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本編
思い出すの遅い定期
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「俺は、俺はただ!アランが好きなだけなのに!」
「うるさいなぁ、アランは君のこと嫌いなの。なんでか分かる?」
「き、きらいなんかじゃ…!」
「幼馴染ってだけなのに、小さい時からアランは俺の物だ、嫁だって言いふらして…アランがどれだけ恥ずかしかった事か。
アカデミーでもアランに付き纏ってさぁ、君はDランクのおバカのくせにAランクのアランの教室に入り浸って、アランが困ってるの分からなかったわけ?
皆君のことアランにべったりで気持ち悪いって言ってるよ?当たり前だよね。
君、顔だけは良いから、君みたいな顔がタイプの男爵に売りつけてやろうかとも思ったんだけど、君ってば執着凄いでしょ?あらゆる手でアランに付きまといそうだったから、もう処刑しちゃう事にしたんだぁ。」
「しょ、処刑…?」
「ふふ、当たり前だよね?だって僕のアランを困らせるんだから。」
「アランはお前の物じゃないっ!」
「キーキーうるさい人だね、君。残念だけど君の味方なんていないよ?もちろん君の愛しいアランだって、君を助けたりなんてしない。」
「うるさいうるさいうるさい!俺は、ただアランが好き、大好きなだけなのに…!」
「もうお喋りは終わり。さっさと消えてくれる?君の処刑は僕もアランも見たくもないから、少し遠くの郊外で行われるんだ。馬車の中でいつまでも届かない思いを叫んでればいいさ。」
「や、まって!最後にアランに会いた…!」
「衛兵、連れて行け。」
「はっ」
「ちょ!はなせ!はなせよぉ!!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…っ!」
…前の時間軸の夢だ。
びっしょりと汗をかいている。
昔の夢を見たせいで、己の過去の黒歴史を思い出して酷く落ち込む。
俺はレオベルト・エンフィア。
日本という国で一般サラリーマンをしていた前世を持つ。
そしてさっきの夢は、俺がまだ前世を思い出せていなかった前の時間軸の俺が、処刑される夢だ。
夢の続きを言うと、あの後小汚い馬車に詰め込まれ、廃れた土地でギロチンに乗せられた。いよいよ首とサヨナラするって時に、俺は前世を思い出した。
なんて事ない平凡な人生と共に思い出したのは、テレビでもネットでもビルの広告にも載る程人気絶頂中のBLゲーム「君と恋のエデン」。
それについてハッキリと覚えている事は、ヒロインはアラン、そして有り得ないくらい美形の攻略対象達。だけど広告でよく出てきたのは俺を処刑した王太子だったため、攻略対象の1人は王太子だったという事しか覚えていない。そもそもプレイすらしたことが無い。
それらの事を思い出したあと、俺の中にあった、アランに対するドロドロとして仄暗い感情がすこーんと抜けて、「俺、まじで何してたんだ?!」ってなった。しかし時は遅すぎた、ギロチンの刃が勢いよく落ちてくる音がする。
…もっと早くに思い出していたら…アランに会わなかったら…いや、エンフィア家はアランの家と仲が良いから無理か…
ならばせめて、せめてアランに会う前に戻れたら…!!
そう願って、前の時間軸の俺は死んだ。
…が、哀れな俺を神は見捨ててはいなかった!パラレルワールドとでも言うのだろうか、俺は5歳の頃に戻ってきたのである。
これはアランに惚れ込み、「アランはオレの嫁」発言をしてストーキングしていた俺の黒歴史を浄化しなさいという事か!!
と俺は思い、今回はアランと、というかBLゲームの奴らとは関わらない!と決心した。
しかし、前世を思い出したからと言って、ここがBLゲームと酷似した世界で、ヒロインはアランで沢山いる攻略対象の内の一人が王太子だって事しか分からない。
つまり、フラグがあったとしても分からないのだ。
ならば俺のすることは一つ、徹底的に社交は避けて、平凡な人達とのんびり友情を育み、可愛い嫁さんをもらってまったり過ごす。
それを目指してがんばるんだ!!
「うるさいなぁ、アランは君のこと嫌いなの。なんでか分かる?」
「き、きらいなんかじゃ…!」
「幼馴染ってだけなのに、小さい時からアランは俺の物だ、嫁だって言いふらして…アランがどれだけ恥ずかしかった事か。
アカデミーでもアランに付き纏ってさぁ、君はDランクのおバカのくせにAランクのアランの教室に入り浸って、アランが困ってるの分からなかったわけ?
皆君のことアランにべったりで気持ち悪いって言ってるよ?当たり前だよね。
君、顔だけは良いから、君みたいな顔がタイプの男爵に売りつけてやろうかとも思ったんだけど、君ってば執着凄いでしょ?あらゆる手でアランに付きまといそうだったから、もう処刑しちゃう事にしたんだぁ。」
「しょ、処刑…?」
「ふふ、当たり前だよね?だって僕のアランを困らせるんだから。」
「アランはお前の物じゃないっ!」
「キーキーうるさい人だね、君。残念だけど君の味方なんていないよ?もちろん君の愛しいアランだって、君を助けたりなんてしない。」
「うるさいうるさいうるさい!俺は、ただアランが好き、大好きなだけなのに…!」
「もうお喋りは終わり。さっさと消えてくれる?君の処刑は僕もアランも見たくもないから、少し遠くの郊外で行われるんだ。馬車の中でいつまでも届かない思いを叫んでればいいさ。」
「や、まって!最後にアランに会いた…!」
「衛兵、連れて行け。」
「はっ」
「ちょ!はなせ!はなせよぉ!!!」
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「…っ!」
…前の時間軸の夢だ。
びっしょりと汗をかいている。
昔の夢を見たせいで、己の過去の黒歴史を思い出して酷く落ち込む。
俺はレオベルト・エンフィア。
日本という国で一般サラリーマンをしていた前世を持つ。
そしてさっきの夢は、俺がまだ前世を思い出せていなかった前の時間軸の俺が、処刑される夢だ。
夢の続きを言うと、あの後小汚い馬車に詰め込まれ、廃れた土地でギロチンに乗せられた。いよいよ首とサヨナラするって時に、俺は前世を思い出した。
なんて事ない平凡な人生と共に思い出したのは、テレビでもネットでもビルの広告にも載る程人気絶頂中のBLゲーム「君と恋のエデン」。
それについてハッキリと覚えている事は、ヒロインはアラン、そして有り得ないくらい美形の攻略対象達。だけど広告でよく出てきたのは俺を処刑した王太子だったため、攻略対象の1人は王太子だったという事しか覚えていない。そもそもプレイすらしたことが無い。
それらの事を思い出したあと、俺の中にあった、アランに対するドロドロとして仄暗い感情がすこーんと抜けて、「俺、まじで何してたんだ?!」ってなった。しかし時は遅すぎた、ギロチンの刃が勢いよく落ちてくる音がする。
…もっと早くに思い出していたら…アランに会わなかったら…いや、エンフィア家はアランの家と仲が良いから無理か…
ならばせめて、せめてアランに会う前に戻れたら…!!
そう願って、前の時間軸の俺は死んだ。
…が、哀れな俺を神は見捨ててはいなかった!パラレルワールドとでも言うのだろうか、俺は5歳の頃に戻ってきたのである。
これはアランに惚れ込み、「アランはオレの嫁」発言をしてストーキングしていた俺の黒歴史を浄化しなさいという事か!!
と俺は思い、今回はアランと、というかBLゲームの奴らとは関わらない!と決心した。
しかし、前世を思い出したからと言って、ここがBLゲームと酷似した世界で、ヒロインはアランで沢山いる攻略対象の内の一人が王太子だって事しか分からない。
つまり、フラグがあったとしても分からないのだ。
ならば俺のすることは一つ、徹底的に社交は避けて、平凡な人達とのんびり友情を育み、可愛い嫁さんをもらってまったり過ごす。
それを目指してがんばるんだ!!
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