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【番外編】砂漠前のひととき
【番外編20】これからのこと
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死の砂漠に立ち入る前日。
小さな宿屋で夕食を摂っていた時のこと。
机には僕、レイクさん、リラ、キラーリアさんの4人。
アル様とダルトさんは別の席。やたらでっかいジョッキでビールを飲んでいる。
リリィもアル様達と一緒。さすがにこちらの飲み物はジュースだけど。
サンドイッチをパクつきながら、僕が言う。
「今更なんですけど、なんでエルフや龍族を訪ねるんですか?」
僕の問いに、レイクさんはあきれ顔。
「本当に今更ですね……」
「だって、なんとなく聞きにくくて」
今なら他に客も宿の従業員も近くにいない。
「最初に申し上げたとおり、アル様を即位させるための後ろ盾になってもらうためですよ」
「ですけど、龍族やエルフに後ろ盾になってもらったからって、上手くいくものなんですか? 亜人種の意見が王位継承問題に影響を与えるとは思えないんですけど」
気になるのはそこだ。
国王はあくまでも人族の王。
龍族だろうが、エルフだろうが、あるいは獣人やドワーフだろうが、亜人種の意見が即位に影響を与えるとは思えない。
「確かにおっしゃるとおりです。が、龍族は特別なんですよ」
「特別?」
「はい。端的に言って、彼らは強いんです」
うわ、本当に端的。
「強いって……僕やアル様の力とか、キラーリアさんの剣術とかと比べてもですか?」
いや、僕は自分が強いなんて思っていないけど、でも馬鹿力はある。
「龍族は2つの形態を取ります。1つは人。もう1つはドラゴン」
つまり、必要に応じて人の姿と、ドラゴンの姿に変身できるということらしい。
「人の形態でもアル様と同じくらいの力を持ちますが、その真価はドラゴンの形態です。全長100メートルの巨体。浄化の炎の他に天候まで操ると言われています」
浄化の炎――リラが吐いたアレか。
「他にも、稲妻や火炎などを操ることもできるとか。リラさんも浄化の炎以外の力も目覚めれば、相当な戦力になりますよ」
話を振られたリラは肩をすくめる。
「獣人の因子は、あくまでもその生物の力の一部を引き継ぐだけだから。さすがにドラゴン形態に自分がなれるとは思えないけどね」
もしも、リラがドラゴンに変身したら――うん、かっこよさそうだけど、ちょっと恐いかな。
「いずれにせよ、龍族は他の亜人種と違って、その気になれば人族を滅ぼす力を持っています。現在は死の砂漠の中央、エインゼルの森林の中のドラゴンレイクから動こうとしませんが、もしも彼らと何らかの渡りをつけられれば、その功績は非常に大きい」
うーん、でもそれって都合良すぎない?
そう思ったのはリラもらしい。
「だけど、龍族やエルフがアル様と手を組む理由がない気がするんだけど?」
問題はそこだ。
エルフや龍族が砂漠の真ん中に住むのは、人族との接触を避けるためだろう。
何故人族を避けるのかは分からないが、いずれにしても王位継承問題なんかには関わりたがらないのではないか。
「そこは、実際に会ってみないとなんとも言えませんね。ただ、諸侯連立はいずれエインゼルの森林にも侵攻するつもりです。それを阻止するためにアル様を即位させることは、彼らにとっても意義があるでしょう」
うーん、なんか、やっぱり都合良すぎる考え方だと思えるなぁ。
「正直に言いますとね、他にあてがないんですよ。現状アル様が即位される可能性は0に等しい。あと3年以内に一発逆転を狙うには、龍族の力を得たくらいのインパクトが必要です。
もちろん、他にもいくつか手は打っていますが、龍族との交渉が上手くいかなければ全て水泡に帰するでしょう」
うーん、かなり分が悪いってことか。
そこまで話したとき、リラが話題を変えた。
「ところで、エルフと龍族ってどういう関係なの?」
「エルフは龍族の守護者と言われています」
「でも、龍族って強いんでしょ? エルフはもっと強いの?」
「エルフは強力な魔法を使いますが、単純な戦いならば龍族の方が強いでしょうね」
じゃあ、なんで守護者なんて……
「私もアル様の守護者ですが、単純な戦闘においては足下にも及びません。ですがアル様のお役に立っているつもりですよ」
