10 / 14
10(side大和)
しおりを挟む
意識を失った悠馬をその場から連れてタクシーで、前入院していた病院へ連れて行った。
俺が殴った男は、その場に放置だ、それよりも悠馬をどうにかしなくては。
夜間だったにも関わらずに前回同様に入院の手続きをしてくれた。診察してくれた医師は、体には異常はないので大丈夫だと言ってくれたけれど、俺は、悠馬についていたかった。でも、医師に起きたら知らせるから、今日は、家に帰りなさいと言われてしぶしぶ帰宅した。
(また記憶を失ったらどうしよう。俺のこともまた忘れられたら…)
不安で、寝付くこともできなく、睡眠不足のまま、病院の面会時間が始まる時間に悠馬の病室を訪ねた。悠馬はまだ目覚めていないようで、とりあえず悠馬の両親にまた意識を失って病院にいることを伝えた。
ベッドの近くの椅子に腰を下ろし、悠馬の寝顔を見つめながら過去に思いを馳せた。
◇◇◇◇
悠馬と出会ったのは幼稚園の5歳、年長の時だった。悠馬は引っ越してきたらしく途中からの入園となった。先生が「今日から新しいお友達が入ります。皆さん、仲良くしてくださいね」と連れてきたのが、悠馬だったのだ。第一印象は大人しい子だった。皆で遊んでいてもそばでニコニコしているだけで、あまり会話をしない。俺とは遊ぶグループが違ったから、一緒に遊ぶことはなかった。
それが変わったのは、秋に行う運動会からだ。かけっこで隣同士、俺は昔から運動神経は良かったから一番初めにゴールをしていたが、悠馬は途中で転んで痛みに耐えながらゴールした。先生が悠馬の泥がついた膝を洗うために手を繋いで歩き出そうとしたところに、俺が「先生、俺が悠馬を連れていくよ」と代わりに手を繋いで歩き出した。洗っている間、痛みに耐えていた悠馬だったが、無事に洗い終わると俺を見て「ありがとう」と満開の笑顔でお礼を言われて、俺はそこで恋に落ちたんだと思う。
そこから親同士も仲良くなり、小学校~大学まで同じ進路に進むことになった。悠馬に恋愛感情を持ったことにきちんと気づいたのは、中学で、告白されて気になっていた女子と付き合うことになった時だ。気づいたのは、その子とキスをする時に思い浮かんだのが悠馬のことで、愕然とした。
それからとてつもなく悩んだ。悠馬のことは親友だとは思っていたけれど、恋愛対象として見ていたのかと。
付き合っていた子の雰囲気が好きだったのだが、悠馬と似ていた。悠馬は、中学のころから、可愛い外見でふんわりした雰囲気を出していた。たぶんそこいらの女子よりも可愛いと思う。それに気づいてしまったら、付き合っている女子に申し訳なくて別れた。そこから、悠馬にばれない様に細心の注意を払って、親友以上の距離にならないように気を付けながら接した。
高校に入ってお互いに同じ男子校に入学して、一気に悠馬はモテた。高校に入っても悠馬はそこまで身長が高くならず童顔で可愛い顔だったせいもあるのだろう。1年の時に数回、告白のための呼び出しをされている現場に何回か遭遇した。俺は、その度に冷や冷やしていた。いつか俺に、付き合っている人できた、と報告を受けるんじゃないかと。俺はその時に笑っておめでとうと言えるだろうか。気持ちを押し込めることができるだろうかと。
そんな心配をよそに、結局、悠馬は一度も誰とも付き合うことなく高校生活を終了させたのだった。
大学進学を機に、一人暮らしをする悠馬が心配な悠馬の両親から頼まれて一緒に暮らすことが決まってからの俺は忍耐の連続だった。好きなやつが同じ空間にいるのに何もできない、悠馬は俺を幼馴染以上の感情を持っていないようだったので適度な距離感を大事にしなくてはいけない、気持ちを気づかれてはいけない、というないないづくしだったのだ。
そんな時に悠馬の記憶喪失。本当は、このまま気持ちを伝えないつもりだったけれど、記憶喪失の原因となった日、俺に泣きながら助けを求めてきた悠馬をみて考えを改めた。ベッドに横なって寝ている悠馬を見て、悠馬が幸せになるなら、それが女性ならばまだ諦めることができると思う。でも、今回みたいにたぶん男性に悠馬を取られると可能性もでてくるとなると話は違ってくる。悠馬が俺以外のやつのものになったら…と大学卒業後、別々の道に歩んで俺の知らないところで見知らぬ人と幸せになるであろう悠馬を見たくない。
だから、悠馬に俺を意識してもらうために、記憶がなくなったのを世話することと並行してなるべく優しく寄り添って生活することにした。
なのに、また悠馬が危ない目にあった。そのせいで意識を失ってしまった。俺が間に合わなかったら悠馬は…。
首をふり、なかった未来のことは忘れる。
(悠馬、早く目覚めてくれ。俺、お前に伝えたいことがあるんだ。もう自分の気持ちから逃げないから)
椅子に座りながら、悠馬の寝顔を見続けた。
俺が殴った男は、その場に放置だ、それよりも悠馬をどうにかしなくては。
夜間だったにも関わらずに前回同様に入院の手続きをしてくれた。診察してくれた医師は、体には異常はないので大丈夫だと言ってくれたけれど、俺は、悠馬についていたかった。でも、医師に起きたら知らせるから、今日は、家に帰りなさいと言われてしぶしぶ帰宅した。
(また記憶を失ったらどうしよう。俺のこともまた忘れられたら…)
不安で、寝付くこともできなく、睡眠不足のまま、病院の面会時間が始まる時間に悠馬の病室を訪ねた。悠馬はまだ目覚めていないようで、とりあえず悠馬の両親にまた意識を失って病院にいることを伝えた。
ベッドの近くの椅子に腰を下ろし、悠馬の寝顔を見つめながら過去に思いを馳せた。
◇◇◇◇
悠馬と出会ったのは幼稚園の5歳、年長の時だった。悠馬は引っ越してきたらしく途中からの入園となった。先生が「今日から新しいお友達が入ります。皆さん、仲良くしてくださいね」と連れてきたのが、悠馬だったのだ。第一印象は大人しい子だった。皆で遊んでいてもそばでニコニコしているだけで、あまり会話をしない。俺とは遊ぶグループが違ったから、一緒に遊ぶことはなかった。
