僕らはロボットで宇宙《そら》を駆ける

ななくさ ゆう

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第五章 本当の戦い

17.実戦と恐怖

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 現在、ソラの機体は接近専用にカスタマイズされている。
 2本のソードとスピード重視。
 もちろん、実戦を想定していたわけではない。
 ソラはヒガンテに向かって1本のソードを構えた。
 ヒガンテは再びエネルギーを集中しはじめている。
 ソラの構えるソードがヒガンテの表層を切り刻む。

(いける!!)

 ソードはヒガンテの硬い外装に突き刺ささった。

「どうだ!!」

 ソードはヒガンテの中心部に達している。
 まともな生き物ならこれで、死ぬだろう。
 もっとも、真空空間をうごめくこのバケモノがまともな生き物であるかどうか、ソラにはいまいち自信が持てなかったが。。

 ソラはソードをヒガンテから引き抜こうとし……

(抜けない!?)

 ソードが突き刺さったままぬけなかった。
 次の瞬間。

『ソラさん!!』

 トモ・エの叫び声が聞こえる。

(え?)

 思ういとまもあらばこそ。
 ヒガンテが変形をはじめた。
 それまで、岩のようないびつな球体だったものから、まるで巨大な人間の手のようなものが生えだしたのだ。

(く、くそ)

 ソラは慌ててソードを抜こうとするが、まったく抜けない。
 本来なら、ソラはこのとき『時間制止』を使って状況を判断するべきでのだろう。
 そして、ソードを抜けなくなった捨て、速やかに離脱すべきだった。

 だが、いきなりの実戦で、冷静なようだったソラも混乱していた。

 ただ、ひたすらにソードを抜くことにこだわり――
 ――その結果、ソラの機体はヒガンテの巨大な手に掴まれてしまった。

 ---------------

 舞子は動くことができないでいた。
 船に逃げ帰ることも、ソラを助けに行くことも。

(助けなきゃ……このままじゃ、ソラは……)

 そう思うのだが、身体が動かない。
 あのバケモノに自分が向かっていく姿がどうしてもイメージできない。
 かといって、逃げ出すことも出来ず、舞子はただソラがヒガンテの腕に握りつぶされようとする姿を見守り続けることしか出来なかった。

 ---------------

 ソラの機体のモニターに次々と赤いランプが灯る。
 さらに、警告音が鳴り響き、機体がつぶれようとするギシギシという音も聞こえてきた。

「く……このままじゃ……」

 ソラはがむしゃらにコントロールレバーを動かしてみるが、ヒガンテの締め付け力が強すぎて、機体はまるで動かない。

「た、助けて……お母さん、お父さん」

 ソラは今更ながらに恐怖を覚えた。
 モニターの赤ランプがどんどん増え、警告音も大きくなる。

(だめ、もう機体がもたない……)

 そして、ソラはついに意識した。

(死……)

 それを意識して、ソラは叫び声を上げた。

「う、うわああぁぁぁぁぁ」

 その、次の瞬間だった。

『何やっているんだ、バカヤロー!!』

 通信機越しに叫び声が聞こえた。

 ---------------

 アトラ・ケル・ケン・トがトモ・エ達の船に追いついたとき、そこはすでに戦場となっていた。

「おい、クーギャ、あれは何の冗談なんだ?」

 ケン・トは遠く望遠モニターに映るイスラ製のロボットと、それに対峙するバケモノとをみて、鳥形アンドロイドに訪ねた。

「俺がしるわけねーギャ。真空空間にあんなものがいるわけねーギャ」

 その通りだ。
 一見隕石のようにも見えるが、どう見ても自律運動をしている。
 だが、宇宙船とも思えない。

 などと、考えていたときだった。
 イスラ製ロボットの一体がそのバケモノに向かってツッコんでいこうとしていた。

「おい、それは無茶だろ」

 ケン・トは思わず叫んだ。
 あのロボットに乗っているのは、どう考えてもあの地球人の子ども達だ。

「くそっ」

 ケン・トは毒づくと、自分の機体の置かれている格納庫へと走った。

「ケン・ト、出撃するつもりクギャー?」
「しかたねぇだろうが」

 ケン・トは手早く宇宙服に着替えると、機体に乗り込んだ。

『ケン・ト、レーダーはもっとすごい大群を感知しているギャー、ここは逃げた方が……』

 機体に乗り込んだケン・トにクーギャからの通信が入る。

「なこと、できるわけないだろ」
『お人好し過ぎるギャー』
「うるせ、とっとと格納庫の扉を開けろ」
『おりゃ、知らんギャー』

 そう言いながらも、クーギャは格納庫の扉を開けたようだ。

(まったく、こんな正義の味方みたいなまね、俺のキャラじゃねーんだけどな)

 そう思いながらもケン・トはペダルを踏み込んだ。
 モニターの先ではバケモノの左右から伸びた腕のようなもにに、イスラ製のロボットが掴まれていた。どうやら突き刺したソードを抜こうとしている間に掴まれ、抜け出せないでいるらしい。
 もう一体の方のロボットは動けないでいる。

(実戦慣れしてなさすぎだろ)

 そうは思うが、乗っているのが地球の子ども達ではしかたがないだろう。
 自動翻訳装置を日本語に設定し、無線の全チャンネルを開く。

「何やっているんだ、バカヤロー!!」

 ケン・トは叫びながら、バケモノに向かってツッコむ。
 ソードを構え、バケモノの両腕(?)を根元から切り落とした。
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