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1.婚約破棄いただきました
しおりを挟む「アンジェリカ・ランダール公爵令嬢、卑劣なお前は未来の王妃に相応しくない!婚約破棄だ!国外追放を命ずる!」
今日は学園の卒業式だった。ただいま夜の謝恩会中。まもなくダンスタイムというところで婚約者であるこの国の(バカ)王太子グラン殿下の声がフロアに響く。
殿下と腕にへばりついたルミエール・ズルレ男爵令嬢。その後ろにはニヤついた顔の取り巻き令息S。
私は扇でニヤける口元を隠しながら、
「‥‥婚約破棄の件、陛下はご存知なのですか?」
「父上はまだ知らん。だが、父上が外遊中のことは俺に一任されている。事後報告で構わないのだ!」
嘘つけ。しかし、言質はとった!
「よろこんで、婚約破棄お受けします」
「なんだと?!よろこんでだと?!」
「それはそうでしょう?殿下のことなんて大嫌いなんですもの」
「大嫌い‥‥。強がりを言うな!お前は俺を愛しているだろう?お前が俺との婚約をせがんだくせに!かわいいルミに嫉妬してお前は数々の嫌がらせをしていたではないか!」
「愛してるなんて冗談でもよしてくださいませ。殿下は、幼い時に私を突き飛ばして怪我を負わせたのですよ?そんな人を愛するわけないでしょう?殿下に対しては嫌悪感でいっぱいです。鳥肌ものですよ。それに勘違いされているようですが、殿下と私の婚約は王家が無理やり結ばせた政略婚約です。私は被害者なんです。そもそも嫌がらせなんてしていませんよ。嫉妬するなどあり得ません。仮に私が嫌がらせをしていたとすれば、今頃そこの令嬢はこの世に存在していませんよ」
「ひっ、怖いっ」
わざとらしく怯える令嬢。
「なんて凶暴な!」
「やはりルミエールを階段から突き落としたのは、お前なんだな!」
「悪事が露見したな!」
口々に宣う取り巻き令息S。
あー、うっざ。もう、茶番に付き合うのはお終いにしていいかしら。
『集結』
と唱え、パチンっと指を鳴らす。
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