なるほど。
つまり、単純な戦闘力だけでなく、頭脳で貢献する道もあると。
「エルフの場合、頭脳ではなく魔法でしょうね。そもそも、エインゼルの森林を維持し、ドラゴンレイクの水を保ち続けるためには、エルフの莫大な魔力が必要らしいですし」
なるほど。
「いずれにせよ、我々はこれから砂漠を越え、エインゼルの森林に向かいます。そこで龍族と手を結べればそれでよし。それが無理でもいったん王都に帰ることになるでしょう」
「何故ですか?」
「すでに王都を発ってから半年近く旅をしています。ここらで王都に戻らないと、それこそアル様死亡説などを流されかねません。
それに、龍族の力を借りられないならば、別の方針を立てる必要も出てきます」
別の方針、か。
「他にもあてがあるんですか?」
「まあ、色々と」
レイクさんはそれ以上は言葉を濁した。
正直、前途多難という気がしてくる。
が、お母さんを助けるためにはアル様に女王になってもらわなければならない。
「えっと、とりあえず僕はついていけばいいんですか?」
「そうですね。砂漠には魔物が出るそうですから、その戦闘には力を貸していただけると助かります。
その後は、先にも伝えましたとおり、エルフや龍族は魔力の量で相手の価値を計ろうとします。パドくんの200倍の魔力に期待したいですね」
正直、あんまり期待されてもなぁ。
確かに僕は莫大な魔力を秘めているのかもしれないけど、使える魔法はルシフに与えられたものだけだ。そして、できるだけアイツの魔法は使いたくない。
いずれにせよ、これからの方針として、大きくは、
1.龍族にあって後ろ盾になってもらう。
2.王都に行ってアル様を王位継承者として擁立する。
といった流れになる。
正直、僕が役に立てるかどうかはかなり微妙に感じるが、できる限りのことはしよう。お母さんのためにも。
小さな宿屋で夕食を摂っていた時のこと。
机には僕、レイクさん、リラ、キラーリアさんの4人。
アル様とダルトさんは別の席。やたらでっかいジョッキでビールを飲んでいる。
リリィもアル様達と一緒。さすがにこちらの飲み物はジュースだけど。
サンドイッチをパクつきながら、僕が言う。
「今更なんですけど、なんでエルフや龍族を訪ねるんですか?」
僕の問いに、レイクさんはあきれ顔。
「本当に今更ですね……」
「だって、なんとなく聞きにくくて」
今なら他に客も宿の従業員も近くにいない。
「最初に申し上げたとおり、アル様を即位させるための後ろ盾になってもらうためですよ」
「ですけど、龍族やエルフに後ろ盾になってもらったからって、上手くいくものなんですか? 亜人種の意見が王位継承問題に影響を与えるとは思えないんですけど」
気になるのはそこだ。
国王はあくまでも人族の王。
龍族だろうが、エルフだろうが、あるいは獣人やドワーフだろうが、亜人種の意見が即位に影響を与えるとは思えない。
「確かにおっしゃるとおりです。が、龍族は特別なんですよ」
「特別?」
「はい。端的に言って、彼らは強いんです」
うわ、本当に端的。
「強いって……僕やアル様の力とか、キラーリアさんの剣術とかと比べてもですか?」
いや、僕は自分が強いなんて思っていないけど、でも馬鹿力はある。
「龍族は2つの形態を取ります。1つは人。もう1つはドラゴン」
つまり、必要に応じて人の姿と、ドラゴンの姿に変身できるということらしい。
「人の形態でもアル様と同じくらいの力を持ちますが、その真価はドラゴンの形態です。全長100メートルの巨体。浄化の炎の他に天候まで操ると言われています」
浄化の炎――リラが吐いたアレか。
「他にも、稲妻や火炎などを操ることもできるとか。リラさんも浄化の炎以外の力も目覚めれば、相当な戦力になりますよ」
話を振られたリラは肩をすくめる。
「獣人の因子は、あくまでもその生物の力の一部を引き継ぐだけだから。さすがにドラゴン形態に自分がなれるとは思えないけどね」
もしも、リラがドラゴンに変身したら――うん、かっこよさそうだけど、ちょっと恐いかな。
「いずれにせよ、龍族は他の亜人種と違って、その気になれば人族を滅ぼす力を持っています。現在は死の砂漠の中央、エインゼルの森林の中のドラゴンレイクから動こうとしませんが、もしも彼らと何らかの渡りをつけられれば、その功績は非常に大きい」
うーん、でもそれって都合良すぎない?
そう思ったのはリラもらしい。
「だけど、龍族やエルフがアル様と手を組む理由がない気がするんだけど?」
問題はそこだ。
エルフや龍族が砂漠の真ん中に住むのは、人族との接触を避けるためだろう。
何故人族を避けるのかは分からないが、いずれにしても王位継承問題なんかには関わりたがらないのではないか。
「そこは、実際に会ってみないとなんとも言えませんね。ただ、諸侯連立はいずれエインゼルの森林にも侵攻するつもりです。それを阻止するためにアル様を即位させることは、彼らにとっても意義があるでしょう」
うーん、なんか、やっぱり都合良すぎる考え方だと思えるなぁ。
「正直に言いますとね、他にあてがないんですよ。現状アル様が即位される可能性は0に等しい。あと3年以内に一発逆転を狙うには、龍族の力を得たくらいのインパクトが必要です。
もちろん、他にもいくつか手は打っていますが、龍族との交渉が上手くいかなければ全て水泡に帰するでしょう」
うーん、かなり分が悪いってことか。
そこまで話したとき、リラが話題を変えた。
「ところで、エルフと龍族ってどういう関係なの?」
「エルフは龍族の守護者と言われています」
「でも、龍族って強いんでしょ? エルフはもっと強いの?」
「エルフは強力な魔法を使いますが、単純な戦いならば龍族の方が強いでしょうね」
じゃあ、なんで守護者なんて……
「私もアル様の守護者ですが、単純な戦闘においては足下にも及びません。ですがアル様のお役に立っているつもりですよ」
なるほど。
つまり、単純な戦闘力だけでなく、頭脳で貢献する道もあると。
「エルフの場合、頭脳ではなく魔法でしょうね。そもそも、エインゼルの森林を維持し、ドラゴンレイクの水を保ち続けるためには、エルフの莫大な魔力が必要らしいですし」
なるほど。
「いずれにせよ、我々はこれから砂漠を越え、エインゼルの森林に向かいます。そこで龍族と手を結べればそれでよし。それが無理でもいったん王都に帰ることになるでしょう」
「何故ですか?」
「すでに王都を発ってから半年近く旅をしています。ここらで王都に戻らないと、それこそアル様死亡説などを流されかねません。
それに、龍族の力を借りられないならば、別の方針を立てる必要も出てきます」
別の方針、か。
「他にもあてがあるんですか?」
「まあ、色々と」
レイクさんはそれ以上は言葉を濁した。
正直、前途多難という気がしてくる。
が、お母さんを助けるためにはアル様に女王になってもらわなければならない。
「えっと、とりあえず僕はついていけばいいんですか?」
「そうですね。砂漠には魔物が出るそうですから、その戦闘には力を貸していただけると助かります。
その後は、先にも伝えましたとおり、エルフや龍族は魔力の量で相手の価値を計ろうとします。パドくんの200倍の魔力に期待したいですね」
正直、あんまり期待されてもなぁ。
確かに僕は莫大な魔力を秘めているのかもしれないけど、使える魔法はルシフに与えられたものだけだ。そして、できるだけアイツの魔法は使いたくない。
いずれにせよ、これからの方針として、大きくは、
1.龍族にあって後ろ盾になってもらう。
2.王都に行ってアル様を王位継承者として擁立する。
といった流れになる。
正直、僕が役に立てるかどうかはかなり微妙に感じるが、できる限りのことはしよう。お母さんのためにも。
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