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43:見知らぬ天井
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ツンツン、ツンツン。
誰かが私の頬を突いています。
どなたでしょう。
お兄様やアンナはこのようなことはしませんし。
お父様でしょうか。
我が家でやりそうなのはお父様くらいですし。
たまに愛情表現がよくわからないんですよね。
「うぅ……」
しかし、ちょっと寝ざわりといいますか。
寝台が硬いように思います。
私の部屋にある寝台はこう、もっとふんわりしています。
体を包み込むような安心感。
流石は貴族と言わざるを得ない家具が寝台だと思います。
言いすぎでしょうか。
うーん、どうでしょう。
所々中世っぽいんですけど、魔法の発達で前世よりも楽なところはありますしね。
過分かどうかは分かりません。
うっすら目を開けると、懐かしい。
天井の木目が見えます。
え、木目?
「あ、おきた~」
ガバっと起き上がった私の側で、のんびりとした声が部屋の中に響いた。
部屋の壁は煉瓦ですが、床は板張りで所々隙間が空いております。
側には申し訳無さ程度に絨毯代わりの布が敷かれていました。
かなりボロボロの布が継ぎ接ぎされているので、使い古したものを絨毯代わりにしているのでしょう。
よく見れば私の寝ていた寝台は木枠で作られたベッドでした。
中に詰められているのは藁でしょうか。ちょっとちくちくとします。
しかし、牧場系のアニメ等で主人公が藁の上にシーツを敷いて寝るシーンがあるのですが、実際はそこまでふかふかじゃないのですね。湿気ですか。もしくは使い古してるからでしょうか。
さて、そろそろ隣に座ってきらきらと私を見ている方に注目してみましょう。
「だぁれ?」
その子はちりちりとした赤髪天然パーマの少女。
年は5歳くらいでしょうか。
やんちゃざかりといった印象です。
「あたし? あたしはピーネ!」
ピーネが着ている服は着古したワンピース。
ワンピースの上からコルセットの代わりに羊毛のそれに準じたものを付けています。
どうやらコルセットほどの締め付けは無いみたいですね。
前世の中世ではどうでしたっけ。
子供も大人のサイズを小さくしたものを着ていたとどこかで記述をみたことがあります。
世界が変われば文化も違うということでしょうか。
全く同じ道を辿っていたらそれはそれで驚きというものでしょうが。
「にーにー!あかちゃん起きたー!!」
私の返答を待たずしてピーネは駆けていきます。
扉が開いたままですが大丈夫ですか。
いえ、扉の形状を見るに元から鍵なんてかかっていなかったようです。
正直に言えばこのまま開いている扉を使って狭間に逃げたいところですが、状況を判断出来る要素がありません。
それに狭間へ逃げ込んだところで戻ってこれる扉は今の所入ってきた扉だけですしね。
「あのねー。あのねー。ぱっちりお目々でね~」
「わかった。わかったから。ちょっとティーアを手伝ってこい」
遠くからピーネが誰かを連れてくるようです。
その人物はピーネを別方向へ行かせると、溜息を吐きながら部屋に入ってきました。
年は15歳くらいでしょうか。
ピーネとは似ても似つかない、黒髪の少年でした。
通った鼻筋。深い青の瞳。
これは将来イケメンになると思われます。
どこの乙女ゲームに出てくる攻略対象なんでしょう。
「初めまして、お嬢様。こんなボロっちい家に招待して悪いな」
私の前で片膝をついた少年はぽりぽりと頭を掻きます。
いえ、若干安心感さえありますよ。
少々古い箇所はありますが、前世では石壁ではなく木の家に済んでいたわけですし。
ともあれ、私をお嬢様というからには彼は私が誰なのか把握しているのでしょう。
あ、すみません。ちょっと近づかないでください。
体が震えちゃうので。
私の怯えを感じ取ってか、距離を置いてくれます。
紳士さんですか。
「とある方にお嬢様の暗殺を命じられたんだが、ピーネよりも幼いお嬢様を殺すのは躊躇われてなあ」
少年は溜息を吐きながら、どかりと私から距離をとったところに腰を下ろします。
「元々今回を最後にして逃げるつもりだったんだ。お嬢様を連れて行っても殺すのと変わらんだろう。ってことで連れてきたというわけ」
私を殺す。
その言葉を正確に理解できる私はびくっと体を震わせます。
この人は簡単に人を殺せる人。
それならば、アンナはどうなったのでしょう。
夜中に見回りに来るお父様やマサは?
不安がよぎります。
そんな私の様子をみて、言ってもわからないだろうけど説明しているといった感じだった少年は驚いたように声を上げました。
「へえ。お嬢様はピーネと違って頭が良いんだな」
ニッと笑う少年は、人殺しなんてしなさそうな。
どこにでもいる普通の少年のようにも思えました。
どうやら私。誘拐されたようです。
誰かが私の頬を突いています。
どなたでしょう。
お兄様やアンナはこのようなことはしませんし。
お父様でしょうか。
我が家でやりそうなのはお父様くらいですし。
たまに愛情表現がよくわからないんですよね。
「うぅ……」
しかし、ちょっと寝ざわりといいますか。
寝台が硬いように思います。
私の部屋にある寝台はこう、もっとふんわりしています。
体を包み込むような安心感。
流石は貴族と言わざるを得ない家具が寝台だと思います。
言いすぎでしょうか。
うーん、どうでしょう。
所々中世っぽいんですけど、魔法の発達で前世よりも楽なところはありますしね。
過分かどうかは分かりません。
うっすら目を開けると、懐かしい。
天井の木目が見えます。
え、木目?
「あ、おきた~」
ガバっと起き上がった私の側で、のんびりとした声が部屋の中に響いた。
部屋の壁は煉瓦ですが、床は板張りで所々隙間が空いております。
側には申し訳無さ程度に絨毯代わりの布が敷かれていました。
かなりボロボロの布が継ぎ接ぎされているので、使い古したものを絨毯代わりにしているのでしょう。
よく見れば私の寝ていた寝台は木枠で作られたベッドでした。
中に詰められているのは藁でしょうか。ちょっとちくちくとします。
しかし、牧場系のアニメ等で主人公が藁の上にシーツを敷いて寝るシーンがあるのですが、実際はそこまでふかふかじゃないのですね。湿気ですか。もしくは使い古してるからでしょうか。
さて、そろそろ隣に座ってきらきらと私を見ている方に注目してみましょう。
「だぁれ?」
その子はちりちりとした赤髪天然パーマの少女。
年は5歳くらいでしょうか。
やんちゃざかりといった印象です。
「あたし? あたしはピーネ!」
ピーネが着ている服は着古したワンピース。
ワンピースの上からコルセットの代わりに羊毛のそれに準じたものを付けています。
どうやらコルセットほどの締め付けは無いみたいですね。
前世の中世ではどうでしたっけ。
子供も大人のサイズを小さくしたものを着ていたとどこかで記述をみたことがあります。
世界が変われば文化も違うということでしょうか。
全く同じ道を辿っていたらそれはそれで驚きというものでしょうが。
「にーにー!あかちゃん起きたー!!」
私の返答を待たずしてピーネは駆けていきます。
扉が開いたままですが大丈夫ですか。
いえ、扉の形状を見るに元から鍵なんてかかっていなかったようです。
正直に言えばこのまま開いている扉を使って狭間に逃げたいところですが、状況を判断出来る要素がありません。
それに狭間へ逃げ込んだところで戻ってこれる扉は今の所入ってきた扉だけですしね。
「あのねー。あのねー。ぱっちりお目々でね~」
「わかった。わかったから。ちょっとティーアを手伝ってこい」
遠くからピーネが誰かを連れてくるようです。
その人物はピーネを別方向へ行かせると、溜息を吐きながら部屋に入ってきました。
年は15歳くらいでしょうか。
ピーネとは似ても似つかない、黒髪の少年でした。
通った鼻筋。深い青の瞳。
これは将来イケメンになると思われます。
どこの乙女ゲームに出てくる攻略対象なんでしょう。
「初めまして、お嬢様。こんなボロっちい家に招待して悪いな」
私の前で片膝をついた少年はぽりぽりと頭を掻きます。
いえ、若干安心感さえありますよ。
少々古い箇所はありますが、前世では石壁ではなく木の家に済んでいたわけですし。
ともあれ、私をお嬢様というからには彼は私が誰なのか把握しているのでしょう。
あ、すみません。ちょっと近づかないでください。
体が震えちゃうので。
私の怯えを感じ取ってか、距離を置いてくれます。
紳士さんですか。
「とある方にお嬢様の暗殺を命じられたんだが、ピーネよりも幼いお嬢様を殺すのは躊躇われてなあ」
少年は溜息を吐きながら、どかりと私から距離をとったところに腰を下ろします。
「元々今回を最後にして逃げるつもりだったんだ。お嬢様を連れて行っても殺すのと変わらんだろう。ってことで連れてきたというわけ」
私を殺す。
その言葉を正確に理解できる私はびくっと体を震わせます。
この人は簡単に人を殺せる人。
それならば、アンナはどうなったのでしょう。
夜中に見回りに来るお父様やマサは?
不安がよぎります。
そんな私の様子をみて、言ってもわからないだろうけど説明しているといった感じだった少年は驚いたように声を上げました。
「へえ。お嬢様はピーネと違って頭が良いんだな」
ニッと笑う少年は、人殺しなんてしなさそうな。
どこにでもいる普通の少年のようにも思えました。
どうやら私。誘拐されたようです。
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