【完結】召喚された2人〜大聖女様はどっち?

咲雪

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11.ドレス

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クリスが不在中、私はひたすら絵を描くことに没頭した。寝食忘れるほどに。


ゾーンにでも入ったのかのように、インスピレーションが湧く湧く。イーゼルを買い足し、3つ同時進行だ。油絵は絵の具の乾きが遅い。この世界にも乾燥促進剤みたいなのががあってよかった。いくらか時間短縮できる。


尤も、無意識にクリスがいない寂しさを紛らすためなのかもしれないが。



私の絵画は幸運が舞い込むと評判が広がっているらしく、私が作品を持ち込むペースが早くなったので、カロンさんはうれしい悲鳴を上げている。私もホクホクだ。


どの作品にも



皆に神のご加護あれ



と祈りを込めてるけど、聖女にそんな力あるのかな?大聖女だと他とは違うのかな?



納品に行った日は市場に寄り、馴染みのお店が客の入りが少なくなった時間を見計らって世間話に付き合ってもらっている。ずっと人と話さないと言葉が出なくなっちゃうんだよね。


あっという間に時間は過ぎ、遠征に出立してから1ヶ月半経った。


ふぅ、できた。


アトリエで絵を仕上げ手を組み祈った。




ドアをノックする音が。


「キヨラ、いる?」


いるはずのない人の声が。


急いでドアを開けた。


「ただいま、キヨラ」


疲れているだろうに、笑顔のクリス。


「おかえり、クリス。どうしたの?遠征は?3ヶ月かかるんだったよね?」

「そういう想定だったんだが。
とりあえず、リビングで話さないか?着替えたいし」

「ごめんごめん。気が利かなかったね。お風呂にも入ってきて」

私は急いでお風呂を沸かしにバスルームに行った。


お風呂から上がったクリスがリビングに来た。ほんのり上気した肌が少し色っぽく見える。久しぶりのクリスにドキドキする。なんだか恥ずかしい。私まで顔が赤くなる。


ソファーに座る私の隣にクリスは腰掛けた。


「魔物討伐のための遠征だったんだが、想定よりも魔物が少なかったんだ。いても弱かった。森に踏み入れると瘴気も霧散した。何より負傷者が出なかった。だから早々に切り上げて帰還したんだ」

「そうだったんだ。負傷者が出なくてよかったね」

「ああ。キヨラがくれたピアスのおかげかもな」

「よかった役に立って。まあ、たまたまなんだろうけど。ところで"セイラ"じゃなくて"キヨラ"って名前呼ぶようになったんだね」

「練習して言えるようになったから。これからは"キヨラ"と呼ぶよ」


へへ、本名で呼ばれるとなんだかくすぐったいな。


「来週の土曜日一緒に食事に行かないか?都合が悪かったりする?」

「特に何も用事ないから大丈夫だよ。どこに行くの?」

「普段より大人なお店にしようかと思ってる。ドレスコードはないが、普段着よりもかしこまった服装の方がいいかもな。キヨラの都合が悪くないのであれば明日ドレスを買いに行こう」

「え、ドレスコードがないってさっき言ったばかりなのに、ドレス着なきゃいけないところに行くの?!」

「たまにはいいだろ?何事も経験だ」


クリスはニッと笑った。




翌日、ドレスを購入するためにドレスショップに向かった。


色とりどりのドレスに呆気に取られる。目移りしちゃうな。


「気に入った物はありましたか」


店員さんが尋ねてきた。


「そうですね。髪の色に合って、少し大人っぽいのがいいのですが。私、こういうのよくわからないので何着か見繕ってくださいませんか?」


2着持ってきてくれた。


「シャンパンカラーなんてどうでしょう。試着してみませんか」

「お願いします」


‥‥‥


ハートカットのビスチェのドレス。私にはカットが深すぎる気がするんだけど?!えっ、このくらい普通?!


「お連れ様、こちらはどうですか?」

「!‥‥夜会じゃないからもう少し控えめにしてくれないか?」

「そうですか。残念ですね、綺麗なお胸をしてらっしゃるから似合うと思ったのですが」


結局、あまり大人すぎても顔が浮くので、デコルテラインが綺麗見えるオフショルダーの控えめなチュールレースをあしらったドレスにした。


「丈の補正が必要ですので後日取りに来てください。気になるほどではありませんが、お胸が少々きつくてウエストは余ってますので、それも合わせて補正しましょう」


背が低いと丈を短く補正しないといけないので、めんどくさい。丈が短い物を選ぶと胸がキツくなるのでそれもめんどくさい。体はコンプレックスばかりだ。


会計で、自分で払うと言ったら


「甲斐性がない男だと思わせたいのか」


と返されたので、大人しく出してもらった。


あとは、ヒールとアクセサリーを購入し、カフェで食事をして家に帰った。



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