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第六部 少年はかくて勇者と呼ばれけり 第一章 反撃ののろし
4.5種族代表者達との対面
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ゴクリっと、僕はつばを飲み込む。
僕が入った部屋には、エルフと龍族の長(おさ)や指導者達、さらにこの地に避難してきた人族や獣人、ドワーフの代表者がいる。
かつて一度、僕はここで龍族やエルフの長達と面会したことがある。
だけど、あの時と今とでは違う。あの時はアル様がこちらの代表で、レイクさんが参謀みたいなかんじだった。今思えば僕とリラは金魚の糞のごとくくっついてきただけだ。
もはやアル様やレイクさんはいない。リラは僕の後ろに控えているが。
長達との交渉は、僕自身でおこなわなければならない。
エルフの長リーリアンさんが言う。
「なるほど、報告は受けていたがこの目で見ると驚く。真《まこと》に8年前とおなじ姿ではないか」
龍族の長も頷く。
「然り。そも人族の子どもとは成長が早いもの。そなたらが異世界にて時間の壁を越えたという話、信じるしかあるまい」
さて、何から話すべきか。
「まずは、父をはじめとして人族をこの地に受け入れてくれたことにお礼を言います」
僕が言うが、リーリアンさんは興味なさげに言う。
「それはすでにすんだこと。今更そなたに礼を言われる筋ではない」
そして、ドワーフの長が口を開く。
「そんなコトよりよぉ、神託のガキ。お前は今更何をしに現れたんだ?」
明らかに僕に敵意――いや、警戒心を向けているドワーフの長。
だからこそ、僕はハッキリ、まっすぐ前を向いて答えた。
「『闇の女王』を破壊して世界を救うために」
その言葉に、その場がシンと静まりかえり、そしてすぐにドワーフの長の笑い声が響く。
「はははっ、こりゃ傑作だ。こんなチビのガキが、世界を救ってくれるとよ。ありがてえこってなっ!」
その言葉には強い嘲りが含まれていた。
彼はひとしきり笑った後、僕の方にぐいっと近づき言う。
「人族のぼっちゃんよぉ、こっちはすでに調べているんだぜ。『闇の女王』が降臨した最大の因子となったのはお前さんだろう。その直後に動くならともかく、8年も雲隠れして、ここまで被害が広がってから、『世界を救ってやる』だと?
そいつぁ、チーッとばかり嘗めすぎじゃねぇか? 『闇の女王』のことも、俺らのこともな」
分かっている。
客観的に見れば、僕は8年前世界を地獄にたたき落とした戦犯で、しかも自らの意思ではないとはいえ自分だけ平和で安全な世界を謳歌していたのだ。
彼らとしてみれば、イヤミの一つや二つ言いたいだろう。
「だからこそ、責任をとるために僕とリラはここに戻ってきました。この世界の人々を救ってみせます」
かつてお師匠様や教皇が僕を救ってくれたように。
いまでも稔があの島でおこなっているように。
僕も救える人々を救いたい。
まっすぐに向いたまま言う僕に、ドワーフの長はフンと鼻をならしつつも、それ以上は口を開かなかった。
次に口を開いたのは老齢な人族の代表者。おそらく王家の人でも貴族でもなさそう。この地に逃げ込んだ人々の中で最年長の男性といったところか。
「一つ聞きたいのだがね、坊や」
「はい」
「『闇の女王』を倒すと言うが、いったいどうやって倒すつもりだね?」
「僕には神から授かった200倍の力と魔力、魔法、そしてヤツに関する知識があります。それを使ってヤツを倒します」
その言葉に、5人の代表者達は各々反応を見せた。
目を細める者、僕らをにらみつける者、天井を仰ぎ見る者、一見無表情の者。
だが共通するのは、そんなことは不可能だという思いだったのだろう。
龍族の長が代表して言う。
「そなたがかつてこの地に襲来した『闇』を倒したことは記憶している。だが、現在『闇の女王』の周囲には比較にならぬほどの『闇』と我が同胞であった『闇の龍』がいる。
そなたがそこにツッコんで行ったところで、『闇の女王』にたどり着くより前に、そなた自身が『闇』とされることであろう」
それは道理だった。