それが変わったのは、秋に行う運動会からだ。かけっこで隣同士、俺は昔から運動神経は良かったから一番初めにゴールをしていたが、悠馬は途中で転んで痛みに耐えながらゴールした。先生が悠馬の泥がついた膝を洗うために手を繋いで歩き出そうとしたところに、俺が「先生、俺が悠馬を連れていくよ」と代わりに手を繋いで歩き出した。洗っている間、痛みに耐えていた悠馬だったが、無事に洗い終わると俺を見て「ありがとう」と満開の笑顔でお礼を言われて、俺はそこで恋に落ちたんだと思う。
そこから親同士も仲良くなり、小学校~大学まで同じ進路に進むことになった。悠馬に恋愛感情を持ったことにきちんと気づいたのは、中学で、告白されて気になっていた女子と付き合うことになった時だ。気づいたのは、その子とキスをする時に思い浮かんだのが悠馬のことで、愕然とした。
それからとてつもなく悩んだ。悠馬のことは親友だとは思っていたけれど、恋愛対象として見ていたのかと。
付き合っていた子の雰囲気が好きだったのだが、悠馬と似ていた。悠馬は、中学のころから、可愛い外見でふんわりした雰囲気を出していた。たぶんそこいらの女子よりも可愛いと思う。それに気づいてしまったら、付き合っている女子に申し訳なくて別れた。そこから、悠馬にばれない様に細心の注意を払って、親友以上の距離にならないように気を付けながら接した。
高校に入ってお互いに同じ男子校に入学して、一気に悠馬はモテた。高校に入っても悠馬はそこまで身長が高くならず童顔で可愛い顔だったせいもあるのだろう。1年の時に数回、告白のための呼び出しをされている現場に何回か遭遇した。俺は、その度に冷や冷やしていた。いつか俺に、付き合っている人できた、と報告を受けるんじゃないかと。俺はその時に笑っておめでとうと言えるだろうか。気持ちを押し込めることができるだろうかと。
そんな心配をよそに、結局、悠馬は一度も誰とも付き合うことなく高校生活を終了させたのだった。
大学進学を機に、一人暮らしをする悠馬が心配な悠馬の両親から頼まれて一緒に暮らすことが決まってからの俺は忍耐の連続だった。好きなやつが同じ空間にいるのに何もできない、悠馬は俺を幼馴染以上の感情を持っていないようだったので適度な距離感を大事にしなくてはいけない、気持ちを気づかれてはいけない、というないないづくしだったのだ。
そんな時に悠馬の記憶喪失。本当は、このまま気持ちを伝えないつもりだったけれど、記憶喪失の原因となった日、俺に泣きながら助けを求めてきた悠馬をみて考えを改めた。ベッドに横なって寝ている悠馬を見て、悠馬が幸せになるなら、それが女性ならばまだ諦めることができると思う。でも、今回みたいにたぶん男性に悠馬を取られると可能性もでてくるとなると話は違ってくる。悠馬が俺以外のやつのものになったら…と大学卒業後、別々の道に歩んで俺の知らないところで見知らぬ人と幸せになるであろう悠馬を見たくない。
だから、悠馬に俺を意識してもらうために、記憶がなくなったのを世話することと並行してなるべく優しく寄り添って生活することにした。
なのに、また悠馬が危ない目にあった。そのせいで意識を失ってしまった。俺が間に合わなかったら悠馬は…。
首をふり、なかった未来のことは忘れる。
(悠馬、早く目覚めてくれ。俺、お前に伝えたいことがあるんだ。もう自分の気持ちから逃げないから)
椅子に座りながら、悠馬の寝顔を見続けた。
0
あなたにおすすめの小説
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
幼馴染がいじめるのは俺だ!
むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに...
「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」
「はっ...ぁ??」
好きな奴って俺じゃないの___!?
ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子
ーーーーーー
主人公 いじめられっ子
小鳥遊洸人
タカナシ ヒロト
小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。
姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。
高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、
脳破壊。
千透星への恋心を自覚する。
幼馴染 いじめっ子
神宮寺 千透星
ジングウジ チトセ
小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。
美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている)
転校生の須藤千尋が初恋である
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】
彩華
BL
俺の名前は綾瀬葵。
高校デビューをすることもなく入学したと思えば、あっという間に高校最後の年になった。周囲にはカップル成立していく中、俺は変わらず彼女はいない。いわく、DTのまま。それにも理由がある。俺は、幼馴染の春樹が好きだから。だが同性相手に「好きだ」なんて言えるはずもなく、かといって気持ちを諦めることも出来ずにダラダラと片思いを続けること早数年なわけで……。
(これが最後のチャンスかもしれない)
流石に高校最後の年。進路によっては、もう春樹と一緒にいられる時間が少ないと思うと焦りが出る。だが、かといって長年幼馴染という一番近い距離でいた関係を壊したいかと問われれば、それは……と踏み込めない俺もいるわけで。
(できれば、春樹に彼女が出来ませんように)
そんなことを、ずっと思ってしまう俺だが……────。
*********
久しぶりに始めてみました
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる