距離ミサイルが発射されていく。ステーションが迎撃をしている隙に戦闘機を発艦させて、押し寄せる移動兵器を叩く。今地上にいる兵器を全て破壊すればこれ以上増援が来る事はない。
「さすがにさっきのように、頭上からビームは撃って来ませんな」
「君達戦闘機は、ゲジゲジを殲滅したら前線基地まで帰ってくれていいからね」
「了解しました、リビティナ様。一匹残らず破壊して見せますよ」
長距離ミサイルの発射準備をする際にあの兵器は邪魔になるからね。発射地点に到着するまでに殲滅しておきたい。
「それじゃリビティナ。ワタシは左に展開するからね」
「よろしく頼むよ、ウィッチア」
「フィフィロは右よ。一人になるけど頑張んなさい」
「はい、任せてください」
発射地点を分散させるため、左右に大きく展開する。爆撃機の上方に魔法の防御壁を張りながら三十キロの戦場を移動していく。
「減速するぞ、何かに掴まれ!」
攻撃を避けるため、ブースターを使って急加速と急減速を行なう。爆撃機前方に短距離ミサイルの逆噴射の炎が伸びる。
ミサイルの燃料が尽きた頃には、爆撃機の速度はゼロに近くなっていた。
「よし。ここに着陸して長距離ミサイルの搬出を行なうよ」
爆撃機全体を覆うようにドーム状の防壁を張って、工兵たちがミサイルを運び出す。
「あの女は容赦がないね」
停止した爆撃機目掛けてビームを連続で撃ち込んでくる。前線基地からのミサイル攻撃が陽動となり、砲撃の数は少なくなっているはずだけど次々にビームが降ってくるじゃないか。
「間もなく準備完了します。リビティナ様、もう少し頑張ってください」
ミサイルが次々に発射台にセットされていく。今回も飽和攻撃を行なうため三ヶ所同時に全弾を撃ち尽くす予定だ。それまでここを持ちこたえさせないと。
「僕も防壁の一部を担います。姉様、頑張ってください」
フィフィロ達に比べたら魔力量が劣るリビティナには、イコルティが付いてくれている。これなら魔力切れになる事もない。
「リビティナよ。ワレはミサイル発射と同時にメインシャフトへと突っ込む。後は任せたぞ」
「ああ、最後はあんたの兵器が物をいうんだからね。頑張ってくれよ」
「誰にものを言っておる。お前も死なん程度に頑張れ」
メインシャフト近くに行けば、設置された防御兵器からの攻撃もあるだろう。それをかい潜ってもらわないといけない。その陽動も兼ねてミサイル発射と同時に突撃してもらう。
「リビティナ様、準備完了しました」
「ウィッチアの方はどうだい?」
「こっちはばっちりよ、フィフィロはどうなのよ」
「もう少し待ってください……。はい、準備完了です」
無線で呼び合い、状況を確認する。
「よし、最終作戦を開始するよ」
三方に分かれた位置から一斉に、ミサイルが軌道ステーションを目掛けて発射された。それと同時にマイヤドベガの機動兵器がメインシャフトに向かって、足のホバージェットを使い地面から少し浮かび上がって高速で走っていく。前線基地からもメインシャフトに向かいミサイルが発射された。
今まで続いていたビーム攻撃が止んだ。全砲門を迎撃のために向けたんだろうね。
「さあ、今のうちに爆撃機に乗って基地まで帰るよ」
大空の彼方に向かって白い煙が何条も伸びていく。もうボク達にできる事はない、撤収するよ。
「リビティナ様。上空に赤い光がいくつも見えます」
「多分、ミサイルが迎撃されているんだろうね。一、二発でも当たってくれればいいんだけど」
後方を見ながら、軽くなった爆撃機が速度を上げる。
数分後、ステーションからのビーム砲が地上に発射されだした。やはり迎撃されたのか、ステーションは健在のようだ。
「よくやってくれた、リビティナよ。これより、ステーションを攻撃するぞ」
少し興奮気味の、マイヤドベガの声が通信機から聞えて来た。それと同時に女性の声も……。これは空にいたあの女の声だ。
「マイヤドベガよ、何をしているのか理解できているのか。ここには貴重なこの星での研究成果が保存されているのだぞ」
「キメラとなるための研究であろう。そのような物はもう必要ない」
「我ら同胞の受精卵の半数が保管されているこの場所を破壊しようと言うのか。やはりお前は狂っておるな」
「狂っておるのはお前の方であろう。お前達の人類復興計画など実現させはせぬぞ」
「これは歴代の管理者によって計画されたものだ。貴様に妨害する権利はない」
「そうか。だがこれで終わりだ、リアアルタイルよ。歴代最短で死ぬお前の名は覚えておいてやるぞ」
「止めろ、止めるんだ、マイヤドベガ!! お前のやろうとしている事は、我ら人類とこの星にとって……」
そこで通信が途切れて、上空のステーションがあった位置に真っ赤な光が輝いた。動力源を撃ち抜かれた軌道ステーションが崩壊していく。それを見た戦線基地のみんなも、ぞろぞろと外に出て来て天を仰ぐ。
「リビティナ様。ステーションが……。我々は空の神に勝ったのですね」
「ああ、みんなよくやってくれた。これでこの世界は救われたよ。本当によくやってくれたね」
無謀とも思えた神との戦いに勝利することができた。これで人間化する疫病も消滅していくだろう。本当にみんなありがとう!
応援ありがとうございます!
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