空を飛ぶこともできない僕が、『闇』や『闇の龍』に護られた『闇の女王』にたどり着くことなんてできない。
「僕はリラに乗ります」
その言葉に、代表者達は意味不明とばかりの顔をする。
その反応に対して、リラは自ら語った。
「私は人族と獣人のハーフにして、龍族の因子を持つものです」
その言葉に、特に獣人の代表者が眉をしかめる。リラが禁忌の子どもであると理解したからだろう。
だが、この場ではそのことについてなにも言わなかった。
代わりに龍族の長が言う。
「我ら龍族も、これまでに何度か数体の同胞を送り込んで『闇の女王』と対峙しようとした。だが、現実それすら叶わす、同胞を『闇』に堕としただけであった。
仮にそこの少女がドラゴンに変身しそなたを運ぼうとしたとて、同じ結果にしかなるまいよ」
それもその通りだ。
だから、彼らの協力がいるのだ。
「これまでは数体の龍族だけを送り込んだのでしょう? 次は全ての龍族の力を結集して、『闇の女王』の周囲の『闇』や『闇の龍』を浄化してください。その間に、僕は『闇の女王』内部に侵入します」
デオスから授かった『闇の女王』内部の情報。
そこには間違いなく、『闇の震源』たるヤツがいる。
ヤツさえ倒せれば、この状況を逆転できる。
逆に言えば、それしか方法はない。
だが、僕の提案に、龍族の長は顔をしかめる。
「そなたは我ら龍族に種族の存亡を賭けよと言うのか?」
「はい」
「龍族がこの地を離れ、その間にこの地のエルフや他種族達が襲われるリスクも承知してのことか?」
「はい」
「もしも、全ての龍族が『闇の龍』と化せば、その時こそ世界は本当の終焉を迎える。それも理解してのことか?」
「はい。他に、取れる手はありません。もう戦力の出し惜しみをしている時じゃない」
連続で放たれる質問に、僕はまっすぐ答える。
僕には、レイクさんみたいな腹芸はできない。
アル様みたいなカリスマもない。
だから、できるのはまっすぐ、正直に語ることだけだ。
「そなたの言葉には確かに真《まこと》がある。
だが我らにも我らの都合があることも事実。明日の朝まで回答は保留とさせてもらおう」
それだけ言うと龍族の長は黙想に入り、他の長達は自らの種族と話し合いに出て行くのであった。
僕が入った部屋には、エルフと龍族の長(おさ)や指導者達、さらにこの地に避難してきた人族や獣人、ドワーフの代表者がいる。
かつて一度、僕はここで龍族やエルフの長達と面会したことがある。
だけど、あの時と今とでは違う。あの時はアル様がこちらの代表で、レイクさんが参謀みたいなかんじだった。今思えば僕とリラは金魚の糞のごとくくっついてきただけだ。
もはやアル様やレイクさんはいない。リラは僕の後ろに控えているが。
長達との交渉は、僕自身でおこなわなければならない。
エルフの長リーリアンさんが言う。
「なるほど、報告は受けていたがこの目で見ると驚く。真《まこと》に8年前とおなじ姿ではないか」
龍族の長も頷く。
「然り。そも人族の子どもとは成長が早いもの。そなたらが異世界にて時間の壁を越えたという話、信じるしかあるまい」
さて、何から話すべきか。
「まずは、父をはじめとして人族をこの地に受け入れてくれたことにお礼を言います」
僕が言うが、リーリアンさんは興味なさげに言う。
「それはすでにすんだこと。今更そなたに礼を言われる筋ではない」
そして、ドワーフの長が口を開く。
「そんなコトよりよぉ、神託のガキ。お前は今更何をしに現れたんだ?」
明らかに僕に敵意――いや、警戒心を向けているドワーフの長。
だからこそ、僕はハッキリ、まっすぐ前を向いて答えた。
「『闇の女王』を破壊して世界を救うために」
その言葉に、その場がシンと静まりかえり、そしてすぐにドワーフの長の笑い声が響く。
「はははっ、こりゃ傑作だ。こんなチビのガキが、世界を救ってくれるとよ。ありがてえこってなっ!」
その言葉には強い嘲りが含まれていた。
彼はひとしきり笑った後、僕の方にぐいっと近づき言う。
「人族のぼっちゃんよぉ、こっちはすでに調べているんだぜ。『闇の女王』が降臨した最大の因子となったのはお前さんだろう。その直後に動くならともかく、8年も雲隠れして、ここまで被害が広がってから、『世界を救ってやる』だと?
そいつぁ、チーッとばかり嘗めすぎじゃねぇか? 『闇の女王』のことも、俺らのこともな」
分かっている。
客観的に見れば、僕は8年前世界を地獄にたたき落とした戦犯で、しかも自らの意思ではないとはいえ自分だけ平和で安全な世界を謳歌していたのだ。
彼らとしてみれば、イヤミの一つや二つ言いたいだろう。
「だからこそ、責任をとるために僕とリラはここに戻ってきました。この世界の人々を救ってみせます」
かつてお師匠様や教皇が僕を救ってくれたように。
いまでも稔があの島でおこなっているように。
僕も救える人々を救いたい。
まっすぐに向いたまま言う僕に、ドワーフの長はフンと鼻をならしつつも、それ以上は口を開かなかった。
次に口を開いたのは老齢な人族の代表者。おそらく王家の人でも貴族でもなさそう。この地に逃げ込んだ人々の中で最年長の男性といったところか。
「一つ聞きたいのだがね、坊や」
「はい」
「『闇の女王』を倒すと言うが、いったいどうやって倒すつもりだね?」
「僕には神から授かった200倍の力と魔力、魔法、そしてヤツに関する知識があります。それを使ってヤツを倒します」
その言葉に、5人の代表者達は各々反応を見せた。
目を細める者、僕らをにらみつける者、天井を仰ぎ見る者、一見無表情の者。
だが共通するのは、そんなことは不可能だという思いだったのだろう。
龍族の長が代表して言う。
「そなたがかつてこの地に襲来した『闇』を倒したことは記憶している。だが、現在『闇の女王』の周囲には比較にならぬほどの『闇』と我が同胞であった『闇の龍』がいる。
そなたがそこにツッコんで行ったところで、『闇の女王』にたどり着くより前に、そなた自身が『闇』とされることであろう」
それは道理だった。
空を飛ぶこともできない僕が、『闇』や『闇の龍』に護られた『闇の女王』にたどり着くことなんてできない。
「僕はリラに乗ります」
その言葉に、代表者達は意味不明とばかりの顔をする。
その反応に対して、リラは自ら語った。
「私は人族と獣人のハーフにして、龍族の因子を持つものです」
その言葉に、特に獣人の代表者が眉をしかめる。リラが禁忌の子どもであると理解したからだろう。
だが、この場ではそのことについてなにも言わなかった。
代わりに龍族の長が言う。
「我ら龍族も、これまでに何度か数体の同胞を送り込んで『闇の女王』と対峙しようとした。だが、現実それすら叶わす、同胞を『闇』に堕としただけであった。
仮にそこの少女がドラゴンに変身しそなたを運ぼうとしたとて、同じ結果にしかなるまいよ」
それもその通りだ。
だから、彼らの協力がいるのだ。
「これまでは数体の龍族だけを送り込んだのでしょう? 次は全ての龍族の力を結集して、『闇の女王』の周囲の『闇』や『闇の龍』を浄化してください。その間に、僕は『闇の女王』内部に侵入します」
デオスから授かった『闇の女王』内部の情報。
そこには間違いなく、『闇の震源』たるヤツがいる。
ヤツさえ倒せれば、この状況を逆転できる。
逆に言えば、それしか方法はない。
だが、僕の提案に、龍族の長は顔をしかめる。
「そなたは我ら龍族に種族の存亡を賭けよと言うのか?」
「はい」
「龍族がこの地を離れ、その間にこの地のエルフや他種族達が襲われるリスクも承知してのことか?」
「はい」
「もしも、全ての龍族が『闇の龍』と化せば、その時こそ世界は本当の終焉を迎える。それも理解してのことか?」
「はい。他に、取れる手はありません。もう戦力の出し惜しみをしている時じゃない」
連続で放たれる質問に、僕はまっすぐ答える。
僕には、レイクさんみたいな腹芸はできない。
アル様みたいなカリスマもない。
だから、できるのはまっすぐ、正直に語ることだけだ。
「そなたの言葉には確かに真《まこと》がある。
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